ウクライナ(公開日:2023.05.26)
【ウクライナ危機】ウクライナ南部で現金給付と緊急下における教育支援開始
ウクライナ危機発生から1年以上が経過してもなお、ウクライナ国内での避難生活を余儀なくされている国内避難民は、2023年1月時点で540万人にのぼります1。そして、その約半数は5歳から17歳の子どもです2。特にウクライナ東部と南部は、危機開始直後から生活に欠かせないインフラや建物の損傷が激しく、人々が生活を取り戻すための緊急支援が必要とされています1。
多くの国内避難民は、危機によって仕事を失い、日々の生活に必要な物品を購入するお金が不足しています。経済支援のニーズは最も高く、75%の国内避難民が、支援が必要であると答えています3。また、ウクライナ教育科学省によると、これまでに3,246の教育施設が攻撃され、2023年1月時点ですべての対面授業を再開している学校は25%にとどまり、約530万人の子どもたちの教育を受ける機会を妨げられているとされています4,5。
また、電力やインターネットが不安定もしくは供給されないために、子どもたちがオンライン学習を継続することも難しい状況にあります。
このような状況を受け、セーブ・ザ・チルドレンは2023年3月1日より「ウクライナ南部における国内避難民およびホストコミュニティを対象とした多目的現金給付支援および緊急下における教育支援」事業を開始しました。
この活動では、南部のミコライウ州およびへルソン州において、経済的に脆弱な状況にある国内避難民の世帯を対象に多目的現金給付を行います。
対象となる世帯は、多子世帯や妊産婦や障害がある人がいる世帯、病気の人がいる世帯など、最も支援を必要としている家族です。また、この活動は、各世帯のニーズを満たすことができるだけではなく、地域の経済復興への後押しになることも期待されます。
また、学校閉鎖や電力不足などにより子どもたちの学習継続が難しいミコライウ州において、移動式学習支援や教員がオンライン授業を行うためのデジタル学習センターの環境整備・運用を行います。
移動式学習支援は10ヶ所〜15ヶ所で、600人の子どもたちを対象として行い、本やおもちゃ、文房具などを含む学習キットの提供、子どもたちのこころのケアを実施します。
デジタル学習センターは、オンライン授業を行うために必要な機材や物品が整備され、教員100人が利用することが予定されています。教員が、子どもたちや保護者とのつながりを維持し、子どもたちの学習が継続されることが期待されます。
この支援を通して、国内避難民の人たちが経済的支援を受けることができるよう、また子どもたちの学習機会が確保・継続されるよう活動を実施していきます。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 中村恵理)
1 IOM, “Ukraine — Internal Displacement Report — General Population Survey Round 12 (16 - 23 January 2023), p2”
2 IOM, “Ukraine — Internal Displacement Report — General Population Survey Round 12 (16 - 23 January 2023), p8”
3 IOM, “Ukraine — Internal Displacement Report — General Population Survey Round 12 (16 - 23 January 2023), p9”
4 Education in emergency (saveschools.in.ua)
5 UNICEF “War has hampered education for 5.3 Million children in Ukraine, warns UNICEF”
多くの国内避難民は、危機によって仕事を失い、日々の生活に必要な物品を購入するお金が不足しています。経済支援のニーズは最も高く、75%の国内避難民が、支援が必要であると答えています3。また、ウクライナ教育科学省によると、これまでに3,246の教育施設が攻撃され、2023年1月時点ですべての対面授業を再開している学校は25%にとどまり、約530万人の子どもたちの教育を受ける機会を妨げられているとされています4,5。
また、電力やインターネットが不安定もしくは供給されないために、子どもたちがオンライン学習を継続することも難しい状況にあります。
破壊された学校
このような状況を受け、セーブ・ザ・チルドレンは2023年3月1日より「ウクライナ南部における国内避難民およびホストコミュニティを対象とした多目的現金給付支援および緊急下における教育支援」事業を開始しました。
この活動では、南部のミコライウ州およびへルソン州において、経済的に脆弱な状況にある国内避難民の世帯を対象に多目的現金給付を行います。
対象となる世帯は、多子世帯や妊産婦や障害がある人がいる世帯、病気の人がいる世帯など、最も支援を必要としている家族です。また、この活動は、各世帯のニーズを満たすことができるだけではなく、地域の経済復興への後押しになることも期待されます。
セーブ・ザ・チルドレンのスタッフと、現金支援で子どもの医療費を払うことができた家族
また、学校閉鎖や電力不足などにより子どもたちの学習継続が難しいミコライウ州において、移動式学習支援や教員がオンライン授業を行うためのデジタル学習センターの環境整備・運用を行います。
移動式学習支援は10ヶ所〜15ヶ所で、600人の子どもたちを対象として行い、本やおもちゃ、文房具などを含む学習キットの提供、子どもたちのこころのケアを実施します。
デジタル学習センターは、オンライン授業を行うために必要な機材や物品が整備され、教員100人が利用することが予定されています。教員が、子どもたちや保護者とのつながりを維持し、子どもたちの学習が継続されることが期待されます。
デジタル学習センターでオンライン授業を受ける様子
この支援を通して、国内避難民の人たちが経済的支援を受けることができるよう、また子どもたちの学習機会が確保・継続されるよう活動を実施していきます。
本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部 中村恵理)
1 IOM, “Ukraine — Internal Displacement Report — General Population Survey Round 12 (16 - 23 January 2023), p2”
2 IOM, “Ukraine — Internal Displacement Report — General Population Survey Round 12 (16 - 23 January 2023), p8”
3 IOM, “Ukraine — Internal Displacement Report — General Population Survey Round 12 (16 - 23 January 2023), p9”
4 Education in emergency (saveschools.in.ua)
5 UNICEF “War has hampered education for 5.3 Million children in Ukraine, warns UNICEF”