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ウクライナ
(公開日:2024.02.27)

【ウクライナ危機から2年】難民の力:避難先でも地域の一員として活動し続ける人たち

 
セーブ・ザ・チルドレンは、2023年3月31日から「ルーマニア・コンスタンツァ県におけるウクライナ難民およびホストコミュニティの子どもたちのための教育および心理社会的支援事業」を実施し、2023年10月に完了しました。(詳細はこちら)。

この事業に携わるスタッフの中には、自身もウクライナから避難してきた人たちが何人もいます。また、事業での関わりを通して、避難先であるルーマニアで活躍する場を見つけた難民もいます。

バレリアさんもそのうちの一人です。現在は、コンスタンツァ県でウクライナ難民の家族に、個別にニーズの聞き取りを行い、それに基づいて必要な支援につなげるソーシャルワーカーとして働いています。

ウクライナ危機が起こる前は、オデーサ州で約22年間看護師として働いていました。ウクライナ危機発生後、7歳と14歳の子ども2人を連れて避難し、2022年10月にルーマニアにたどり着きました。

 
息子と一緒に放課後活動のイベントに参加するバレリアさん

ルーマニアのコンスタンツァ県に住まいを見つけてから、バレリアさんはすぐに自身の職と子どもたちの学校探しを始めました。

セーブ・ザ・チルドレンがウクライナ難民を対象に行っている放課後活動を見つけてからは、子どもたちがその活動に参加している間も、より多くの子どもたちがこの活動に参加できるように、自身もボランティアとして関わりました。もともとウクライナのルーマニア系コミュニティで育ったバレリアさんはルーマニア語に堪能なこともあり、放課後活動で知り合った人を通じて他団体で通訳としての職を得ます。その後、そこで得られた知識と経験を活かし、セーブ・ザ・チルドレンでソーシャルワーカーとして働くようになりました。

バレリアさんは、ウクライナ難民のSNSグループで役立つ情報を得て、ルーマニア政府の支援も受けることができた自身のケースを幸運だったと言い、ルーマニア語を話せたことから地域に溶け込むことも難しくなかったと話します。

しかし、ウクライナの自宅を離れることを余儀なくされ、2人の子どもを連れてルーマニアまで避難してくることは簡単ではなく、当時は先行きが読めない不安を抱えていました。

自身も難民で母親であるという背景から、他のウクライナ難民の女性が置かれている状況に共感することができ、一人ひとりに役立つ情報や支援を提供できる現在の仕事について「最も喜ばしいこと」と語ります。
 

放課後学校に参加する子どもたちやスタッフと


ナタリアさんもバレリアさんの支援を受けた1人です。危機発生後、娘のアリナさんを連れて避難用のバスに乗り込みブルガリアへ避難したのち、2023年1月にルーマニアへ来ました。

 ナタリアさん

ナタリアさんは、もともとウクライナで子どもたち向けの演劇学校を設立したり、自閉症やダウン症の子どもたち向けのチャリティーイベントを開催するなど精力的に活動していました。

2023年2月に、娘のアリナさんがセーブ・ザ・チルドレンの放課後活動に参加するようになってから、ナタリアさん自身も職を見つけたいとスタッフに相談するようになりました。

バレリアさんは他のスタッフとも協力し、ナタリアさんの職歴などを考慮して、地域のNGO団体を紹介しました。ナタリアさんはそこでボランティアとして働いたのち、ウクライナの子どもたちに向けた演劇やダンスの先生として雇われるようになります。現在では、地域行政と連携しながら、各種イベントの企画も行っています。


地域のイベントにて、ナタリアさん


「難民」と、ひとまとめで表現されますが、一人ひとりさまざまな背景、職歴、スキルを持っています。

難民が、周辺国をはじめ他の国に避難してくることで、新しい文化や慣習に戸惑うのは、難民だけではなく受け入れ側のコミュニティの人々も同じかもしれません。

そのような戸惑いの中でも、避難してきた人たちが自分の能力を発揮できる場所を見つけ、受け入れ先の地域の人たちと協働することは、双方のコミュニティにとってプラスに違いないと、事業を通して実感しています。

危機が長期化して、避難先での生活も長期化すると考えられます。そのため今後も難民と避難先地域の人たちが一緒に生活していく環境を整えていくことが重要になってくる中、避難を強いられた人たちの新しい生活の確立と地域での居場所づくりを目指して、これからも支援を続けていきます。

(ルーマニア駐在員・清水奈々子)







 

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