南スーダン(公開日:2014.06.12)
南スーダンにおける緊急人道支援(2014.06.12)
長引く紛争、飢餓状態の悪化、伝染病の拡大から子どもたちを守るために
紛争によって引き裂かれ、飢きんリスクが高まる南スーダン。20年以上にわたる長い内戦の末に2011年7月に独立したばかりの世界で一番新しい国の未来は、危うい状態にあります。
セーブ・ザ・チルドレンの医療センターで栄養失調の検診を受ける生後10カ月の子ども
■犠牲になる人々
昨年12月に武力衝突が発生して以来、南スーダンの各地で子どもたちが犠牲になっています。学校や病院が襲撃され、何万人もの人々が殺され1、何十万人もの人々が家を追われています。さらには9,000人以上の子どもが武装勢力に徴用されています2。人々は安全を求めてちりぢりに避難し、数百キロも離れた茂みや、収容人数を大幅に超えたキャンプでの生活を余儀なくされています。
喫緊のニーズとして、緊急医療、食糧、清潔な水の提供、そして市民の保護などが求められます。
■子どもの被害状況と子ども保護の必要性
今すぐ支援規模拡大の対策が講じられなければ、5歳未満の子どもの5万人以上が栄養失調で亡くなることが予測されています3。
また、多くの子どもたちが、友人や家族が暴行を受けたり殺害される瞬間や、家が略奪にあったり破壊される現場を目撃しています。さらには避難時の混乱の中で家族とはぐれてしまった子どもたちが何千人もいます。そうした子どもたちは、直ちに保護され、心理的ケアを受ける必要があります。
■飢きんリスクの高まり
南スーダンの人々が直面している飢餓は、このまま紛争が続いて人々が日常生活に戻れず、人道支援が届かなければ更に悪化し、深刻な飢きんになる恐れがあります。現在250万人の子どもが飢餓状態にあり、その数は増え続けています。
紛争の影響を最も受けたジョングレイ州、ユニティ州、上ナイル州の子どもたちは、学校を辞めて昼夜食用の野生植物を探して歩かなければなりません。多くの子どもが下痢に苦しみ、空腹で弱っているため死に至る場合もあります。予防や治療が可能なはずの栄養失調によって、幼い子どもたちが毎日亡くなっています。このような事態に対処するため、セーブ・ザ・チルドレンはアコボの医療センターで食糧の配布を行っており、毎日食糧を求める人々が何時間も歩いてやって来ます。
■マラリアやコレラの感染拡大の懸念
さらなる追い打ちとして南スーダンでは雨期が始まり、遠隔地への通行が困難になると同時に、子どもたちにはコレラやマラリアなどの伝染病の危機にさらされています。首都ジュバではこれまでに27人がコレラの感染で死亡。紛争の影響を最も受けた地域でも、コレラ感染が疑われるケースが発生しています。
【セーブ・ザ・チルドレンの南スーダンにおける緊急人道支援】
セーブ・ザ・チルドレンは、昨年12月の武力衝突の発生以来、南スーダン全土で緊急人道支援を実施し、これまでに4万人の子どもを含む13万人に支援を届けました。
■緊急支援物資の配布
昨年12月15日の武力衝突の発生直後からテント、毛布、防水シートや保存容器などの緊急支援物資の準備を開始。12月24日には第一回目の物資空輸を実施しています。
■栄養失調の治療
紛争の影響を最も受けた地域のセンターでは、重度の栄養失調の子どもに対する治療を行っている他、今後の飢餓への対策として、住民に農作物の種や農具を提供しています。
■家族との再会
家族とはぐれた2,500人以上の子どもを保護し、家族を探して再会させる活動を実施。これまでに160人以上の子どもが家族との再会を果たしました。
■子どもひろばの運営
子どもたちが安全な環境で遊び、学び、心的外傷の回復のためのサポートを受けられる子どもひろばを開設。6,000人以上の子どもが毎日利用しています。
■緊急医療支援
昨年12月の武力衝突の発生直後、セーブ・ザ・チルドレンが運営するニムレ(Nimule)病院には3万5千人が避難して来ました。現在も6千人が病院での避難生活を続けています。病院ではこれまでに多くの妊産婦や新生児患者を受け入れてきた他、できるだけ多くの人々が基本的な保健サービスを受けられるよう、移動診療所を設置しました。この移動診療所で1万5千人の子どもたちがはしかとポリオの予防接種を受けることができました。
■教育支援
避難生活を余儀なくされている子どもたちが継続して教育を受けられるよう、アウェリアル(Awerial)に仮設学校を設置。2,500人以上の子どもたちが通っています。
■周辺国へ避難した難民の支援
ケニア、ウガンダ、エチオピアなどの周辺国へ避難した難民のための社会心理的ケア、子どもひろばの設置、家族との再会支援を実施しています。
国連は、このまま十分な人道支援がなされなければ、アフリカにおける1980年代以来最悪の飢餓状態に陥ると警告しています。
「2月に南スーダンを訪れた時、私は避難途中で親とはぐれてしまった子どもたち、紛争に巻き込まれて負傷した子どもたち、避難先の茂みの中で出産しなければならなかった女性たちに会いました。現状のまま種植えの季節が過ぎてしまえば、秋に収穫できる作物が何もないのです。南スーダンの人々は、今すぐ助けを必要としています。」セーブ・ザ・チルドレンUK 事務局長 ジャスティン・フォーシス
セーブ・ザ・チルドレンでは、南スーダンの子どもたちを保護し、命を救う活動の継続のために100万ポンド(約1億7千万円)を必要としています。
1 OCHA - https://docs.unocha.org/sites/dms/CAP/CRP_2014_South_Sudan_Update_May_2014.pdf
2 Unicef – http://www.unicef.org/southsudan/reallives_14651.html
3 Unicef – http://www.unicef.org/media/media_73048.html
セーブ・ザ・チルドレンでは、南スーダンでの子ども支援活動を継続して実施しています。詳しくは、グローバルサイトをご覧ください。
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紛争によって引き裂かれ、飢きんリスクが高まる南スーダン。20年以上にわたる長い内戦の末に2011年7月に独立したばかりの世界で一番新しい国の未来は、危うい状態にあります。
セーブ・ザ・チルドレンの医療センターで栄養失調の検診を受ける生後10カ月の子ども
■犠牲になる人々
昨年12月に武力衝突が発生して以来、南スーダンの各地で子どもたちが犠牲になっています。学校や病院が襲撃され、何万人もの人々が殺され1、何十万人もの人々が家を追われています。さらには9,000人以上の子どもが武装勢力に徴用されています2。人々は安全を求めてちりぢりに避難し、数百キロも離れた茂みや、収容人数を大幅に超えたキャンプでの生活を余儀なくされています。
喫緊のニーズとして、緊急医療、食糧、清潔な水の提供、そして市民の保護などが求められます。
■子どもの被害状況と子ども保護の必要性
今すぐ支援規模拡大の対策が講じられなければ、5歳未満の子どもの5万人以上が栄養失調で亡くなることが予測されています3。
また、多くの子どもたちが、友人や家族が暴行を受けたり殺害される瞬間や、家が略奪にあったり破壊される現場を目撃しています。さらには避難時の混乱の中で家族とはぐれてしまった子どもたちが何千人もいます。そうした子どもたちは、直ちに保護され、心理的ケアを受ける必要があります。
■飢きんリスクの高まり
南スーダンの人々が直面している飢餓は、このまま紛争が続いて人々が日常生活に戻れず、人道支援が届かなければ更に悪化し、深刻な飢きんになる恐れがあります。現在250万人の子どもが飢餓状態にあり、その数は増え続けています。
紛争の影響を最も受けたジョングレイ州、ユニティ州、上ナイル州の子どもたちは、学校を辞めて昼夜食用の野生植物を探して歩かなければなりません。多くの子どもが下痢に苦しみ、空腹で弱っているため死に至る場合もあります。予防や治療が可能なはずの栄養失調によって、幼い子どもたちが毎日亡くなっています。このような事態に対処するため、セーブ・ザ・チルドレンはアコボの医療センターで食糧の配布を行っており、毎日食糧を求める人々が何時間も歩いてやって来ます。
■マラリアやコレラの感染拡大の懸念
さらなる追い打ちとして南スーダンでは雨期が始まり、遠隔地への通行が困難になると同時に、子どもたちにはコレラやマラリアなどの伝染病の危機にさらされています。首都ジュバではこれまでに27人がコレラの感染で死亡。紛争の影響を最も受けた地域でも、コレラ感染が疑われるケースが発生しています。
【セーブ・ザ・チルドレンの南スーダンにおける緊急人道支援】
セーブ・ザ・チルドレンは、昨年12月の武力衝突の発生以来、南スーダン全土で緊急人道支援を実施し、これまでに4万人の子どもを含む13万人に支援を届けました。
■緊急支援物資の配布
昨年12月15日の武力衝突の発生直後からテント、毛布、防水シートや保存容器などの緊急支援物資の準備を開始。12月24日には第一回目の物資空輸を実施しています。
■栄養失調の治療
紛争の影響を最も受けた地域のセンターでは、重度の栄養失調の子どもに対する治療を行っている他、今後の飢餓への対策として、住民に農作物の種や農具を提供しています。
■家族との再会
家族とはぐれた2,500人以上の子どもを保護し、家族を探して再会させる活動を実施。これまでに160人以上の子どもが家族との再会を果たしました。
■子どもひろばの運営
子どもたちが安全な環境で遊び、学び、心的外傷の回復のためのサポートを受けられる子どもひろばを開設。6,000人以上の子どもが毎日利用しています。
■緊急医療支援
昨年12月の武力衝突の発生直後、セーブ・ザ・チルドレンが運営するニムレ(Nimule)病院には3万5千人が避難して来ました。現在も6千人が病院での避難生活を続けています。病院ではこれまでに多くの妊産婦や新生児患者を受け入れてきた他、できるだけ多くの人々が基本的な保健サービスを受けられるよう、移動診療所を設置しました。この移動診療所で1万5千人の子どもたちがはしかとポリオの予防接種を受けることができました。
■教育支援
避難生活を余儀なくされている子どもたちが継続して教育を受けられるよう、アウェリアル(Awerial)に仮設学校を設置。2,500人以上の子どもたちが通っています。
■周辺国へ避難した難民の支援
ケニア、ウガンダ、エチオピアなどの周辺国へ避難した難民のための社会心理的ケア、子どもひろばの設置、家族との再会支援を実施しています。
国連は、このまま十分な人道支援がなされなければ、アフリカにおける1980年代以来最悪の飢餓状態に陥ると警告しています。
「2月に南スーダンを訪れた時、私は避難途中で親とはぐれてしまった子どもたち、紛争に巻き込まれて負傷した子どもたち、避難先の茂みの中で出産しなければならなかった女性たちに会いました。現状のまま種植えの季節が過ぎてしまえば、秋に収穫できる作物が何もないのです。南スーダンの人々は、今すぐ助けを必要としています。」セーブ・ザ・チルドレンUK 事務局長 ジャスティン・フォーシス
セーブ・ザ・チルドレンでは、南スーダンの子どもたちを保護し、命を救う活動の継続のために100万ポンド(約1億7千万円)を必要としています。
1 OCHA - https://docs.unocha.org/sites/dms/CAP/CRP_2014_South_Sudan_Update_May_2014.pdf
2 Unicef – http://www.unicef.org/southsudan/reallives_14651.html
3 Unicef – http://www.unicef.org/media/media_73048.html
南スーダンを含む、世界中の子どもたちへの支援にご協力をお願いします。
セーブ・ザ・チルドレンでは、南スーダンでの子ども支援活動を継続して実施しています。詳しくは、グローバルサイトをご覧ください。
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