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スリランカ
(公開日:2014.12.03)

スリランカ北部での就学前教育(vol.2)(2014.12.03)

 
内戦の終結から5年が経ち、北部州の州都であるジャフナや、コロンボから北部州に通じる大きな幹線道路沿いにあるワウニヤやキリノッチといった地域の中核となる町には、大きなショッピングセンターやホテルが出来たり、工場が進出したりと復興も進んでいます。一方で、事業地であるムラティブではこうした恩恵はまだ受けておらず、まだまだ自立までの道のりは遠く、様々な分野で支援が必要とされています。


ジャフナにオープンした映画館も併設するショッピングセンターの内部の様子
(スリランカ北部州政府のホームページから)


キリノッチにある大規模な衣料品工場の様子
(スリランカ北部州政府ホームページから)



ムラティブで修復が進んでいない民家


ムラティブの主要道路沿いにある商店と修復されずにある民家

前回のスリランカ北部での就学前教育(vol.1)のブログでは、同地域での就学前教育の現状についてお知らせいたしました。 今回は就学前教育センターに勤める教員に焦点を当てたいと思います。

スリランカでは伝統的に就学前教育センターの教員は女性が務めるものとされ、政府が本格的に就学前教育に取り組むずっと前から、女性が自発的に自宅で子どもたちを集めて一緒に遊んだり、学んだりしていたという伝統があちこちであったようです。現在でも事業地においては教員の100%が女性です。コミュニティの中から優秀な女性をセンターの教員に推薦したり、学校を卒業した女性が自発的にセンターの教員になったりしています。しかしながら、センターに勤める教員が幼児教育の資格を取得・保持することがつい最近まで義務化されておらず、そのため現在でも資格のないまま、経験を頼りに子どもたちと触れ合ってきた教員が多くいます。

最近になり、北部州では、州内のすべてのセンターに勤める教員に対し、幼児教育の資格を取得することを義務付ける規定を発表しました。一方で、未だ資格を持たない教員もまだたくさんおり、教員の資格取得のニーズが事業地であるムラティブ教育局やトゥヌッカイ教育局から挙げられていました。そこで、事業では現在もセンターに勤めながらも資格を持たない教員を対象に、資格コース受講の支援を行っています。現在、計75名の教員が週末や祝日を利用してコースに参加しています。


小学校の教室を借りてコースの講義を受ける教員たち

スリランカにおいては、シンハラ語とタミル語が公用語ですが、タミル人が多く住む北部や東部では、タミル語で教えられるコースが必要になります。また、タミル社会の文化や習慣も踏まえた上で、当会の知見や経験を活かすことが可能なコースを現地のNGOとの協働で提供しています。

教員資格コースは360時間に及ぶ講義を受けたのち、試験が実施され、試験に合格した教員のみ資格を授与されます。コースの内容については、理論としての子どもの権利、就学前教育の理念と原則、幼児心理学等になります。


1回目の試験の様子。どの教員も真剣です。

本事業では、教員資格コースの実施のほかに、子どもにやさしい教授法研修の実施も計画しています。こちらについてもブログでご報告していきます。

本事業は、皆さまからのご寄付、およびJICA草の根技術協力事業、また三平商会(ドコモショップ館山店)様からのご支援により実施しています。

スリランカ担当:利川







 

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