スリランカ(公開日:2015.06.04)
コロンボ郊外の経済発展から取り残された地域における教育支援事業(2015.06.04)
スリランカでは数十年続いていた内戦が2009年に終わり、人々はようやく平和を享受し始めています。人々の生活も安定しつつあり、経済も目覚ましい発展を遂げています。一人あたりの名目GDPも2012年には2,800ドルを超え、世界銀行による分類では、インドネシアやフィリピンなどと同じカテゴリに入る中所得国として位置づけられています。
経済の中心都市であるコロンボでは高層ビルやホテルの建設ラッシュが続き、外国からの観光客も多くなり、街中のカフェではスマートフォン片手に談笑する若者たちの姿も一般的です。その一方で、経済発展の恩恵を受けない地方や一般市民の生活は一層苦しいものとなり、経済格差の広がりが深刻な問題となりつつあります。
コロンボ県南郊に位置するホーマガマ市も、コロンボ中心部からわずか24?しか離れていないにも関わらず、こうした経済発展から取り残された地域の一つです。幹線道路沿いこそ様々な商店が軒を連ね、そこそこ活況を呈しているように見えるものの、幹線道路を一歩離れると、稲作以外はこれといった産業もない貧しい地域です。
この地域の学校に通う559人の生徒たちの父親の多くが、不安定な日雇いの建設労働に従事し、家計を支えるために母親が中東やシンガポールなどにメイドとして出稼ぎに出ている世帯も少なくありません。
経済の中心都市コロンボの発展の様子 コロンボ近郊ホーマガマ市のある家庭の様子
今回、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが支援を実施したハバラカダ小中一貫校は、敷地内の校舎数こそ多いものの、教室の設備は十分整備されておらず、教室も古くなっていて壊れているところもあり、子どもたちが集中して授業を受けるために整備の必要性が挙げられていました。また、家庭科の授業ができない状況にあり、生徒たちは他の学校に行かざるを得なかったり、授業をあきらめざるを得ませんでした。
支援前の校舎の様子(左:正面、右:校舎の裏)
(左)内部の様子 (右)同じ校舎の2年生の教室
そこで、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは質の高い教育環境を提供することを目標として事業を実施しました。事業では、傷みの激しい教室の修復と、既存校舎の一部を改築して家庭科室を新しく設置しました。修復前の教室で学んでいた子どもたちは、当時のことを次のように話してくれました。
「以前は、ドア、網戸そして床が壊れていました。屋根も壊れていたので、雨季は雨漏りがしていました。」(ニルピル・ネトウミナ・ウェラシンゲ君(6年生))
「教室に電灯が付いていなかったので、雨季のときは暗くて教科書にある文字がきちんと読めませんでした。ドア、窓そして網戸が壊れていた時は、猫や犬が教室に入ってきていました。今までは、家庭科室がなかったので、家庭科を学ぶことができませんでした。」(ルース・ニシャンサララ・デシルバさん(6年生))
修復前のことを語ってくれたニルピル・ネトウミナ・ウェラシンゲ君(左)とルース・ニシャンサララ・デシルバさん(右)
家庭科室が新設されたことで今まで満足に行えていなかった家庭科の実習授業が行えるようになりました。新たにできた教室で授業を担当するワン・ディレルクシ先生も、「学校が綺麗になり、きちんとした教室ができてとても嬉しいです。安全面もきちんと考慮された教室作りなっており安心しました。」と語ってくれました。
(左)新設された家庭科室と教室のある建物 (右)家庭科室には水道も設置
また、あちこちに傷みが見られ、衛生状況の悪化が懸念されていたトイレも修復したことで、子どもたちが安心してトイレを使うことが出来るようになりました。以前はトイレに洗面所がなかったために、衛生的な環境とは程遠い状況でした。今回、洗面所も設置したために、子どもたちは衛生的にも安心して学校生活を送れるようになりました。
支援前のトイレの様子
(左)新設されたトイレ (右)洗面所も設置され、手の洗い方も学んだ
このほか、子どもたちの声を聴いたうえで、保護者や教員からなる学校運営委員会による学校運営計画作成のサポートを行いました。
スリランカの中心都市であるコロンボの近郊にありながら、経済発展の恩恵から取り残されていた地域に新たな教室が出来たことで、ハバラカダ小中一貫校に通う子どもたちだけでなく、保護者、学校関係者、地域の人々も喜んでいます。教育こそが未来を拓く鍵になるだけに、子どもたちにより良い学習環境を提供できることで、きっと明るい未来を開いてくれるとこの地に住む人々は期待しています。今後は、子どもたちも含めて自分たちでさらにより良い学校づくりに参加してくれるに違いありません。
本事業は、皆さまからのご寄付、および株式会社CHINTAIからのご支援により実施いたしました。
スリランカ担当:利川
経済の中心都市であるコロンボでは高層ビルやホテルの建設ラッシュが続き、外国からの観光客も多くなり、街中のカフェではスマートフォン片手に談笑する若者たちの姿も一般的です。その一方で、経済発展の恩恵を受けない地方や一般市民の生活は一層苦しいものとなり、経済格差の広がりが深刻な問題となりつつあります。
コロンボ県南郊に位置するホーマガマ市も、コロンボ中心部からわずか24?しか離れていないにも関わらず、こうした経済発展から取り残された地域の一つです。幹線道路沿いこそ様々な商店が軒を連ね、そこそこ活況を呈しているように見えるものの、幹線道路を一歩離れると、稲作以外はこれといった産業もない貧しい地域です。
この地域の学校に通う559人の生徒たちの父親の多くが、不安定な日雇いの建設労働に従事し、家計を支えるために母親が中東やシンガポールなどにメイドとして出稼ぎに出ている世帯も少なくありません。
経済の中心都市コロンボの発展の様子 コロンボ近郊ホーマガマ市のある家庭の様子
今回、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが支援を実施したハバラカダ小中一貫校は、敷地内の校舎数こそ多いものの、教室の設備は十分整備されておらず、教室も古くなっていて壊れているところもあり、子どもたちが集中して授業を受けるために整備の必要性が挙げられていました。また、家庭科の授業ができない状況にあり、生徒たちは他の学校に行かざるを得なかったり、授業をあきらめざるを得ませんでした。
支援前の校舎の様子(左:正面、右:校舎の裏)
(左)内部の様子 (右)同じ校舎の2年生の教室
そこで、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは質の高い教育環境を提供することを目標として事業を実施しました。事業では、傷みの激しい教室の修復と、既存校舎の一部を改築して家庭科室を新しく設置しました。修復前の教室で学んでいた子どもたちは、当時のことを次のように話してくれました。
「以前は、ドア、網戸そして床が壊れていました。屋根も壊れていたので、雨季は雨漏りがしていました。」(ニルピル・ネトウミナ・ウェラシンゲ君(6年生))
「教室に電灯が付いていなかったので、雨季のときは暗くて教科書にある文字がきちんと読めませんでした。ドア、窓そして網戸が壊れていた時は、猫や犬が教室に入ってきていました。今までは、家庭科室がなかったので、家庭科を学ぶことができませんでした。」(ルース・ニシャンサララ・デシルバさん(6年生))
修復前のことを語ってくれたニルピル・ネトウミナ・ウェラシンゲ君(左)とルース・ニシャンサララ・デシルバさん(右)
家庭科室が新設されたことで今まで満足に行えていなかった家庭科の実習授業が行えるようになりました。新たにできた教室で授業を担当するワン・ディレルクシ先生も、「学校が綺麗になり、きちんとした教室ができてとても嬉しいです。安全面もきちんと考慮された教室作りなっており安心しました。」と語ってくれました。
(左)新設された家庭科室と教室のある建物 (右)家庭科室には水道も設置
また、あちこちに傷みが見られ、衛生状況の悪化が懸念されていたトイレも修復したことで、子どもたちが安心してトイレを使うことが出来るようになりました。以前はトイレに洗面所がなかったために、衛生的な環境とは程遠い状況でした。今回、洗面所も設置したために、子どもたちは衛生的にも安心して学校生活を送れるようになりました。
支援前のトイレの様子
(左)新設されたトイレ (右)洗面所も設置され、手の洗い方も学んだ
このほか、子どもたちの声を聴いたうえで、保護者や教員からなる学校運営委員会による学校運営計画作成のサポートを行いました。
スリランカの中心都市であるコロンボの近郊にありながら、経済発展の恩恵から取り残されていた地域に新たな教室が出来たことで、ハバラカダ小中一貫校に通う子どもたちだけでなく、保護者、学校関係者、地域の人々も喜んでいます。教育こそが未来を拓く鍵になるだけに、子どもたちにより良い学習環境を提供できることで、きっと明るい未来を開いてくれるとこの地に住む人々は期待しています。今後は、子どもたちも含めて自分たちでさらにより良い学校づくりに参加してくれるに違いありません。
本事業は、皆さまからのご寄付、および株式会社CHINTAIからのご支援により実施いたしました。
スリランカ担当:利川