アフリカ(公開日:2020.12.17)
イエメンや南スーダンを含む11ヶ国で5歳未満の子ども1,100万人が極度の食料不足や飢えに直面
セーブ・ザ・チルドレンは、アフリカやカリブ海、中東、アジア地域の11ヶ国に住む5歳未満の約1,100万人の子どもたちが、極度の食料不足や飢えに直面しており、イエメンと南スーダンでは飢饉の危険性があることを分析から明らかにしました。これらの分析には、世界食糧計画(WFP)と総合的食料安全保障レベル分類 (Integrated Food Security Phase Classification、略称IPC)[1]、国連の人口データなどを利用しました。
生まれてからの5年間は、成長や発達に重要な時期です。この間、栄養価の高い食料が食べられなかったり、適切な栄養を摂取できない子どもたちは、急性栄養不良に陥るリスクが高くなります。急性栄養不良によって発育阻害を起こしたり心身の発達が妨げられたり、他の病気にり患する可能性も高くなり、最終的には死に至ることもあります。
私たちは、深刻な食料危機に直面し、治安の悪化がそれに拍車をかけている「飢餓のホットスポット」と呼ばれる5つの国と地域―アフガニスタン、イエメン、南スーダン、コンゴ民主共和国、中央サヘル地域(マリ、ニジェール、ブルキナファソ)に暮らす子どもたちの状況を懸念しています。セーブ・ザ・チルドレンは、国際社会に対して、人道危機を回避するために、迅速な支援を呼びかけています。
南スーダンのアビエイで生活するアブクさん(38歳)は、3人の子どもに食事を食べさせられないことが多いと話します。娘のアケールさん(8ヶ月)は深刻な栄養不良に苦しんでいますが、近くに医療施設がないため、診療のために60キロ以上歩いてクリニックに行きます。
アブクさんは次のように話します。
「私が稼ぐお金では、子どもたちをお腹いっぱい食べさせることができません。娘は、体重が減り始めましたが、3日間一切口にするものがなく過ごしました。私が十分に食べられなかったために母乳が出なかったことも原因です。2019年の干ばつと2020年の洪水により十分に穀物を収穫できなかったため、家には子どもたちに食べさせるものがありません。」
イエメンのハムディさん(2歳)は、セーブ・ザ・チルドレンのクリニックで栄養不良と診断されました。父親のサレーさんは、ハムディさんの体調が悪化したとき、息子を失うのではないかという恐怖にかられたと話します。サレーさんは、次のように話しました。
「正直に言って、生活は苦しいです。仕事はあったり、なかったりです。皆、過酷な環境下で生活していて、病気はどこでもまん延しています。私の息子は体調が優れず、死んでしまうのではないかと思いました。何度も病院に連れて行こうとしましたが、燃料不足にともなう価格高騰で交通費が足りませんでした。」
紛争により荒廃しているイエメンでは、1,030万人の子どもたちが食料不足に直面しています。国の南半分だけで、5歳未満の子どもたち58万7,573人が急性栄養不良に苦しんでおり、うち10万人近くの子どもたちは瀕死の状態にあります。さらに、北部の地域も非常に危険な状況です。食料価格の急激な高騰により、毎日の食事に大きな影響が及び急性栄養不良と診断される子どもたちの増加と飢饉の危険もあります。
アフガニスタンも、食料危機の最前線に立たされています。5歳未満の子ども150万人以上を含む人口の3分の1が深刻な食料不足に直面しています。新型コロナウイルス感染症の拡大、感染症予防のための移動制限、就労が困難な状況、そして食料価格の高騰などにより、食料危機が過去最大の規模で都市部にまで広がり、治安や暴動も事態を悪化させています。
コンゴ民主共和国では、国内の政情不安や紛争により、人々が食料を手に入れることが困難になっています。そして、この国に暮らす5歳未満の子ども400万人を含む2,180万人が食料不足に直面しています。東部の治安悪化は、世界で最も複雑化した人道危機にあるといわれる国の食料安全保障に新たな課題をもたらしています。
南スーダンの子どもたちは、長期化する紛争、洪水や貧しい経済などさまざまな要因が積み重なり、深刻な危険にさらされています。経済状況は、家計に大きな打撃を与えたほか、食料生産やマーケットを崩壊させ、400万人が家を追われました。今年、人口の半数以上にあたる650万人(うち約100万人が5歳未満の子どもたち)が食料危機に直面しており、30万人の子どもたちは重度急性栄養不良に苦しみ、この国は飢饉に陥る潜在的なリスクに直面しています。
中央サヘル地域のブルキナファソやマリ、ナイジェリアは、長年にわたり気候変動による影響を受けた結果、食料の入手が不安定化し、人々の栄養状態が危機的な状況になっています。ここ数年間、地域全体での治安の悪化は、社会福祉サービスの利用や食料生産、牧畜経済を阻害し問題を悪化させています。この3ヶ国では、65万人以上の5歳未満の子どもたちが、深刻な食料不足に直面しています。
空腹と栄養不良に苦しむ数百万人の子どもたちが、迅速な支援を必要としています。人道支援がさらに広範囲で利用されるべき時にその利用が制限されることで、人々は栄養価の高い食料を手に入れられないだけでなく、栄養不良を治療する保健医療サービスを利用することができない状況に直面しています。
セーブ・ザ・チルドレンは、国際社会に対して、多くの命が犠牲になる前に、深刻な食料不足に直面する家族への緊急支援を優先するよう訴えます。基礎的な栄養支援と並行して、現金支援やバウチャー制度による支援をすることは、短期的に食料不足と栄養不良に対応するための最善策の一つであり、同時に、家族が将来同様の事態が起こったときに対処できるよう長期的なコミュニティのレジリエンス(回復力)を支援することにもつながります。
[1] IPC基準3以上に該当する5歳未満の子どもたちの数。IPC(Integrated Phse Classification/ Cadre Harmonisé)は、早期に飢饉の状態を警告するシステムであり、食料危機を段階に応じて分類しています。フェーズ3とは、地域レベルでの栄養不良が高い状態の食料危機を、フェーズ4は深刻な食料危機と超過死亡率に達した状態を、フェーズ5は人道的危機および高い死亡率を伴う飢饉を示します。
[2] イエメン南部のデータはこちらからアクセスできます。イエメン北部のデータは現在まだアクセスできない状態です。
生まれてからの5年間は、成長や発達に重要な時期です。この間、栄養価の高い食料が食べられなかったり、適切な栄養を摂取できない子どもたちは、急性栄養不良に陥るリスクが高くなります。急性栄養不良によって発育阻害を起こしたり心身の発達が妨げられたり、他の病気にり患する可能性も高くなり、最終的には死に至ることもあります。
私たちは、深刻な食料危機に直面し、治安の悪化がそれに拍車をかけている「飢餓のホットスポット」と呼ばれる5つの国と地域―アフガニスタン、イエメン、南スーダン、コンゴ民主共和国、中央サヘル地域(マリ、ニジェール、ブルキナファソ)に暮らす子どもたちの状況を懸念しています。セーブ・ザ・チルドレンは、国際社会に対して、人道危機を回避するために、迅速な支援を呼びかけています。
南スーダンのアビエイで生活するアブクさん(38歳)は、3人の子どもに食事を食べさせられないことが多いと話します。娘のアケールさん(8ヶ月)は深刻な栄養不良に苦しんでいますが、近くに医療施設がないため、診療のために60キロ以上歩いてクリニックに行きます。
アブクさんは次のように話します。
「私が稼ぐお金では、子どもたちをお腹いっぱい食べさせることができません。娘は、体重が減り始めましたが、3日間一切口にするものがなく過ごしました。私が十分に食べられなかったために母乳が出なかったことも原因です。2019年の干ばつと2020年の洪水により十分に穀物を収穫できなかったため、家には子どもたちに食べさせるものがありません。」
イエメンのハムディさん(2歳)は、セーブ・ザ・チルドレンのクリニックで栄養不良と診断されました。父親のサレーさんは、ハムディさんの体調が悪化したとき、息子を失うのではないかという恐怖にかられたと話します。サレーさんは、次のように話しました。
「正直に言って、生活は苦しいです。仕事はあったり、なかったりです。皆、過酷な環境下で生活していて、病気はどこでもまん延しています。私の息子は体調が優れず、死んでしまうのではないかと思いました。何度も病院に連れて行こうとしましたが、燃料不足にともなう価格高騰で交通費が足りませんでした。」
紛争により荒廃しているイエメンでは、1,030万人の子どもたちが食料不足に直面しています。国の南半分だけで、5歳未満の子どもたち58万7,573人が急性栄養不良に苦しんでおり、うち10万人近くの子どもたちは瀕死の状態にあります。さらに、北部の地域も非常に危険な状況です。食料価格の急激な高騰により、毎日の食事に大きな影響が及び急性栄養不良と診断される子どもたちの増加と飢饉の危険もあります。
アフガニスタンも、食料危機の最前線に立たされています。5歳未満の子ども150万人以上を含む人口の3分の1が深刻な食料不足に直面しています。新型コロナウイルス感染症の拡大、感染症予防のための移動制限、就労が困難な状況、そして食料価格の高騰などにより、食料危機が過去最大の規模で都市部にまで広がり、治安や暴動も事態を悪化させています。
コンゴ民主共和国では、国内の政情不安や紛争により、人々が食料を手に入れることが困難になっています。そして、この国に暮らす5歳未満の子ども400万人を含む2,180万人が食料不足に直面しています。東部の治安悪化は、世界で最も複雑化した人道危機にあるといわれる国の食料安全保障に新たな課題をもたらしています。
南スーダンの子どもたちは、長期化する紛争、洪水や貧しい経済などさまざまな要因が積み重なり、深刻な危険にさらされています。経済状況は、家計に大きな打撃を与えたほか、食料生産やマーケットを崩壊させ、400万人が家を追われました。今年、人口の半数以上にあたる650万人(うち約100万人が5歳未満の子どもたち)が食料危機に直面しており、30万人の子どもたちは重度急性栄養不良に苦しみ、この国は飢饉に陥る潜在的なリスクに直面しています。
中央サヘル地域のブルキナファソやマリ、ナイジェリアは、長年にわたり気候変動による影響を受けた結果、食料の入手が不安定化し、人々の栄養状態が危機的な状況になっています。ここ数年間、地域全体での治安の悪化は、社会福祉サービスの利用や食料生産、牧畜経済を阻害し問題を悪化させています。この3ヶ国では、65万人以上の5歳未満の子どもたちが、深刻な食料不足に直面しています。
空腹と栄養不良に苦しむ数百万人の子どもたちが、迅速な支援を必要としています。人道支援がさらに広範囲で利用されるべき時にその利用が制限されることで、人々は栄養価の高い食料を手に入れられないだけでなく、栄養不良を治療する保健医療サービスを利用することができない状況に直面しています。
セーブ・ザ・チルドレンは、国際社会に対して、多くの命が犠牲になる前に、深刻な食料不足に直面する家族への緊急支援を優先するよう訴えます。基礎的な栄養支援と並行して、現金支援やバウチャー制度による支援をすることは、短期的に食料不足と栄養不良に対応するための最善策の一つであり、同時に、家族が将来同様の事態が起こったときに対処できるよう長期的なコミュニティのレジリエンス(回復力)を支援することにもつながります。
[1] IPC基準3以上に該当する5歳未満の子どもたちの数。IPC(Integrated Phse Classification/ Cadre Harmonisé)は、早期に飢饉の状態を警告するシステムであり、食料危機を段階に応じて分類しています。フェーズ3とは、地域レベルでの栄養不良が高い状態の食料危機を、フェーズ4は深刻な食料危機と超過死亡率に達した状態を、フェーズ5は人道的危機および高い死亡率を伴う飢饉を示します。
[2] イエメン南部のデータはこちらからアクセスできます。イエメン北部のデータは現在まだアクセスできない状態です。