アフリカ(公開日:2024.05.31)
【アフリカ東部】洪水で40万人以上が被災:ケニア・ウガンダ
アフリカ東部では、雨季にあたる3月から5月にかけて、エルニーニョ現象がもたらした豪雨により、甚大な被害が発生しています。
ケニアでは、近年の気候変動の影響による水や食料の不足、教育や保健サービスへの不安定なアクセスが人道的課題となっています。
過去数年間の洪水や干ばつにより、約200万人が食料不足に直面し[1]、約85万人もの5歳以下の子どもが栄養不良のリスクに晒されています[2]。
こうした状況から回復する前に、エルニーニョ現象によって引き起こされた今回の洪水は、平年を超える降雨によって、ケニア全土で子どもたちとその家族に深刻な影響をもたらしています。
国連人道問題調整事務所(OCHA)のまとめた報告によれば、これまでに291人が亡くなっており、188人が負傷し、75人が行方不明になっています。
洪水により多くの家屋が浸水し、現在27万8,380人が避難を余儀なくされています。被災した世帯数は8万2,552世帯、被災者数は41万2,763人にのぼります。
さらに、少なくとも1万1,311頭の家畜が失われ、約2万ヘクタールの農地や1,023の中小事業所が被害を受けるなど、国内経済の衰退も懸念されています[3]。
また、継続的な豪雨や洪水、市街地での浸水被害により水系感染症などの感染症や家畜の伝染病の流行も懸念されています。
今回の洪水被害で甚大な影響を受けているケニアの首都ナイロビのスラム地域では、すでに下水の氾濫が起きており、コレラ感染のリスクが急増しています。
さらには、このような状況下で、子どもたちが勉強を継続できない状況に置かれています。洪水により、通学が不可能になるだけでなく、机や椅子などの教育機材が破壊され、校舎が浸水し倒壊した学校もあります。
また、校舎が避難所として使用されているため、多くの子どもたちが1ヶ月以上学校に通うことができていません。加えて、このような自然災害を経験したことにより、子どもたちの心にも大きな負荷がかかっています。
避難所においても、多くの課題が生じています。現在、国内178ヶ所の避難所で、7万1,704人が避難生活を余儀なくされており[3]、避難民たちは食料や水の不足、住居および生計手段の喪失など、生命を脅かす問題に直面しています。
また、こういった緊急下では子どもや女性などの社会的に脆弱的な人々が暴力に晒されやすくなるため、彼らに対する保護を強化する必要もあります。
ウガンダにおいても、同様の豪雨により洪水や土砂崩れが発生しています。特に、ウガンダ西部のカセセ県は、気候変動の影響で近年毎年のように洪水や干ばつの被害を受けています。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンも複数年にわたり、この地域で防災や生計向上、栄養改善事業を実施してきました。
今年は通常よりも降雨量が増加し、その結果、主要な川が氾濫し、県全体で被害が広がっています。特に山岳地域では、丘陵地や傾斜地に住宅が建設されることが多いため、家屋の地盤が弱い傾向にあります。
さらに、土地が限られていることから、従来から地滑りが発生しやすい土地にも家屋が建てられており、これが洪水や土砂崩れの被害をより甚大なものにしています。
セーブ・ザ・チルドレンのウガンダ事務所からの被害報告によると、これまでに13人が死亡し、8人が病院に搬送され、1人が行方不明であり、被災した世帯数は1,988世帯、被災者数は8,620人に上ります。多くの家屋が崩壊し、約680ヘクタールの農地および11本の道路が冠水するなど、基礎インフラや地域経済など多方面に影響がでています。
現在、避難所での生活を余儀なくされているのは、509世帯で、その総人数は2,910人にのぼり、そのうち65%が子どもと女性です。また、今回の洪水およびそれに続く土砂崩れにより、地域内の6校の学校が被害をうけ、多くの子どもたちが学校に通えていない状況が続いています。
セーブ・ザ・チルドレンは、今回の洪水被害に対し、これまでケニアにおいて緊急・人道支援を行ってきました。
特に、被災した子どもやその家族に対し、教育、子どもの保護、保健・栄養、生計、水・衛生分野での包括的な緊急支援および復興事業を通し、子どもとその家族の権利実現を目指しています。
具体的には、現金給付、衛生用品および教育物資の配布、精神保健・心理社会的支援(こころのケア)の提供を行っています。
また、ウガンダにおいても、初動調査を実施しつつ、これまでの経験を活かし、自治体などと連携し避難民への支援を行っています。さらに、今回の自然災害で被災した子どもたちへの心理社会的支援を行うための準備も進行中です。一方で、今後支援を強化するためには、財源が不足しているという課題もあります。
すべての子どもたちが、失った教育機会や日常生活を取り戻すためには、今後さらなる支援が必要になります。また、将来発生するであろう自然災害に備えた支援の準備も不可欠です。
<いのち・みらい貯金箱>
セーブ・ザ・チルドレンは、国内外の緊急・人道支援の最前線で、保健医療、食料やこころのケアなど幅広い支援を提供し、子どもたちの命と未来を守るために活動しています。「いのち・みらい貯金箱」は、緊急支援が必要な地で迅速に支援を行うための資金です。世界各地の自然災害や人道危機における支援に役立てられます。
[1] Short Rains Assessment, Feb 2024, NDMA
[2] Kenya Nutrition Situation Overview-Feb 2024
[3] Kenya: Heavy Rains and Flooding Update-Flash Update #6 (17 May 2024), OCHA
ケニアでは、近年の気候変動の影響による水や食料の不足、教育や保健サービスへの不安定なアクセスが人道的課題となっています。
過去数年間の洪水や干ばつにより、約200万人が食料不足に直面し[1]、約85万人もの5歳以下の子どもが栄養不良のリスクに晒されています[2]。
こうした状況から回復する前に、エルニーニョ現象によって引き起こされた今回の洪水は、平年を超える降雨によって、ケニア全土で子どもたちとその家族に深刻な影響をもたらしています。
国連人道問題調整事務所(OCHA)のまとめた報告によれば、これまでに291人が亡くなっており、188人が負傷し、75人が行方不明になっています。
洪水により多くの家屋が浸水し、現在27万8,380人が避難を余儀なくされています。被災した世帯数は8万2,552世帯、被災者数は41万2,763人にのぼります。
さらに、少なくとも1万1,311頭の家畜が失われ、約2万ヘクタールの農地や1,023の中小事業所が被害を受けるなど、国内経済の衰退も懸念されています[3]。
また、継続的な豪雨や洪水、市街地での浸水被害により水系感染症などの感染症や家畜の伝染病の流行も懸念されています。
今回の洪水被害で甚大な影響を受けているケニアの首都ナイロビのスラム地域では、すでに下水の氾濫が起きており、コレラ感染のリスクが急増しています。
さらには、このような状況下で、子どもたちが勉強を継続できない状況に置かれています。洪水により、通学が不可能になるだけでなく、机や椅子などの教育機材が破壊され、校舎が浸水し倒壊した学校もあります。
また、校舎が避難所として使用されているため、多くの子どもたちが1ヶ月以上学校に通うことができていません。加えて、このような自然災害を経験したことにより、子どもたちの心にも大きな負荷がかかっています。
避難所においても、多くの課題が生じています。現在、国内178ヶ所の避難所で、7万1,704人が避難生活を余儀なくされており[3]、避難民たちは食料や水の不足、住居および生計手段の喪失など、生命を脅かす問題に直面しています。
また、こういった緊急下では子どもや女性などの社会的に脆弱的な人々が暴力に晒されやすくなるため、彼らに対する保護を強化する必要もあります。
ウガンダにおいても、同様の豪雨により洪水や土砂崩れが発生しています。特に、ウガンダ西部のカセセ県は、気候変動の影響で近年毎年のように洪水や干ばつの被害を受けています。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンも複数年にわたり、この地域で防災や生計向上、栄養改善事業を実施してきました。
今年は通常よりも降雨量が増加し、その結果、主要な川が氾濫し、県全体で被害が広がっています。特に山岳地域では、丘陵地や傾斜地に住宅が建設されることが多いため、家屋の地盤が弱い傾向にあります。
さらに、土地が限られていることから、従来から地滑りが発生しやすい土地にも家屋が建てられており、これが洪水や土砂崩れの被害をより甚大なものにしています。
セーブ・ザ・チルドレンのウガンダ事務所からの被害報告によると、これまでに13人が死亡し、8人が病院に搬送され、1人が行方不明であり、被災した世帯数は1,988世帯、被災者数は8,620人に上ります。多くの家屋が崩壊し、約680ヘクタールの農地および11本の道路が冠水するなど、基礎インフラや地域経済など多方面に影響がでています。
現在、避難所での生活を余儀なくされているのは、509世帯で、その総人数は2,910人にのぼり、そのうち65%が子どもと女性です。また、今回の洪水およびそれに続く土砂崩れにより、地域内の6校の学校が被害をうけ、多くの子どもたちが学校に通えていない状況が続いています。
セーブ・ザ・チルドレンは、今回の洪水被害に対し、これまでケニアにおいて緊急・人道支援を行ってきました。
特に、被災した子どもやその家族に対し、教育、子どもの保護、保健・栄養、生計、水・衛生分野での包括的な緊急支援および復興事業を通し、子どもとその家族の権利実現を目指しています。
具体的には、現金給付、衛生用品および教育物資の配布、精神保健・心理社会的支援(こころのケア)の提供を行っています。
また、ウガンダにおいても、初動調査を実施しつつ、これまでの経験を活かし、自治体などと連携し避難民への支援を行っています。さらに、今回の自然災害で被災した子どもたちへの心理社会的支援を行うための準備も進行中です。一方で、今後支援を強化するためには、財源が不足しているという課題もあります。
すべての子どもたちが、失った教育機会や日常生活を取り戻すためには、今後さらなる支援が必要になります。また、将来発生するであろう自然災害に備えた支援の準備も不可欠です。
災害や人道危機から子どもたちの命と未来を守るためのセーブ・ザ・チルドレンの活動へのご支援をお願いします。「いのち・みらい貯金箱」へのご寄付はこちらhttps://bit.ly/400trpi
<いのち・みらい貯金箱>
セーブ・ザ・チルドレンは、国内外の緊急・人道支援の最前線で、保健医療、食料やこころのケアなど幅広い支援を提供し、子どもたちの命と未来を守るために活動しています。「いのち・みらい貯金箱」は、緊急支援が必要な地で迅速に支援を行うための資金です。世界各地の自然災害や人道危機における支援に役立てられます。
[1] Short Rains Assessment, Feb 2024, NDMA
[2] Kenya Nutrition Situation Overview-Feb 2024
[3] Kenya: Heavy Rains and Flooding Update-Flash Update #6 (17 May 2024), OCHA