フィリピン(公開日:2014.03.04)
フィリピン台風30号被災者支援
〜乳幼児の栄養に関するサポートと母乳育児推進事業Vol.2〜(2014.03.04)
前回のブログでは親子にやさしいテントを設置したことをお伝えしましたが、この親子にやさしいテントでは、妊娠中の女性と2歳未満の子どもをもつお母さんを対象に活動しています。今回はパナイ島イロイロ州に設置した親子にやさしいテントで実施している活動の様子をご紹介します。
イロイロ州には、台風で被害を受けた小さな島がたくさんあり、今回紹介する親子にやさしいテントも、この小さな島の一つにあります。セーブ・ザ・チルドレンのオフィスがあるエスタンシアの港からボートで約45分かけて行きます。潮の状況で岸まで十分に近づけない時には、更に小さなボートに乗り換えて上陸します。
この地域では、台風の被害を受ける前から、村の人々は比較的貧しい生活を送っていましたが、台風によって家やボートが壊れて、生活は以前よりも厳しくなり、食糧や安全な水も手に入りにくくなりました。母乳で赤ちゃんを育てているお母さんもいますが、その場合でもかなり早い時期から粉ミルクや水も与えているケースが目立ちます。母乳に関する正しい知識がなかったり、働くために粉ミルクに頼らざるを得なかったり、粉ミルクの広告に影響されたり…とその原因は様々ですが、特に衛生的な粉ミルクをつくるのが難しい状況下では、汚い飲み水や哺乳瓶を使用することで子どもたちが下痢になり、栄養不良になってしまうケースが後を絶ちません。その代替案として、母乳育児が赤ちゃんの命を守る最も効果的な方法とセーブ・ザ・チルドレンは考えます。
そこで私たちは、子どもたちを育てる養育者に母乳育児と栄養に関する適切な知識を提供するために、村の人々を集めて定期的に啓発活動を実施しています。今回のセッションのテーマは、「母乳育児についてのよくある誤解」です。子育て中のお母さんだけではなくて、お父さんやおばあちゃん、おじいちゃんも参加して、テントの中に入りきらないほどたくさんの人が参加する大盛況のセッションになりました。
セッションはクイズと対話で進められていきます。例えば、
「被災したら、お母さんのストレスでミルクの質が悪くなるので飲ませない方がいい」*1
「暑い日は、赤ちゃんが脱水症状にならないよう水も飲ませた方がいい」*2
と書かれたカードについて、村のヘルスワーカーとセーブ・ザ・チルドレンのスタッフが、みんなの意見をテンポよく聞いていきます。実は、両方とも答えは「×」なのですが、みんな各自の経験を話しておおいに盛り上がり、その後ヘルスワーカーの説明に驚きながらも納得していました。
*1: お母さんが災害などによって強いストレスを受けた場合、一時的に母乳の出が悪くなることがありますが、母乳の質が悪くなることはなく、赤ちゃんにとって必要な栄養をきちんと含んでいます。そういう時は、頻繁に乳をふくませることで、逆に出が良くなります。
*2: 母乳の量が十分であれば、赤ちゃんは母乳を通して必要な水分を摂取することができるので、水を与える必要はありません。特に生後6か月までの赤ちゃんは、母乳のみで育てることを推奨しています。その分、お母さんが適切な量の安全な水を摂取することが大切です。
台風から3か月が過ぎ、台風が来た頃に生まれた赤ちゃんを育てている方々の参加も増えてきました。災害後に様々な困難に直面しているお母さんが安心して母乳育児をできるよう、今後もセーブ・ザ・チルドレンはサポートしていきます。
(フィリピン駐在員 荒川)
※本事業は、皆様からのご寄付とジャパン・プラットフォームの助成により実施しております。
イロイロ州には、台風で被害を受けた小さな島がたくさんあり、今回紹介する親子にやさしいテントも、この小さな島の一つにあります。セーブ・ザ・チルドレンのオフィスがあるエスタンシアの港からボートで約45分かけて行きます。潮の状況で岸まで十分に近づけない時には、更に小さなボートに乗り換えて上陸します。
この地域では、台風の被害を受ける前から、村の人々は比較的貧しい生活を送っていましたが、台風によって家やボートが壊れて、生活は以前よりも厳しくなり、食糧や安全な水も手に入りにくくなりました。母乳で赤ちゃんを育てているお母さんもいますが、その場合でもかなり早い時期から粉ミルクや水も与えているケースが目立ちます。母乳に関する正しい知識がなかったり、働くために粉ミルクに頼らざるを得なかったり、粉ミルクの広告に影響されたり…とその原因は様々ですが、特に衛生的な粉ミルクをつくるのが難しい状況下では、汚い飲み水や哺乳瓶を使用することで子どもたちが下痢になり、栄養不良になってしまうケースが後を絶ちません。その代替案として、母乳育児が赤ちゃんの命を守る最も効果的な方法とセーブ・ザ・チルドレンは考えます。
そこで私たちは、子どもたちを育てる養育者に母乳育児と栄養に関する適切な知識を提供するために、村の人々を集めて定期的に啓発活動を実施しています。今回のセッションのテーマは、「母乳育児についてのよくある誤解」です。子育て中のお母さんだけではなくて、お父さんやおばあちゃん、おじいちゃんも参加して、テントの中に入りきらないほどたくさんの人が参加する大盛況のセッションになりました。
セッションはクイズと対話で進められていきます。例えば、
「被災したら、お母さんのストレスでミルクの質が悪くなるので飲ませない方がいい」*1
「暑い日は、赤ちゃんが脱水症状にならないよう水も飲ませた方がいい」*2
と書かれたカードについて、村のヘルスワーカーとセーブ・ザ・チルドレンのスタッフが、みんなの意見をテンポよく聞いていきます。実は、両方とも答えは「×」なのですが、みんな各自の経験を話しておおいに盛り上がり、その後ヘルスワーカーの説明に驚きながらも納得していました。
*1: お母さんが災害などによって強いストレスを受けた場合、一時的に母乳の出が悪くなることがありますが、母乳の質が悪くなることはなく、赤ちゃんにとって必要な栄養をきちんと含んでいます。そういう時は、頻繁に乳をふくませることで、逆に出が良くなります。
*2: 母乳の量が十分であれば、赤ちゃんは母乳を通して必要な水分を摂取することができるので、水を与える必要はありません。特に生後6か月までの赤ちゃんは、母乳のみで育てることを推奨しています。その分、お母さんが適切な量の安全な水を摂取することが大切です。
台風から3か月が過ぎ、台風が来た頃に生まれた赤ちゃんを育てている方々の参加も増えてきました。災害後に様々な困難に直面しているお母さんが安心して母乳育児をできるよう、今後もセーブ・ザ・チルドレンはサポートしていきます。
(フィリピン駐在員 荒川)
※本事業は、皆様からのご寄付とジャパン・プラットフォームの助成により実施しております。