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フィリピン
(公開日:2014.05.01)

フィリピン台風30号被災者支援 〜乳幼児の栄養に関するサポートと母乳育児推進事業Vol.4〜【事業の完了】(2014.5.1)

 

フィリピン台風ハイエンの被災地で、親子にやさしいテントを設置してから約3か月がたちました。以前のブログでは、テントで実施している栄養に関する教育活動を紹介しましたが(前回のブログはこちら)、今回はその他の活動をご紹介します。


まず、母乳育児や乳幼児の栄養について悩みをもつお母さんたちに対するカウンセリングです。カウンセリングは初めての赤ちゃんを産んだお母さん、6か月未満の子どもに粉ミルクを与えているお母さん、そして母乳育児や離乳食など子どもの栄養に関する相談をしたいお母さんを対象にして実施しています。初めてカウンセリングをする方には、カウンセリングカードに名前など基本的な情報の他、授乳の回数やタイミング、量なども記入し、適切な母乳育児が行われているかチェックをしていきます。


↑家庭訪問によるカウンセリングの様子


通常カウンセリングは、親子にやさしいテントや教育活動を開催する場所で行いますが、時には家庭訪問をすることもあります。特に初めての赤ちゃんを産んだばかりのお母さんや、登録したものの教育活動に来られないお母さんに対しては、村のヘルス・ワーカーとセーブ・ザ・チルドレンのスタッフが一緒に家庭訪問をします。ときには家に到着するまでに炎天下の中、40分以上も歩くこともありますが、普段は見られない子どもの様子や被災後の生活環境を確認できる、貴重な機会です。育児方法などを最終的に決定するのはお母さんたちですが、それぞれの状況に寄り添いながら問題を理解し、解決のために十分な情報を提供することが必要です。


事業が始まってから3か月が経ち、最初は当会事業スタッフが傍について一緒に行っていたカウンセリングも、研修や現場での実践を通じて、村のヘルス・ワーカーが自分たちだけで実施できるようになりました。


↑村のヘルス・ワーカーによるカウンセリング


更に、4月に入ってからは、母乳育児に必要な道具を含む育児キットを配布しました。キットの中には、授乳ケープや抱っこ時に使用する布、赤ちゃん用毛布、水筒、目盛付きカップなどが入っています。被災して身の回りの物を失ってしまったり、収入がなくなってしまったりした家庭にとって、こうしたキットは非常に喜ばれています。パナイ島・レイテ島の合計約9,000人のお母さんたちにキットを配布しました。

↑配布した育児キット


↑育児キット配布の様子


最後にパナイ島で暮らす裨益者の方の声をお届けします。2人の子どもをもつ19歳のレアさんです。


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台風が襲ってくる前に、私たちは山にある学校に避難しました。夫のいとこが強い台風が来ると警告してくれたので、学校に避難しました。その日夫はエスタンシアに仕事に行っていて、家にいませんでした。その時、私は下の子を妊娠していて、9か月の上の子を一緒に連れていました。台風が来て、二パ(*椰子の葉)で作られた私たちの家は完全になくなってしまいました。台風が去ってもすぐには怖くて学校を出ることができず、3日後に家に戻りました。洋服だけが避難所に持ってきた唯一の物です。

 

私の息子は台風の間中眠っていました。夫は台風の後すぐには家に戻って来ずに、家に帰ってきたのは12月でした。夫がいない間、近所の人の助けを借りて、家を建て直そうとしました。この作業は4日かかりました。鉄板を近所の人からもらい、屋根にはビニールシートを使いました。

 

セーブ・ザ・チルドレンの「親子にやさしいテント」の活動に参加するようになって、私たちを助けてくれる団体がいることに幸せを感じています。母乳育児についても良く知らなかったし、子どもが生まれて最初の6か月は母乳のみを与えた方がいいことも知りませんでした。下の子を妊娠した時に、上の子は8か月でしたが、地元では妊娠中は授乳しない方がいいと言われていたので、母乳を与えるのは止めました。セーブ・ザ・チルドレンが来て、下の子を妊娠していても母乳をあげられることがわかりました。セーブ・ザ・チルドレンのカウンセリングを受けた時に、上の子への授乳再開についてアドバイスをもらって、決心しました。今は、2人の子どもに授乳しています。それから、セーブ・ザ・チルドレンの活動に出たことによって、母乳育児を継続するために、お母さんにとって必要な栄養を含む食べ物があることも学びました。


↑19歳のレアさんと3か月のマルコさん

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昨年の1227日に開始した本事業は、皆様からのご寄付とジャパン・プラットフォームの助成により、426日に無事完了しました。今後もセーブ・ザ・チルドレンは、台風ハイエンの被災地で支援活動を行っていきます。引き続き、皆様のご支援を頂けますよう、よろしくお願いします。


(フィリピン駐在員 荒川)


 

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