日本/災害時における心理社会的支援(公開日:2017.12.25)
「子どものための心理的応急処置」紹介研修を福岡県東峰村で実施
2017年11月16日、セーブ・ザ・チルドレンは福岡県東峰村で、緊急下の子どものこころのケア「子どものための心理的応急処置(Psychological First Aid for Children 以下、子どものためのPFA)」*の紹介研修を開催しました。子どものためのPFAは、ストレスを抱えた子どものこころを傷つけずに対応するための手法です。
福岡県東峰村は、同県朝倉市とともに、7月の九州北部豪雨で大きな被害を受けました。今回の開催のきっかけとなったのは、2017年8月に朝倉市の依頼により開催した「子どものためのPFA」の紹介研修でした(詳細は、こちら)。約140名の保育士や学童指導員が参加した同研修が好評であったことを受け、今回、東峰村と、朝倉市の障害者等自立支援協議会から依頼がありました。
東峰村の研修は午後の部と夜の部の2回にわけて実施され、午後の部には子育てサークル参加者、管理栄養士、保育士、夜の部には保育士、学校の先生などあわせて約40名が受講しました。
九州北部を襲った記録的な豪雨から半年近くが経ちました。しかし、参加者からは、「今も雨が激しくなると、子どもが『また、避難所に行くの?』と聞いてきます。いまだに強い不安を抱えているのを感じます。」「来年の台風が来る時までに復旧しないと、今回と同じような被害が出るのではないかと心配です。」といった声が上がりました。
参加者は皆さん、熱心にメモをとっていました。終了後のアンケートには、「被災者の心のケアに関して、これでよいのかという不安があった。今回、実際的な支援を学ぶことができ、大変参考になった。」「災害から2〜3か月たってから、反応がでてくることを知ることができてほっとしました。特に低年齢の子どもは話すこともできないし、遊びの中で自分の気持ちを出したり、自分で自分の気持ちの整理をしているんだと思うと、しっかり理解してあげたいなと思った。」などの感想がありました。
研修後、東峰村の保護者のひとりは、「私自身、東峰村で被災しました。もっと早くPFAや反応について知っておけば、近所の方々や子どもたちへの対応が違ったのではないかと思いました。自分もまだ時々、涙が出て止まりませんが、正常なんだな〜と思いました。不安でしたので、ほっとしました。ありがとうございました。」と話していました。被災地におけるPFA研修の重要性を改めて実感しました。
2018年、セーブ・ザ・チルドレンは、災害に対する予防の観点からも「子どものためのPFA」の普及をさらに積極的に全国で進めていきます。
*子どものためのPFAとは
「子どものためのPFA」は、世界保健機関(WHO)などが作成したPFAマニュアルをもとにセーブ・ザ・チルドレンが2013年に開発した、子どもの認知発達段階の特性にあわせて、災害時にストレスを抱えた子どものこころを傷つけずに対応するための手法です。PFAの手法は、『スフィア・プロジェクト〜人道憲章と人道対応に関する最低基準』や『災害・紛争等緊急時における精神保健・心理社会的支援に関する IASC ガイドライン』(機関間常設委員会(IASC)、2007)などのグローバルガイドラインにおいて、人道支援従事者が受けるべきトレーニングとして位置付けられています。日本でもここ数年、災害支援に携わる関係者の中で関心が高まっています。
福岡県東峰村は、同県朝倉市とともに、7月の九州北部豪雨で大きな被害を受けました。今回の開催のきっかけとなったのは、2017年8月に朝倉市の依頼により開催した「子どものためのPFA」の紹介研修でした(詳細は、こちら)。約140名の保育士や学童指導員が参加した同研修が好評であったことを受け、今回、東峰村と、朝倉市の障害者等自立支援協議会から依頼がありました。
東峰村の研修は午後の部と夜の部の2回にわけて実施され、午後の部には子育てサークル参加者、管理栄養士、保育士、夜の部には保育士、学校の先生などあわせて約40名が受講しました。
九州北部を襲った記録的な豪雨から半年近くが経ちました。しかし、参加者からは、「今も雨が激しくなると、子どもが『また、避難所に行くの?』と聞いてきます。いまだに強い不安を抱えているのを感じます。」「来年の台風が来る時までに復旧しないと、今回と同じような被害が出るのではないかと心配です。」といった声が上がりました。
参加者は皆さん、熱心にメモをとっていました。終了後のアンケートには、「被災者の心のケアに関して、これでよいのかという不安があった。今回、実際的な支援を学ぶことができ、大変参考になった。」「災害から2〜3か月たってから、反応がでてくることを知ることができてほっとしました。特に低年齢の子どもは話すこともできないし、遊びの中で自分の気持ちを出したり、自分で自分の気持ちの整理をしているんだと思うと、しっかり理解してあげたいなと思った。」などの感想がありました。
研修後、東峰村の保護者のひとりは、「私自身、東峰村で被災しました。もっと早くPFAや反応について知っておけば、近所の方々や子どもたちへの対応が違ったのではないかと思いました。自分もまだ時々、涙が出て止まりませんが、正常なんだな〜と思いました。不安でしたので、ほっとしました。ありがとうございました。」と話していました。被災地におけるPFA研修の重要性を改めて実感しました。
2018年、セーブ・ザ・チルドレンは、災害に対する予防の観点からも「子どものためのPFA」の普及をさらに積極的に全国で進めていきます。
*子どものためのPFAとは
「子どものためのPFA」は、世界保健機関(WHO)などが作成したPFAマニュアルをもとにセーブ・ザ・チルドレンが2013年に開発した、子どもの認知発達段階の特性にあわせて、災害時にストレスを抱えた子どものこころを傷つけずに対応するための手法です。PFAの手法は、『スフィア・プロジェクト〜人道憲章と人道対応に関する最低基準』や『災害・紛争等緊急時における精神保健・心理社会的支援に関する IASC ガイドライン』(機関間常設委員会(IASC)、2007)などのグローバルガイドラインにおいて、人道支援従事者が受けるべきトレーニングとして位置付けられています。日本でもここ数年、災害支援に携わる関係者の中で関心が高まっています。