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東欧
(公開日:2022.06.02)

【ウクライナ危機】紛争から100日−多くの学校が被害に

 
ウクライナでは、2014年に戦闘が起こって以降の7年間と比較して、さらに多くの学校が、この100日間に被害を受けています。


ウクライナ教育科学省によると、2022年2月24日に戦闘が激化して以降、砲撃や爆撃により、少なくとも1,888校が損壊しています。これは、2014年から2021年にかけてウクライナ東部で約750校が損壊や休校を余儀なくされた件数の2倍以上です。

この紛争は、2022年初めにウクライナに暮らしていた750万人の子どもたちの教育の機会を奪いました。

セーブ・ザ・チルドレンは、「ウクライナにある学校が、過去類を見ない件数で被害を受けているという事実に憤りを覚えます。日が経つにつれ、子どもたちの命と未来は大きな危機に晒されています。この戦闘は、今すぐに終わらせなければなりません」と訴えます。


ウクライナでは、絶え間ない砲撃により、この100日間で670万人以上が国外に避難し、その約半数が子どもたちです。平均すると、毎日約3万3,500人の子どもたちが避難していることになります。


マリアさん家族

また、数千人が国内で避難を強いられ、学校に避難しています。マリアさん(13歳)は、故郷で戦闘が激化したため、ウクライナ東部ドネツク地域から母親と弟(6歳)、猫と避難しました。そして、2日間列車に乗りリヴィウまで移動し、さらに安全に避難できる学校を見つけるまで避難を続けました。4月からは、ウクライナ西部チェルニウツィーにある、学校の教室だったところで避難生活を送り、60人でトイレを共有して暮らしています。
「地元を離れるとき、もう爆発音が聞こえないと思うとうれしかった。でも、自宅のアパートから避難しなくてはならなかったのは悲しかったです。今、私たちはこれまでと違う環境の中で暮らしています。すべてが変わりました。

体は大丈夫ですが、精神的には大変でした。家に帰れることを望んでいます。そして、それがかなわなければ、ここに落ち着くつもりです。すべての人が元気で、穏やかな日々を迎えられるようにと願っています。」

セーブ・ザ・チルドレンは、食料品や薬、そのほか必要なものを購入できるように、マリアさん家族に現金の提供を行っています。

今年攻撃を受けた学校の10校に1校が全壊し、被害を受けた1,708校のうち半数以上がウクライナ東部にある学校でした。

学校への攻撃が続けば、マリアさんのような子どもたちが戦闘の矢面に立たされ続けることになります。たった一度の攻撃で、子どもたちに対して、身体的・精神的に壊滅的な影響が及ぶだけでなく、数百人の生徒が質の高い教育を受ける機会を奪われることになります。そして、コミュニティのなかで、唯一の学びの場が破壊されることもあります。

人道危機下に置かれた子どもや親にとって教育の継続は最優先事項ですが、教育は最初に中断され、最後に再開されるもののひとつであることが、あまりに多いです。2019年にセーブ・ザ・チルドレンが発表した報告書では、人道危機下の6ヶ国1,200人以上の子どもたちにインタビューを行い、約3人に1人(29%)が、何よりも学校に行く機会を求めていることが明らかにされています。

現在、ウクライナにある学校はすべて閉鎖されています。こうした状況のなか、セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが学習を継続できるように、ウクライナ政府のオンライン学習システム整備を支援しています。

リヴさんは、故郷ハルキウから1,000km離れたチェルニウツィーで避難生活を送っています。オンライン学習を始めたのは紛争が始まる2日前からで、いまでもオンライン学習を継続しています。
「長い間学校に行けていません。(2月24日)木曜日に学校に行きたかったのですが、行けませんでした。」

ウクライナでは、リヴさんのようにオンラインで学習を継続している子どもたちがいる一方で、特に激しい戦闘でインターネットや通信機器の利用が制限されている地域に住む子どもや、国外へ避難した子どもたちは、教育を受けることができない状況にあります。

そして、暴力が激化する以前から、ウクライナ東部に暮らす多くの子どもたちは、怖くて授業に出られなかったり、学校やその周辺にいる武装した兵士の存在に精神的苦痛を感じたりしていました。これに加えて、最近の戦闘は、特に東部地域において、人道危機をさらに深刻化させています。

セーブ・ザ・チルドレンは、すべての紛争当事者に対し、学校への攻撃や危険な行動、そして教育施設の軍事利用をやめるよう要請しています。学校に軍隊やその他の武装集団がいた場合、校舎をはじめとする教育施設の損傷や、教育の中断、敵対勢力からの攻撃といった可能性が生じます。

学校は、危険から子どもたちの心身を守り、学び、遊ぶ機会が保障された安心・安全な場所として保護されなければなりません。

ウクライナで、セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちがどこにいても学習できるように教育キットを届けるとともに、紛争から身を守るために鉄道駅や地下に避難している子どもたちに、おもちゃや学用品が入った避難用キットを配布しています。

加えて、私たちは、ウクライナ教育科学省や地方自治体、現地のパートナー団体と連携し、全国の避難所にデジタル学習センターの設立を進めています。このセンターは、子どもたちが通信機器を利用できたり、個人の通信機器を使って学習を継続できる安心・安全な場所です。

さらに、セーブ・ザ・チルドレンは、現地のパートナー団体とともに、避難を余儀なくされた家族に、仮設住居や、食料品、現金、燃料、心理的サポート、乳幼児キット、衛生用品キットを提供しています。また、紛争の影響を受けた家族に必要な最低限の日用品が入ったキットを届けています。

私たちは、2014年からウクライナで活動し、子どもたちやその家族に緊急・人道支援を行ってきました。現在は、ヨーロッパ各国で、難民の家族を支援しているほか、デジタルプラットフォームを通して、子どもたちが教育など必要なサービスを受けられるように支援しています。

 

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