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ネパール
(公開日:2004.08.01)

大洪水にどこよりも早く対応(2004.08)

 

【ネパールの大洪水にどこよりも早く対応】
〜ネパール現地事務所便り〜


南アジアで豪雨による大洪水が発生し、各地で被害が相次いだ。ネパールでは7月3日〜12日にかけての豪雨により河川が氾濫し東部平野地帯を中心に大洪水が発生。被災地域は全国で75郡あるうち27郡におよび、被災世帯総数は15,000に上り、死者も100人を超えた(7月29日ネパールニュース発表)。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン活動地域の3郡(ダヌシャ、マホタリ、サプタリ)も大きな被害にあった。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは現地パートナーNGOのアスマンとともに洪水発生直後、政府や赤十字が被害状況を把握する前に、救援活動を開始した。最も被害を受けた764世帯に対して迅速に救援
物資を配布するなどの活動を行うことができた。日頃の活動によるネットワークを活かした、迅速かつ有効な救援活動で高い評価を受けた。
以下、ネパール事務所長の現場からの生の声をお届けする。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆

【洪水救済レポート】
ネパール事務所長 定松栄一

7月12日(月)
2週間におよぶ海外出張から戻った私は、久しぶりにネパール事務所に出勤し、その日の朝刊を開いた。東部平野地帯で発生した洪水のトップ記事が目に飛び込ん
できた。前週から続く大雨の影響で河川が氾濫し、41人が死亡、被災者はすでに数万人に上っている。SCJの活動地域はとりわけ被害が大きいようだ。パートナー団体のアスマンに連絡を取ったところ、調査のためにすでに現地にスタッフを送ったとのこと。しかし道路が寸断され、電話も不通のため、なかなか被災
地の状況がわからない。政府の災害対策本部や赤十字に問い合わせても、逆に情報の提供を求められる始末だ。

7月13日(火)
朝のテレビニュースで初めて現地の映像が流れた。湖のように一面水に浸かった畑、濁流に飲み込まれる家、屋根の上から助けを求める人々・・・。想像以上の被災規模にショックを受ける。これだけの被害に、平時から同地域で活動しているSCJとして緊急援助に動くことにした。急遽緊急救援準備金から60万円の一部拠出を行った。スタッフ1名を飛行機で現地に急行させ、アスマンと共に自ら被災状況の調査を行うことにした。

7月14日(水)
悪路をついて何とか被災地入りを果たしたアスマンとSCJのスタッフは今夜までに救援計画をまとめた。最も被災度の高い488世帯を対象に、1世帯あたり20キロの食糧(米、塩、砂糖、豆、油等)と生活用品(タオル、石鹸、ゴザ)を配布する。さらに負傷者への応急手当、避難場所での伝染病の予防を目的とし
た仮設トイレや井戸の設置も行うといった内容だ。

7月15日(木)&16日(金)
救援物資の買付けと各世帯分ごとの袋詰め作業を行い、被災地での配布を開始した。
その後、ネパールで活動する三ヶ国(米、日、ノルウェー)のセーブ・ザ・チルドレンによる合同基金からも75万円が追加で拠出され、アスマンとSCJは21日までに計764世帯に対して食糧や生活用品を中心とする救援物資を配布することができた。

7月19日(月)
全体的な被災状況がネパール赤十字からやっと発表された。全国75郡のうち21郡が被災。被災世帯総数は約15,000に上ったが実にその約1/3がアスマンとSCJの活動地域である3郡に集中していた。そのなかにあってアスマンとSCJによる救援活動は最も迅速かつ有効なものとして現地で高く評価され、地元の新聞やラジオでも大きく取り上げられた。

今回の救援活動がうまくいった理由は、アスマンとSCJが平時からこれらの地域で活動してい
たため「土地勘」があり初期の被災調査を素早く行うことができたこと、救援物資の買付け・袋詰め・配布などの作業にも平時からアスマンとSCJの活動に参
加していた地元のボランティアや住民たちが多数協力してくれたことがあげられる。日頃から地道に築いてきたネットワークが非常時に物を言った、というとこ
ろだろうか。

現地ではすでに天候は回復し水位も下がったことから、今後は救援の段階は終息に向かい、徐々に復興支援へと移行していくと思われる。被害を受けた小学校の修復など、SCJがやるべきこと、やらなければならないことは、まだまだありそうである。

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