トップページ > プレスルーム  > 緊急時に子ども支援に携わる方々へ 緊急下の子どもを守るための国際基準『人道行動における子どもの保護の最低基準(第2版)』日本語訳発行

(公開日:2021.08.05)
緊急時に子ども支援に携わる方々へ 緊急下の子どもを守るための国際基準『人道行動における子どもの保護の最低基準(第2版)』日本語訳発行

セーブ・ザ・チルドレンは、紛争や自然災害発生時に、暴力や搾取、虐待にあった子どもたちを適切に守るため、あるいはそのような被害を未然に防ぐための支援(子どもの保護)に携わる他のNGOや大学などの関係者と共同で、緊急支援を実施する団体や関係者が順守すべき国際基準「人道行動における子どもの保護の最低基準(Minimum Standards for Child Protection in Humanitarian Action:CPMS)第2版」の日本語訳を発表しました。


CPMSは、10の原則と28の基準からなり、緊急下に、支援関係者が最低限順守すべき子どもの保護の国際的な基準を定めています。それぞれの基準には、緊急事態発生後の対処だけでなく、平時から準備すべき事項、また、成果指標や行動指標、目標も定められています。

2012年に発表された初版(英語)から9年、また、2018年に完成した初版の日本語訳から3年が経ちました。今回完成した第2版では、特に難民、国内避難民の増加や感染症の拡大といった環境の変化への対応や、暴力の予防、支援分野間の連携、社会生態学的枠組みに基づいた総合的なプログラム運営といった支援活動において強化されるべき点などについて内容がさらに充実しました。



10の原則と28基準の一覧
『人道行動における子どもの保護の最低基準(第2版)』日本語版、背表紙より



CPMS第2版監訳チームからのメッセージ(本書「日本語版刊行にあたって」より)

「CPMSは、緊急支援の現場において子どもたちを暴力や虐待、搾取から適切に守り、子どもの権利を実現するための概念および具体的措置が記載された国際基準として、さまざまな国際機関、NGO、専門家等で構成される「子どもの保護ワーキング・グループ」(現:人道行動における子どもの保護アライアンス)により、2012年に初版が作成されました。多くの日本の支援団体も、近年頻発する紛争や自然災害への対応として、緊急人道支援や子どもに対する支援を国内外で行っており、これらの支援において、子どもの保護の概念および当基準が認知されることを目的として、2018年に日本語版が発行されました。

一方で、CPMSは初版の策定から約9年が経ち、難民や避難民として暮らす子どもの増加、都市化、感染症の拡大といった社会課題への対応に加え、現地関係者の役割、子どもに対する説明責任、暴力の予防や他支援分野との連携といった観点の更なる強化が求められるようになったことなどを背景に、2019年10月にCPMS 第2版が発行されました。第2版は初版から大幅に追記・改定されているため、子どもの保護に携わる専門家・実務家が組織を越えて連携し、CPMS第2版の日本語訳を作成しました。また、その過程において、国内外の子どもの保護分野で活動するNGO、国際機関をはじめ、教育、司法、 福祉、保健医療分野などの有識者30人以上にご協力いただきました。

日本は世界有数の自然災害の多発国であり、地震、台風、大雨への備えや対応において、子どもを守る仕組みが求められています。また、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴い、感染そのもののリスクだけでなく、その社会的、経済的影響により、子どもたちはより脆弱な立場に置かれ、子どもたちの権利が脅かされました。このように緊急下では子どもたちの抱えるリスクがさらに深刻化し、これまで以上に子どもたちを守る取り組みが必要となります。

本書は、緊急人道支援関係者のみならず、緊急時に子ども支援に携わるすべての関係者を対象としています。本書が、支援の計画や実施の際に活用され、子どもたちを守る一助となることを願っております。」

セーブ・ザ・チルドレンを含むCPMS第2版監訳チームは、CPMS第2版紹介イベントや研修などを現在企画しております。詳しくは、今後、団体ウェブサイトなどでお知らせする予定です。

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