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(公開日:2022.09.26)
【活動報告】セーフガーディングの申し立ての管理に関する研修を実施しました


セーブ・ザ・チルドレンは、国際協力機構(JICA)からの委託を受け、国際協力や人道支援活動に関わるNGOがセーフガーディングの取組をともに学び、強化していくための「子どもと若者のセーフガーディング実践研修」を実施しています。子どもと若者のセーフガーディングとは、関係者による虐待や搾取など、子どもの権利に反する行為や危険を防止し、安心・安全な活動と運営を目指す組織的取り組みです。

この事業では、全7回の研修を通して、参加団体が⼦どもや若者支援に携わるNGOとしての組織的責任や、問題背景と実情についての理解を深め、国際基準に沿ったセーフガーディングの制度や仕組みを、各々の団体内に導⼊し強化していくことを目的としています。



感染症対策を講じた上で、初めての対面式研修となりました

参加者は2022年5月までに5回の研修を通し、指針や行動規範づくり、人事施策、団体内の研修の進め方などについて学びを重ねてきました。

7月は2日間にわたり、子どもと若者のセーブガーディングにかかる事故や懸念などの申し立ての管理に関する研修を実施しました。


講師には、子どもを安全に守るためのセーフガーディングの国際基準を定め、その取り組みを推奨・助言している国際NGO、”Keeping Children Safe”のStephan Yordanov氏を招きました。残念ながら、Yordanov氏は新型コロナウィルス感染症感染拡大の影響で日本への渡航が叶わず、オンラインでの参加となりましたが、16団体から28人が参加し、対面での初の研修を実施しました。

研修テーマである報告相談メカニズムの必要性や位置づけなどについては、これまでの研修で学んできましたが、実際に運用となると、専門的な視点も含めさまざまな面での調整が必要となります。今回の研修では、申し立てに対する各職員の役割と責任、内部調査の計画・実施とその管理、インタビュー実施や報告書作成の際の技術などについて、議論とグループワークを交えながら、学んでいきました。


それぞれの団体の取り組みを振り返りながら、活発な意見交換がされました

たとえば、セーフガーディングの事案に対する「調査」については、調査メンバーは誰で構成され、それぞれがどのような役割・責任を持つのか、具体的に何をどこまで調査すべきなのか、どのような順序を踏んで進めるのか、そして、調査の際にはどのような原則が守られるべきか、などについて学びました。

グループワークでは、事業地の子どもが直面しているセーフガーディングの問題を事例として用いて、自分たちが調査チームのメンバーだったら、「匿名性」「安全性」「独立性」などの原則をどのように調査に生かすか、なぜその原則が調査に重要なのか、などについて議論しました。

実際には、研修参加者が調査チームに加わる可能性は低いかもしれませんが、これらの原則について議論することは、「どのような調査であっても、危険にさらされている子どもや大人の安全が最も優先されるべきである」ということについて改めて実感することにつながりました。

研修では、参加者自身の学びや、「どうしてそう思ったのか」について振り返り、共有する時間も設けられました。この研修を通して、研修テーマであった「申し立ての管理」に関する理解を深めただけでなく、NGO職員として子どものセーフガーディングに対する責任を改めて確認する機会にもなりました。


研修の参加者からは、以下の感想が寄せられました:
「グループワークなど一緒に学ぶプロセスが参考になり、本当に貴重な機会となった」
「とても有益な学びを得られた。講師の説明はとても丁寧でわかりやすく、インタラクティブな研修の形もよかった」
「研修資料が日・英で作成されていたので、海外の支援地だけでなく、日本国内での対応の際にどのようにスタッフや関係者に伝えていくべきかが明らかになった」
「やるべきことを一気に教わったので、まずはどこから着手すべきか整理していきたい。またグループワークは組織内でも展開できそうな内容だったので、活用したい」


講師はオンライン参加でしたが、その場にいるような双方向のコミュニケーションがなされました


これまでの研修と同様に、セーフガーディングは、運用システムや文書を作って完了するものではありません。各団体内で、運用における課題や改善について話し合いながら発展させていくプロセスが重要となります。

今回は対面式の研修だったこともあり、参加団体がお互いの実践例や課題などについて情報交換する場ともなりました。今後も、実践からの学びをさらに発展させていくための学び合いの機会をつくっていきたいと思っています。

本事業はJICAの「NGO等提案型プログラム」の一環として、NGOの組織運営や事業実施上の能力強化を行う目的のスキームを利用したものです。また、実施にあたっては、JANICの「子どもと若者のセーフガーディング・ワーキンググループ」が協力しています。

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