提言・声明(公開日:2020.04.10)
【要望書】新型コロナウイルス感染症対策下において、子どもを虐待・体罰等から守るための要望書
セーブ・ザ・チルドレンは、NPO法人子どもすこやかサポートネットと共同で、新型コロナウイルス感染症対策下において、子どもを虐待・体罰等から守るための要望書を国に対して提出しました。
要望書では次の5点を訴えています。
1.子どもの見守りを継続するための緊急的な支援の強化
一部地域において休校延長が続く中で、今後家庭内でのストレスがさらに高まることが懸念されます。子どもを虐待や体罰から守るために、虐待や体罰等にさらされている子どもの発見や子どもからのSOSを察知し、支援等の介入を実現できるように、休校中の教員、休園中の保育士、および児童民生委員などによる子どもの見守りや、家庭訪問、電話連絡など子どもの置かれている状況の定期的な把握を緊急に求めます。特に、日頃から気になっていた子どもに変わった様子がないかなどに注意し、子どもへの聞き取りやアンケート、声かけなどを実施することが重要です。
2.子どもの安全を確保した相談窓口の拡充および子どもへの啓発・周知
連携している子ども支援団体からは、「親も子も家庭内にいる環境下では相談窓口への電話をかけにくく、子ども自身が電話口で直接的に虐待を受けているなどの訴えをすることが難しい」という報告もあります。したがって、子どもが相談しやすい状況を作るため、既存の電話相談窓口に加え、SNSチャットなど子どもの安全に配慮した相談窓口の拡充を求めます。併せて、おとなと同様に子どもにも虐待や体罰等の暴力から守られる権利があること、自分の思いや意見などを伝えて尊重してもらう権利があること、具体的な相談窓口があることを、子どもに対して啓発・周知することを求めます。その際、アクセスしやすく分かりやすいサイトを立ち上げたり、情報取得のためにインターネットにアクセスできるようにしたりするなど、子どもが自分自身で情報を得られる環境を整えることも重要です。
3.親および子ども双方に向けた、ストレスと向き合うための情報提供の拡充
新型コロナウイルス感染症対策による外出制限は長期化する可能性があり、政府広報CMなどを通じた親や養育者と子ども双方に向けたストレスと上手につき合うための情報提供の拡充を求めます。特に、子どもに向けた情報提供では、子どもが理解しやすい子どもにやさしい内容・方法・体裁にするなど、発達しつつある能力に合わせる配慮が必要です。また、子どもは遊ぶ権利を有しており、遊ぶ場所・方法等が大きく制約される状況においても、楽しく遊ぶことの重要性を指摘し、具体的なアイデアを提供することにより、子どもと家族のストレス解消につながる可能性があります。
4.子育て支援などに際する、民間による取り組みに対する支援
外出自粛の要請が続く中で、既存のオンラインでの小児科相談や子育て相談・講座実施などへの需要が高まり、子育て支援の専門性をもつ個人やNPOなどが始めた非営利の新しい取り組みが出てきています。こうした草の根の取り組みに対する助成や行政との連携体制構築などを、緊急かつ柔軟に実施するよう求めます。
5. 4月1日から施行された改正児童虐待の防止等に関する法律等および「体罰等によらない子育て」の普及
上記4点を実施していく上で、この4月1日から施行された親などによる子どもへの体罰禁止を盛り込んだ改正児童虐待の防止等に関する法律等と、厚生労働省が作成したガイドライン「体罰等によらない子育てのために」をはじめとした体罰によらない子育ての普及を求めます。
■新型コロナウイルス感染症対策下において、子どもを虐待・体罰等から守るための要望書