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ケニア
(公開日:2013.10.14)

【ケニア/干ばつ】子ども減災フォーラム〜子どもが参加する大切さ(2013.10.14)

 

ケニアでの事業についてお伝えしてきた連載最終回の今日は、本事業の集大成でもある、ナイロビで開催した「子どもフォーラム」について、そして防災・減災における「子ども参加の重要性」について、お伝えします。

「子どもフォーラム」参加者たち

セーブ・ザ・チルドレンが行う防災・減災活動の中心は子どもたちです。なぜならば、子どもは発達の途中であったり、免疫の機能が発達していないために、干ばつの影響を一番受けやすく、下痢などの病気にかかって命を落としたり、栄養失調になりやすいからです。

セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが災害について学ぶことで、自分の身を病気から守ったり、干ばつへの対処法を学ぶことで、災害の被害にあう前に行動を取ることができるようになると信じています。また、子どもたちが学ぶことで、家庭や地域へも減災の取り組みが広がることを目指しています。

ケニアの事業では、子どもたちは学校内でのクラブ活動の一環として、「子ども保健クラブ」や「子ども減災クラブ」に参加し、保健活動や減災活動に取り組んできました。

「子ども減災クラブ」とは、子どもたちが中心となって減災・防災の取り組みを行うクラブのことで、干ばつが発生した時にどのような前兆があったかという過去の例を調べたり、自分たちの周辺の施設や環境(川、林、井戸、病院、発電所など)が、災害の発生時にはどのような被害を受けるのか、あるいはそれらを活用することでどのように被害を食い止められるか、といったことを皆で考える活動をしています。

「子どもがそんな活動をして、意味があるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際にこのクラブ活動で学んだことを生かし、雨季に洪水が発生した時には、危険な場所に住む地域住民の避難を子ども減災クラブの生徒が促した、という例もあり、子どもたちが減災について学び、考え、行動することの意味はとても大きいものです。


今日お伝えする「子どもフォーラム」は、ケニア北東州にある学校が、首都ナイロビに集まり、自分たちの経験を共有し学ぶことを目的として行った、集大成のイベントです。

参加者は、普段はナイロビから遠く離れたワジール南とハバスウェィンという地域に暮らす、8校の32名の子ども減災クラブのメンバーたちです。さらに、ナイロビからの子どもたち・青少年も加わりました。
このような時でなければ触れ合うことのない子どもたちにとって、とても貴重な機会です。

子どもフォーラムは、子ども減災クラブメンバーが考えた、減災・防災をテーマにした詩の力強い発表で幕を開けました。


子ども減災クラブのメンバーは、ナイロビから参加した参加者に、「減災とは何か?」という紹介から始めました。これらの発表は、歌あり、寸劇あり、コントありと、耳慣れない「減災」という考えを、他の子どもたちにも分かりやすく、例を使って紹介します。


この写真は、地域の災害の歴史を振り返る寸劇の様子です。この地域を襲った過去の干ばつ、ひとつひとつに地元のソマリ語でユニークな名前がつけられています。例えば2010-2011年に起きたアフリカの角大干ばつは、ソマリア語で「Simana」と名付けられています。Simanaは、「誰もが等しくなった」という意味です。この年の干ばつは60年に一度という深刻な被害をもたらし、あまりにその被害が甚大なことから、富める人も、貧しい人も、誰もが同じようにひどい影響を受けたことを表しています。


これは、子ども減災クラブメンバーの生徒が教えてくれて、洪水の被害を免れた人と、子どもが教えてくれたアドバイスを無視したために、全財産を失ってしまった隣人の会話を劇のように伝えています。行動を起こすことの重要性を強調してくれました。


家庭菜園を始めて、栄養失調に陥った赤ちゃんを救おう!という寸劇。ペットボトルを赤ちゃんに見立てて、会場が爆笑の渦に巻き込まれる好演でした。


トイレに行った後、手を洗わない癖のあるお母さんが、汚い手のままで夕食の用意をしたため、一家が食中毒になったという、ちょっと怖い教訓の劇。

次に、子どもたちは「ケニアで減災活動を普及させるためには、どんな行動が必要か」とテーマで議論を行いました。

初対面でしたが、活発に議論をします。
次々とアイディアが生まれます。

当日の子どもたちの活発な意見交換の様子は、こちらから(英語)ご覧いただけます。

子どもたちは大人と比べると柔軟な心を持ち、偏見なしに新しい考えや行動を受け入れることができます。また、学んだことを両親や兄弟に率先して見せることで、彼らの模範となり、減災のアイディアを家庭の中で広めることができます。

また、大人の視点では気づきにくい、大人にとっては危険ではないけれど、子どもにとっては危険な環境ややり方を指摘し、改善を求めることで、地域全体の安全向上に貢献することができます。

子どもたちが「自分の意見は重要なんだ」「自分の意見には聞いてもらう価値があるんだ」と信じることができるようになることは、減災活動を超えた重要な意味を持っています。
子どもが自分の意見を表明できるということは、学校や家庭、人間関係など、子どもを取り巻くあらゆる面において、子どもたちが自らの環境を変えるために発言できる力を持つことを意味します。

セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちは「子ども参加」を通じて、彼らの今後の人生において広く活用できる気づきを広めることを目指しています。

最後に、ドキュメンタリー映画「災害と戦う」(日本語字幕あり)をご紹介します。
これは、今回セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが事業を行ってきたケニア北東州のワジール南・バスウェイン地区にて、減災活動に取り組む13の学校の減災クラブ活動を紹介する15分のドキュメンタリーです。
子どもが参加することにより、減災活動が子どもたち、家族また地域に広がっていく様子を取り上げています。

ケニアの田舎に住む子どもたちの日々の生活を映し、子どもたちが新しい体験に出会う様子を鮮やかに描きだしたこのドキュメンタリーを、ぜひ皆さんもご覧ください。

本事業はジャパン・プラットフォームの助成と皆様からのご支援により実施されました。

(報告:田邑恵子)

当事業は、2013年5月をもちまして終了いたしました。セーブ・ザ・チルドレンでは、ケニアでの子ども支援活動を継続して実施しています。詳しくは、グローバルサイトをご覧ください。


 

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