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ケニア
(公開日:2011.09.11)

【ケニア/干ばつ】現地スタッフより:ケニア北東州ハバスウェイン入り〜3〜(2011.09.11)

 

東アフリカの干ばつの模様を伝えるニュース記事の中に、動物の死骸の写真を見たことがある方もいらっしゃると思います。北東州の中を移動していると、そのような場面に、あちこちで出くわします。ハバスウェインから北へクルシンに向かう道で、親子の牛の死骸に出くわしました。給水ポイントに向かう途中で、力尽きてしまったのかもしれません。

1 親子の牛の死骸.JPG

牛の死がい。親子でしょうか。

先のブログで、遊牧民たちが家畜を亡くし、今、ハバスウェインだけでも、新しい定住地が11出来ていることをお伝えしました。一方で、遊牧民たちが定住する場所には、町としての機能が備わっておらず、その中には、今回のような干ばつになると、牧草もない、稼働している給水ポイントからあまりに遠く、水へのアクセスがないために、また別の定住地を探さねばならなくなることもあります。移動の途上で、人がいなくなって、木や枝の骨格だけが残っている家がいくつも立っている場所を通り過ぎました。

2 干ばつで人がいなくなった定住地.JPG

人が去ってしまった定住地

厳しい干ばつの中、大事な水を求めて、多くの人たちや動物たちが、稼働している給水ポイントに集まってきます。近隣の人たちに加えて、何キロも離れた遠くからも、まだ残っている家畜たちに水を飲ませるために人が集まってきます。この場所に来ると、いかに水が私たちの生活にとって重要なものなのか、命にとって欠く事ができないものなのかを実感させられます。

3 給水ポイントで(ラクダ).JPGのサムネール画像4 給水ポイントで(ロバ).JPGのサムネール画像











給水ポイントで(左:ラクダ、右:ロバ)

私たちがこの給水ポイントに来た時、ラクダたちが、とても美味しそうに水を飲んでいました。そのうち、そこに横から牛が1頭割り込んで、これまた美味しそうに、水を飲み始めました。 5 喉を潤すラクダたち.JPG6 牛も喉を潤し中.JPG のどを潤す牛とラクダたち

 このラクダたちは、ウェリ(19)が連れてきました。ウェリはこのラクダたちとともに、朝7時に家を出て、4時間かけてこの場所までやってきました。水を飲む順番を待って、3時ぐらいにこの場所を発ち、また4時間、5時間、水をいれたポリタンクを担いだラクダたちをつれて、ゆっくりと家に帰ります。

7 ラクダを連れてきたウェリ.JPG

                                              ラクダを連れてきたウェリ(中央)

このような給水ポイントには多くの人や動物たちが集まるので、日中に到着しても、順番が回ってくる頃には夜になってしまうこともあるそうです。動物たちは、自分たちの順番が来るまで、木陰で静かに待ちます。みんなが水を得ることができるまで、このような給水ポイントは、24時間稼動です。しかし、そのため、モーターやポンプが壊れってしまい、水が利用できなくなっているところもありました。

移動の途中、ラクダに水をポリタンクをいくつも乗せて、家に帰る途中の男性に出会いました。彼は手に懐中電灯を持ち、ラジオを肩から下げて歩いていました。30キロ先の家に戻る途中ということでした。家に着くのは、夜の11時ごろになるそうです。

8 ラクダとともに家に帰る男性.JPG

ラクダとともに家に帰る男性

給水ポイントが近くになかったり、水を運ぶ手段を持っていない人たちの場合は、政府やNGOから給水を受け、毎日の生活に必要な水や家畜のための水を確保することになります。グティチという定住地でちょうど給水が行われていました。貯水用の穴が地面に掘られています。そこにビニールシートを引いて水が漏れないようにし、給水車で配られる水を貯めるやり方です。給水車が来る時刻になると、数人の男性たちが来て、貯水池の整備を始めました。それが終了すると、タンクから一気に水を流し込みます。その様子を見に、子どもたちも集まってきました。

9 コミュニティの貯水池.JPG11 給水開始.JPG

 

 

 

 

 

 

 コミュニティの貯水池に給水車がやってきました。

水を飲ませるために山羊やロバを連れてきた家族もいます。アフマド(3)とアブディ(13)もお母さんのアミナ(36)と一緒に貯水池へ来ました。彼らは、グティチに15ヶ月前に移ってきたそうです。2010年春頃の前回の厳しい干ばつの終わりぐらいの時期にあたります。お父さんのアフマド・ムハマド・アリに連れられて、アブディ・シュグニ(2)とアブディ・ファタア(5)も、山羊に水を飲ませに来ていました。

12 アフマド(3)とアブディ(13).JPG

左から、アブディ(13)とアフマド(3)

コミュニティのために貯水池に貯められた水は、住民たちの間で作られている水委員会で貴重な水の配分や利用の仕方を決めています。また、水を配った団体は、水がきちんと配分されているかどうかをチェックします。クラレイでも同じような方法で給水が行われていました。クラレイには3つのクラン(部族)が住んでいるということで、それぞれのクラン用の貯水池が用意されていました。水が来ると、それぞれのクランごとにルールを決めて、水を分けます。私たちが話を聞いたクランでは、まずそれぞれが20リットルのポリンタンク1個に水を汲む、その後、水がまだ余っていると、さらに1回ずつ水を汲めるそうです。家族の人数が多い場合は2回目も汲めるというやり方の場所もありました。

いずれにしても、水が少ない現在、多く水をもらえても、ポリタンク2個ということです。この水で2日間、時には3日間生活をしないといけません。家族数の平均は6人ということで、1人1日2リットルちょっとの水ということなります。さらに、このように地面に水を貯めるやりかたでは、土が入り込み、せっかくの水がすぐに泥水になってしまいます。大きな水のタンクを設置して、給水するという方法であれば、この水の汚れは防ぐことができます。

14 クラレイで.JPG15 水をポリタンクに入れる.JPG

 

 

 

 

 

 クラレイで。ポリタンクに水を入れます。

9月7日に、セーブ・ザ・チルドレンが保健人材育成事業を実施しているアバコレを訪ねて、干ばつの影響について聞取りをしました。クリニックで看護師をしているエドウィン(25)によると、今年の5月くらいから子どもや妊産婦の間での栄養失調が増加し始めたということです。登録者などの数が壁に張り出してありましたが、数がだんだんと増えていました。

16 クリニックで聞き取り.JPG

クリニックで聞き取り中。壁には栄養事業登録者などの記録が貼られています。

地域保健員と地域保健委員会のメンバーにも話を聞きました。トイレなど、一般的な保健衛生上の問題も挙げられましたが、多くの人たちが、動物の死骸による水の汚染の可能性を指摘しました。移動の途上、道で死んでしまった動物だけでなく、家や定住地で弱り、死んだ動物たちもいます。これらの動物たちは、村や定住地の外に捨てられます。新しい死骸は、死臭が漂い臭います。さらに、10月は通常であれば、雨季が始まる時期で、もし順調に雨が降った場合、これらの死骸が水を汚染して、病気の原因になってしまいます。

18 地域保健員.JPG19 地域保健委員会メンバー.JPG

 

 

 

 

 

地域保健委員(左)と地域保健委員会のメンバー

20 動物の死骸の捨て場.JPG21 比較的新しい死骸.JPG

 

 

 

動物の死がい捨て場(左)、比較的新しい死がい(右)

ケニアと言えば、たくさんの野生の動物たちで知られています。厳しい干ばつの中でも、たくましく生きている動物たちがいました。移動中に、アンティロープ、イノシシ、駝鳥、猿の群れ、リス、そしてキリンも見つけました。鳥の巣が果物のように鈴なりにぶら下がっている木もあちこちでみかけました。その中には、小さな小鳥が入っています。

24 鳥の巣がいっぱい.JPG

鳥の巣がいっぱい!! 

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、少しでも多くの人たちが水を得ることができるように、家畜も生き延びることができるように、給水活動を通じて支援を開始すべく、準備を進めています。また、雨季の始まりに備え、衛生事業の準備も開始しています。22 イノシシ.JPG

23 キリン.JPG
(c) Emiko Mikami/Save the Children

* 現地調査はジャパン・プラットフォームの支援により実施されています。

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