ケニア(公開日:2011.10.04)
【ケニア/干ばつ】現地スタッフより:ケニア北東州ハバスウェイン入り〜最終回〜(2011.10.04)
9月8日、ハバスウェインからワジールへ途中でお昼を挟み、3時間かけて車で移動しました。ワジール県には東西南北の4つの地域があり、ハバスウェインは県内の南にあります。一方で、ワジールは東に位置しており、ワジール県で一番発展している町でもあります。また、今回の干ばつ緊急支援でワジール県に入るNGO団体の多くが、ワジールを拠点にしています。
ワジール南や北とは違い、ワジール東のいわゆる帯水層は地面から比較的近いところにあるため、こちらに移動するにつれ、次第に浅井戸を目にするようになってきます。移動の途中で、エルアドという町を通りました。アドは井戸、エルアドで井戸のある町という意味になります。
ボアホールと呼ばれるボーリング(掘削)をして作る深井戸は、環境への影響も大きいため、政府からの許可が必要で、また環境インパクト評価をしなければならないと水に関する法律(Water Law)で定められています。また、深井戸同士は必ず最低1キロ離れていなければなりません。帯水層が深い場所にあるワジール南では浅井戸の掘削は難しくは、深井戸の設置となります。訪れた多くの井戸は100メートル以上も掘削し、作られたものでした。
浅井戸は政府からの許可を取る必要はなく、また井戸同士の距離の決まりもありません。しかし、ワジール東の浅井戸も、干ばつの影響を受けていました。一部、水を豊富に湛える井戸もあるものの、その一方で、既に枯れてしまった井戸、水が底の方にほんの少し残っているだけの井戸もありました。このまま雨が降らなければ、この残った井戸もやがて枯れてしまう可能性があります。
北東州は、今回の干ばつ被災の報道で、遊牧のみの地域という印象をもたれている方も多い方と思います。もちろん大半の人が遊牧で生計を立ててきた人であることに間違いはないのですが、この場所で農業を試みる人たちも現れています。
アブディ・ファターさん(25)はそんなひとりです。ワジールの町の中心部に入る前に、一面、緑の一帯が現れました。アブディ・ファターさんの畑です。彼は、コミュニティの共有地にうねをつくり、水を引き、灌漑用の水の通り道を作り、野菜や果物、牧草を育てています。彼が現在育てているのは、茄子、にんにく、ケール、ほうれん草、パオパオ・フルーツ、西瓜、トマト、ピーナッツ、ピーマンと多岐に亘ります。他の人が耕作をしているのを見よう見まねで始めたそうで、今回が初めての収穫になります。灌漑施設といい、この豊かな実りといい、とても1年生とは思えません。
ワジールの土地は水がないために農業は、ほとんど行われていませんが、土壌は肥沃と言われ、水さえあれば、さまざまな作物を育てることができます。もちろん地域の土壌の違いから適・不適はやはりあるようで、ワジール東ではとうもろこしはあまり良く育たず、ワジール南の方が適しているそうです。アブディ・ファターさんもとうもろこしを試したそうですが、これはうまくいきませんでした。
現在、ワジール県では、地元のNGO、セーブ・ザ・チルドレンなどの国際NGO、そしてケニア赤十字などが緊急支援活動を行なっています。支援団体同士が情報を共有し、助け合いながら、少しでも支援の不足を補い、また重複を避けながら、活動を行なっています。その中のいくつかの団体は、ボアホールの設置を予定しており、現在調査に入っています。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、給水の必要性がより高く、また給水ポイントがあるワジール南で、給水活動を実施予定です。また、その後は、中・長期的な観点から、食料・生計支援なども視野におきながら、次の事業を検討していく予定です。
皆様の引き続きのご支援を宜しくお願い致します。
(c) Emiko Mikami/Save the Children
* 現地調査はジャパン・プラットフォームの支援により実施されています。
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