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ケニア
(公開日:2018.04.17)

東アフリカ干ばつ緊急支援−ご支援くださった皆さまに、2017年の成果報告

 
2018年3月、セーブ・ザ・チルドレンは2017年に実施した東アフリカ干ばつ緊急支援の成果報告書「HORN OF AFRICA, ONE YEAR ON REPORT」を発表しました。以下に、報告書の一部を日本語にてご紹介いたします。



序文

東アフリカのケニア、エチオピア、ソマリアは、2017年初頭から、長期的な降雨不足の影響で、1,200万人もの人々が人道支援を必要とする状況と格闘してきました。

子どもたちとその家族が、栄養不良や病気に対する免疫力の低下、限られた教育へのアクセスの問題、そして水や食料を求めて家族で移動する際に危険に晒されるリスクを抱えながら、何とか生きぬこうとする中で、危機の矢面に立たされているのが子どもたちです。

セーブ・ザ・チルドレンは、2017年の1年間に、400万人を超す人々に、保健・栄養、食料安全保障と生計、水・衛生、子どもの保護、教育の分野で複合的な支援を届けてきました。さらに、最も被害の大きな地域の子どもたちが、人道支援をきちんと受けられるよう、事業を拡大してきました。

人道資金と多くの支援によって、何百万人もの人々が干ばつによる深刻な被害を生き延び、各地で飢饉を防ぐことができました。セーブ・ザ・チルドレンは、2017年の東アフリカ干ばつ緊急支援に対して2億5,600万ドル(およそ275億円)が必要だと要請しましたが、うち2億2,400万ドル(およそ240億円)を調達することができました。

この報告書は、困難な状況に置かれたかれた子どもたちとその家族に対する私たちの活動を支援してくださった個人寄付者の皆さま、パートナー企業の皆さま、各国政府への謝意を表すものです。皆さまの貴重なご支援により、私たちは多くの成果を挙げることができました。

皆さまのご支援で、食料と水不足に苦しむ何百万人もの人々に食料・栄養支援が、家畜が犠牲になった牧畜を営む家族には干ばつの甚大な被害を生き延びるための支援が、そして子どもたちには学び・遊び・心理社会的支援を得られる安全な環境が届けられました。

また、皆さまのご支援で、保健・栄養スタッフのトレーニングを通じた医療施設の能力強化が行われ、干ばつがもたらしたさまざまな困難に、コミュニティのリーダーと協働して立ち向かうことができました。

子どもたちから完全に危険が去ったわけではありません。今も、子どもたちとその家族は、干ばつの影響から守られるための支援を必要としています。私たちは引き続き、関係機関や各国政府、地元のパートナー団体と協力して、干ばつの被害を受けた人々の喫緊のニーズに対応すると同時に、長期的な復興事業への支援を提供することで、子どもたちが生き、学び、守られる世界を実現していきます。

東アフリカ干ばつ緊急支援 2017年の主な成果
4,352,747人に支援を届けました


■ケニア、エチオピア、ソマリア全域の干ばつ被災地域で、給水所485ヶ所の建設と補修を含む水・衛生支援を、1,617,509人の人々に届けました。

■最も被害の大きな地域で、栄養不良の検診やコレラ、マラリア、急性水様性下痢症といった病気の治療を通じて、命を守るための保健・栄養支援を、3,496,584人の人々に届けました。

■ケニアとソマリアで運営する医療施設で、156,000件の5歳未満児の肺炎と下痢症の治療を行い、469人のヘルスワーカーをトレーニングしました。

■ケニアとエチオピア、ソマリアでは、長期的な降雨不足の影響で家畜が犠牲になり、食料価格の高騰や、凶作と水不足に苦しむ840,931人の人々に、食料安全保障と生計支援を届けました。

■エチオピアとソマリアでは、103,000人以上の子どもたちが、セーブ・ザ・チルドレンの緊急下の教育プログラムを通じて学校に通い続け、ケニアでは、学校への水・衛生支援を通じて子どもたちが学ぶ環境を整えました。

■ケニア、エチオピア、ソマリア全域で、重度および中度の栄養不良と診断された子どもたち297,785人を、セーブ・ザ・チルドレンの栄養治療センターで受けいれ、栄養強化プログラムを通じて、対象地域に暮らす5歳未満児と妊産婦300,000人に支援を届けました。

■エチオピアでは、干ばつ被害を受けた牧畜を営むおよそ150,000の家族に対して、生計支援を通じて家畜の餌や獣医療補助の支援を届けました。

■ケニア、エチオピア、ソマリア全域で、600,000人以上の子どもたちに水・衛生支援を届け、ケニアでは、33ヶ所の教育施設と33ヶ所の保健栄養センターが、干ばつの期間を通して運営されるのを支援しました。

■ケニア、エチオピア、ソマリア全域で、干ばつの影響を受けた80,000の家族に対する現金給付を通じて、家族が干ばつ被害を乗り切る支援をしました。

■緊急下の子どもの保護プログラムを実施し、子どもたちが遊んだり、心理社会的支援を受けたりすることで、被災の影響を乗り越えるための安全な環境を提供し、100,912人の子どもたちが参加しました。

ケニアで3人の子どもを育てるエウォイさんのストーリー
― 干ばつで家畜を失い、家族は追い詰められていました ―



エウォイさん(31歳)は夫と3人の子どもたちとともに、ケニアのトゥルカナ郡に暮らしています。エウォイさん一家は、干ばつで大きな被害を受けました。飼育していた家畜は死んでしまい、食料を入手することが困難になり、エウォイさんが栄養不良になったため、1歳の子どもに母乳をあげることもできなくなりました。

「干ばつの被害を受け、私の家族は追い詰められていました。夫は、飼育していたヤギ30頭のうち27頭を失い、魚を捕ってお金を稼ごうとしましたが、家族を養えるだけの収入にはなりませんでした。食事は一日一食か、何も食べられない日もありました。

1歳の子どもは日に日に具合が悪くなっていきましたが、病院は遠く、2時間近くも歩いて行かなければなりませんでした。

私は家族を支えるために、ゴザと籠を作って売る仕事をしています。ヤギを失い、私はもっと働きましたが、収入は全て子どもの薬代に消えてしまい、食料を買う余裕はありませんでした」

そんな時、エウォイさんはコミュニティの集まりで、セーブ・ザ・チルドレンが食料支援を始めようとしており、子どもを検査に連れて来るように言っていることを聞きつけました。

「検査に子どもを連れて行くと、スタッフの人は、子どもではなく私の体重を測定しました。私は体重不足だと告げられ、その場で栄養強化プログラムへの参加が決まりました。

セーブ・ザ・チルドレンには感謝しています。私はとうもろこしと大豆を毎月8袋と、1歳の赤ちゃんのための栄養補助食を受け取ります。

受け取った食料は、夫と子どもたち、老齢の義母と分けあいます。食事を温かいうちに食べることの大切さも教えてもらいました。

栄養強化プログラムのおかげで、子どもたちは一日二回の食事をとることができ、すぐに体調を崩してしまうこともなくなりました。でも、もしもこのまま干ばつが続いてプログラムも終了してしまったら、子どもたちはどうなってしまうのだろうと、不安になる時があります」

*******

セーブ・ザ・チルドレンは、2018年も引き続き、干ばつの被害を受けている地域での活動規模を拡大し、子どもたちやその家族への支援を届けています。

 

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