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ベトナム
(公開日:2013.12.20)

柏レイソルによる少数民族の子どものための学習環境改善事業(2013.12.20)

 

セーブ・ザ・チルドレンでは、サッカーJ1柏レイソルからのご支援を受け、昨年よりベトナム北部の山岳地帯に暮らす少数民族の子どもたちの教育支援を行っております。

ベトナムは近年、年間6-8%の経済成長率を遂げる一方で、都市部と農村、また多数民族であるキン族と、人口の約14%を占める少数民族との格差が拡大しています。事業地のラオカイ省は、中国と国境を面した自然豊かな山岳地帯ではありますが、ベトナム国内でも最も貧しい地域の一つであり、人口の約8割を占める少数民族の多くが貧困ライン以下の生活を余儀なくされています。格差は、教育面においても歴然と存在しており、少数民族の子どもたちの学習到達度は、国平均と比べとても低くなっています。普段は民族の言葉を話す子ども達が、ベトナム語のみで行われる授業についていけないことも要因の一つとなっていります。

また、ベトナムの学校は、学区の中でも比較的アクセスのいい本校と、山奥僻地にある分校が存在し、分校の中には、土や竹、藁、植物の葉などでできた教室しかない学校もあります。そうした学校では、雨漏りやすきま風もひどく、授業に集中することが難しいのに加え、貧困世帯の子どもたちは十分な防寒着を持ち合わせていないことからも、雨季や寒さの厳しい冬には子どもたちの多くが風邪をひいてしまい、肺炎にかかってしまう子どもも少なくありません。

このように厳しい状況にある少数民族の子どもたちが、言葉の壁にも負けず、また、安全・安心な環境で学べるように、前年度は子どもたちのベトナム語習得のための教師研修を、今年度は分校の教育環境改善のため教室の改築および教材の配布を柏レイソルの支援のもと行っています。

12月初旬、教室改築が完了した支援先のPhin Ngan分校を柏レイソルのスタッフやコーチ達と訪れました。
実はこのPhin Ngan分校、支援が決定した1か月後の台風により、校舎が全壊してしまいました。台風の頻発するベトナムにおける学校の耐災害性の重要さを改めて認識しながら、子どもたちはしばらくの間近所の幼稚園を間借りして勉強していたので、新しい教室の完成をとても心待ちにしていたようです。


 (左の写真)以前の学校の様子。(右の写真)すきま風や雨漏りがひどい教室。雨の日、子どもたちは雨をよけて座っていました。

以前、「きれいな学校で勉強することは、私たちの夢です」と語っていた子どもたちは、立派になった教室にとても喜び、訪問当日は、一生懸命練習した民族の伝統的踊りで迎えてくれました。

 
 (左の写真)完成した新しい教室 (右の写真)ザオ族の伝統的な踊りで迎えてくれた時の様子。

 
(左の写真)教室の中も明るく、子どもにやさしい学習環境になりました。 (右の写真)校庭ができ、サッカーも出来るようになりました。

また、以前は子どもの体のサイズに合わない机や椅子で、限られた教材で学んでいましたが、今では子どもにとって快適な環境で、工夫された教材を使いながら学べるようになりました。さらに昨年、柏レイソルからのご支援で実施した教員研修より先生たちは子どもたちの自主的な参加を引き出す教授法を学んでおり、子どもたちは以前にもまして生き生きと、楽しそうに学んでいました。子どもたちのベトナム語も以前より上達しているそうです。

 
(左の写真)1年生のベトナム語の授業の様子。(右の写真)ゲームを取り入れながら、楽しく学んでいきます。

教室の建設においては、「自分たちに出来ることで協力したい」と、子どもたちの両親や村人たちが資材を運んだり、校庭の土ならしをしたりするなど、村をあげて子どもたちの学びを応援する気持ちや、親の教育に対する期待をひしひしと感じました。社会的に不利な立場にある小数民族の子どもたちが、自らの可能性を十分に伸ばすことができるよう、引き続き子どもたちの教育支援を行っていきます。


(ベトナム担当:武田)


 

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