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ベトナム
(公開日:2023.03.17)

【ベトナム】ジェンダーに配慮した農業生産と母子栄養改善を通した生計向上支援の開始

 
ベトナムでは都市部で生活する人たちと地方で生活する少数民族との間での貧富の差が激しく、国全体の貧困率5%に対し、少数民族の貧困率は27%と大きな格差があります。特にベトナム北部の山岳地域では格差が顕著で、ソンラ省のソプコプ県とバックイェン県では平均約30%、一部の地域では約50%の世帯が貧困に直面しています。

 

子どもの慢性的な栄養不良(発育阻害)も深刻で、上記の県では5歳未満の子どもの約60%が栄養不良と診断されています。また、女性への労働負担も大きく、妊娠期や出産直後でもすぐに農業などの重労働に従事することが多く、子どもへの母乳育児が充分にできないなどの課題が生じています。

セーブ・ザ・チルドレンでは外務省の日本NGO連携無償資金協力、株式会社魚国総本社からのご支援、皆さまからのご寄付により、ソンラ省のソプコプ県とバックイェン県において、ジェンダーに配慮した農業生産と母子栄養改善を通した生計向上支援を2023年3月末から開始します。


事業対象地:ソンラ省

事業の開始に向けて3月10日にベトナムの首都ハノイに位置する在ベトナム日本国大使館にて、セーブ・ザ・チルドレンベトナム事務所のスタッフも参加し、日本NGO連携無償資金協力の贈与契約署名式が行われました。


写真は右から大使夫人、山田大使、海外事業部・梛野、ベトナム事務所長・フオン、New Business Development Manager・タイ

事業では、4つの活動を通して、対象世帯の生計向上を目指します。

1)収入向上と世帯内への食料供給に向けた農業生産と農産物流通の強化
農業生産者グループを設立し、作物栽培や家畜の飼育についての知識を情報交換し、各農家のスキル向上を支援します。また、作物生産に関する知識の向上のためにモデル農園を設置し、適正な市場価格のもと、農産物を販売できるよう流通業者との交渉に関する研修を実施します。さらに研修ではジェンダー平等に関する研修も行っていきます。


農家の自宅前でのヒアリング

2)母親と子どもの栄養状態の改善
母子栄養に関する指導者を保健医療施設で育成します。子どもの父親や祖父母に世帯レベルで栄養ケアに関する知識の普及と理解促進に努め、母親の妊婦健診の受診を促進するとともに、子どもの栄養状態のモニタリングを行います。また、母親や子どもの健康に関して意見交換を行う親グループをつくり、栄養に関する育児不安や子育てに悩む両親が現地の言語で気軽に話し合える場を提供します。


少数民族の女性からのヒアリングの様子

3)少数民族の生計向上について政策やプログラムへの働きかけ
この事業での成功事例を現地の地方行政が主体となった定期会合でとりまとめ、ソンラ省や中央政府への政策提言や現地メディアを活用した活動成果の発信を行います。

4)現地行政の事業運営能力の強化支援
事業終了後の継続的な実施体制を見据え、現地の地方行政機関を巻き込んだ事業実施チームをつくり、メンバーに対する事業管理の研修や、当該チームによる本事業の進捗状況のレビューを実施します。

本事業を通してセーブ・ザ・チルドレンは、現地の地方政府やコミュニティの人たちと連携し、少数民族の生計向上と、妊産婦や子どもの栄養改善を支援することで、子どもの健全な成長と、持続的な社会経済発展を目指します。今後とも皆さまからの温かいご支援をよろしくお願いいたします。

(海外事業部 梛野耕介)

 

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