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ベトナム
(公開日:2020.12.01)

【ベトナム栄養事業】保健と栄養支援 山岳地域の子どもたちの健康的な食と栄養を確保するために(2)

 
今年、国連世界食糧計画(WFP)がノーベル平和賞を受け、持続可能な開発目標(SDGs)目標2の「飢餓をゼロに」への重要性が、改めて注目されています。飢餓は、十分な食料を食べられず、エネルギーと栄養不足になり、生存と社会活動が困難な状態を指します。目標2では、飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態を改善するために、特に5歳未満の子どもや妊産婦への栄養支援を掲げています。

セーブ・ザ・チルドレンがベトナム北部の山岳地域で実施する栄養事業では、食料確保の支援(農業支援)と母子保健サービスの改善(保健支援)の両面からの支援を通じて、母親と5歳未満の子どもの栄養不良の改善を目指しています。世界食料デー 山岳地域の子どもたちの健康的な食と栄養を確保するために(1)の記事では、農業分野での支援について紹介しました。今回は保健分野での取組みについて、地元のテレビ局Son La TVで特集された本事業のビデオを中心に紹介します。


保健分野の活動では、妊産婦が産前産後健診を保健医療施設で複数回にわたって必ず受診することや、6カ月未満の乳児の完全母乳育児の達成等を目指すことで、乳幼児期の子どもの健康的な成長を促進し栄養不良を防ぎます。また事業では、栄養不良の減少を現地行政の活動計画に盛り込む働きかけを行っています。

現地の活動では、文化・歴史的背景からベトナム語を読むことが出来ない少数民族の人々のために、保健省の協力を得て、絵やゲームを活用した母親向けの研修用教材を作成しました。この教材を使用し、保健分野の現地政府関係者を対象に母子栄養ケアの研修と地域の母子栄養改善を担う研修指導者を育成しました。この研修指導者が村々での保健活動従事者に研修を行い、さらにこの研修で専門知識を得た保健活動従事者が妊産婦健診を行うなど、研修の輪を広げています。これまでに対象地の保健医療施設で1200回以上のカウンセリングが妊産婦に行われました。

また農業分野の支援で収穫された野菜や卵が日々の食事に活用されるよう、これらをお粥に混ぜて調理する方法など、母親らを対象に栄養バランスのとれた離乳食の指導を実施しました。加えて、月1回、村で実施している身体測定や、保健ボランティアが行う家庭訪問で確認された重度急性栄養不良の子ども160人の家族には、子どもの早期回復のために栄養摂取の指導や栄養治療食の提供を行いました。



「栄養バランスのとれた離乳食の指導を受ける参加者」

母子栄養ケアに関する研修を受けた村の少数民族グループの保健活動従事者のザン・テ・サンさんは「研修の受講前までは、子どもの身長を正しく測る方法や成長曲線への記入方法等が分かりませんでした。研修を通して、子どもの身長を正しく測り、子どもの成長の記録を正確に行うことができるようになりました」と話します。

保健分野における栄養支援の重要性から、来年、日本政府が主催する「東京栄養サミット」では、保健分野における栄養改善の取組み、特に栄養のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)への統合が重要な柱となっています。セーブ・ザ・チルドレンは、途上国における栄養支援事業に加え、各国政府やその他のステークホルダーに対し、栄養不良を終わらせるための継続的な取組みとコミットメントを呼びかけます。

※本ベトナムでの栄養改善事業は、皆様からのご寄付と、世界銀行の日本社会開発基金(Japan Social Development Fund)からの助成、日本の民間企業6社(株式会社資生堂、株式会社ポケモン、株式会社ウェルカム、株式会社魚国総本社、イオン株式会社、エースコック株式会社)からのご支援により実施しています。

(海外事業部 梛野 耕介、アドボカシー室 大沼 照美)

 

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