ベトナム(公開日:2023.04.11)
【ベトナム】少数民族の若者の性と生殖に関する健康と権利を守るための事業を開始しました
ベトナムは54iの民族が暮らす多民族社会ですが、特に少数民族の少女たちは、児童婚や、意図しない妊娠、未成年での出産など、性と生殖に関する健康と権利(Sexual Reproductive Health and Rights:SRHR)に対する高いリスクに晒されています。
ベトナムにおける少数民族の少女を取り巻く状況
思春期は、子どもたちが自立し自己を形成するためのとても重要な時期ですが、同時にさまざまなリスクが存在します。
ベトナムにおいて、18歳未満で結婚する児童婚、低年齢での性交渉、意図しない妊娠、安全でない中絶、性感染症などのリスクは、特に農村部や遠隔地の住民や少数民族など、保健医療サービスが行き届きにくいグループで深刻と言えます。
ユニセフ(国際連合児童基金)の子どもと女性に関する調査(2021)ii では、15歳から19歳の女子の74.5%が避妊方法を使用していないという報告があります。
民族別にデータを見ると、15歳から19歳の妊娠経験者の割合について、人口の多い民族では3.6%である一方、少数民族では47.6%と大変高くなっています。
また、15歳未満での性交渉の経験についても、人口の多い民族では0.4%であるのに対し、少数民族では11.5%と高くなっています。
児童婚の場合、未成年での出産につながることが多く、母体にも生まれてくる子どもにも負担がかかります。妊娠や出産に関連する合併症や死亡のリスクが高まり、また、子どもは低体重、早産、重度の出生時疾患のリスクが高くなるだけでなく、乳幼児期の栄養不良や発育阻害の可能性も高まりますiii 。
また、伝統的に児童婚や早期出産が多いことが確認されており、妊娠や出産に対するケアも不十分な状況にあります。
さらに、医療従事者の介助によらない自宅での出産が多く、無資格の中絶業者を利用する女性が多いという現状もあります。
事業では、2県の15歳から19歳の男女3,000人を対象とし、若者の保護者や、中等教育学校の教職員、地域の医療従事者、地域行政の関係者、村のリーダーや組合員などへも働きかけを行います。そうすることで、若者と、彼らを取り巻く地域全体がSRHRに関する課題を認識し、課題に取り組むための知識・スキルを向上させることを支援します。
具体的な活動は、主に次の3つになります。
この事業を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」、目標 5「ジェンダー平等を実現しよう」の達成に貢献するとともに、ベトナムの母子の健康と権利を守るために取り組んでいきます。
本事業は、第一三共株式会社からのご支援と、皆様からのご寄付により実施しています。
(海外事業部 ?木加代子)
I 外務省, ベトナム社会主義共和国(Socialist Republic of Viet Nam)基礎データ. https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/vietnam/data.html#section1(最終アクセス2023年3月30日)
ii General Statistics Office and UNICEF, 2021, Survey measuring Viet Nam Sustainable Development Goal indicators on Children and Women 2020-2021, Survey Findings Report. https://www.unicef.org/vietnam/media/9576/file/Full%20report%20-%20MICS%206.pdf(最終アクセス2023年3月30日)
iii UNFPA, 2015, Girlhood, not motherhood: Preventing adolescent pregnancy. https://www.unfpa.org/sites/default/files/pub-pdf/Girlhood_not_motherhood_final_web.pdf(最終アクセス2023年3月30日)
ベトナムにおける少数民族の少女を取り巻く状況
思春期は、子どもたちが自立し自己を形成するためのとても重要な時期ですが、同時にさまざまなリスクが存在します。
ベトナムにおいて、18歳未満で結婚する児童婚、低年齢での性交渉、意図しない妊娠、安全でない中絶、性感染症などのリスクは、特に農村部や遠隔地の住民や少数民族など、保健医療サービスが行き届きにくいグループで深刻と言えます。
ユニセフ(国際連合児童基金)の子どもと女性に関する調査(2021)ii では、15歳から19歳の女子の74.5%が避妊方法を使用していないという報告があります。
民族別にデータを見ると、15歳から19歳の妊娠経験者の割合について、人口の多い民族では3.6%である一方、少数民族では47.6%と大変高くなっています。
また、15歳未満での性交渉の経験についても、人口の多い民族では0.4%であるのに対し、少数民族では11.5%と高くなっています。
児童婚の場合、未成年での出産につながることが多く、母体にも生まれてくる子どもにも負担がかかります。妊娠や出産に関連する合併症や死亡のリスクが高まり、また、子どもは低体重、早産、重度の出生時疾患のリスクが高くなるだけでなく、乳幼児期の栄養不良や発育阻害の可能性も高まりますiii 。
セーブ・ザ・チルドレンの取り組み
このような状況に対して、セーブ・ザ・チルドレンは、思春期の子どもたちに向けた性と生殖に関する健康サービスの質と、サービスへのアクセスを向上することで、早すぎる結婚・妊娠・出産の予防を目指す事業を開始しました。
事業対象地は、ベトナム北部にあるイエンバイ省ムー・チャン・チャイ県とヴァン・チャン県で、住民の約90%が少数民族であり、貧困率が18%と他省に比べて高い地域です。
出典:外務省ウェブページの地図をもとにセーブ・ザ・チルドレンが作成.https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol81/index.html
出典:外務省ウェブページの地図をもとにセーブ・ザ・チルドレンが作成.https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol81/index.html
また、伝統的に児童婚や早期出産が多いことが確認されており、妊娠や出産に対するケアも不十分な状況にあります。
さらに、医療従事者の介助によらない自宅での出産が多く、無資格の中絶業者を利用する女性が多いという現状もあります。
事業では、2県の15歳から19歳の男女3,000人を対象とし、若者の保護者や、中等教育学校の教職員、地域の医療従事者、地域行政の関係者、村のリーダーや組合員などへも働きかけを行います。そうすることで、若者と、彼らを取り巻く地域全体がSRHRに関する課題を認識し、課題に取り組むための知識・スキルを向上させることを支援します。
具体的な活動は、主に次の3つになります。
この事業を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」、目標 5「ジェンダー平等を実現しよう」の達成に貢献するとともに、ベトナムの母子の健康と権利を守るために取り組んでいきます。
本事業は、第一三共株式会社からのご支援と、皆様からのご寄付により実施しています。
(海外事業部 ?木加代子)
I 外務省, ベトナム社会主義共和国(Socialist Republic of Viet Nam)基礎データ. https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/vietnam/data.html#section1(最終アクセス2023年3月30日)
ii General Statistics Office and UNICEF, 2021, Survey measuring Viet Nam Sustainable Development Goal indicators on Children and Women 2020-2021, Survey Findings Report. https://www.unicef.org/vietnam/media/9576/file/Full%20report%20-%20MICS%206.pdf(最終アクセス2023年3月30日)
iii UNFPA, 2015, Girlhood, not motherhood: Preventing adolescent pregnancy. https://www.unfpa.org/sites/default/files/pub-pdf/Girlhood_not_motherhood_final_web.pdf(最終アクセス2023年3月30日)