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ベトナム
(公開日:2021.08.16)

【ベトナム水害対応支援】洪水の影響を受けた子どもたちへの支援完了のご報告

 
セーブ・ザ・チルドレンは、2020年10月から11月にかけてベトナム中部で断続的に発生した豪雨により被災した子どもたちと被災地域の幼稚園・学校を対象に、水・衛生支援、学習用資機材の配布や、災害リスク軽減のための支援を行いました。2021年1月15日から4月30日まで、クアンビン省とトゥアティエン・フエ省で実施した事業を報告します。


水・衛生支援では、水害により損壊した対象校の手洗い場(14校)、トイレ(12校)、給水施設(9校)の修繕・整備を行ったほか、浄水施設(8校)を設置し、子どもたちにとって衛生的で安心・安全な学習環境を整えました。また、対象校に通う子ども7,011人と教職員588人に対して衛生啓発セッションを実施し、衛生啓発教材を用いながら、正しい衛生習慣を実践することの重要性や正しい手洗い方法、衛生的な状態を維持する実践的な方法などについて指導を行いました。


修繕・整備された学校の手洗い場(2021年4月、トゥアティエン・フエ省)


修繕・整備された学校のトイレ(2021年3月、クアンビン省)


衛生啓発セッションにて発表する子ども(2021年3月、トゥアティエン・フエ省)


また、学習用資機材の配布および災害リスク軽減・対応活動については、被災した対象校15校へ、学習用机や椅子、本棚、キャビネット、IT機器などの学習用品や機材を提供し、子どもたちの学習環境を整えました。また、今後発生しうる水害への対策を強化するため、対象校の1,950人の子どもたちに救命胴衣を配布しました。

さらに、対象校の教職員71人を対象に子どものための心理的応急処置(Psychological First Aid:PFA)研修を実施しました。この研修では、「PFAの行動原則」、「自然災害と子どもたちのメンタルヘルスの関係」、「子どものためのPFAとは」、「PFAを必要とする子どもの特定およびコミュニケーション方法」などの指導を行ったほか、今後の自然災害発生時に子どもが抱える心理的負担対処のためにPFA対応計画を作成しました。この研修を通して、各教職員は必要に応じて子どもたちにPFAを提供できるようになりました。


対象校に配布した本棚(2021年3月、トゥアティエン・フエ省)


対象の幼稚園に配布したキャビネット(2021年4月、トゥアティエン・フエ省)


配布した救命胴衣および使用方法を指導している様子(2021年4月、クアンビン省)

さらに、学校の防災計画の見直しおよび強化のため、対象校の防災委員会メンバー(教職員200人および生徒98人)に対して、ベトナムの教育訓練省が推奨するCSS(Comprehensive School Safety:包括的な学校の安全)モデル(1)の説明や本モデルの枠組みに沿った防災計画の見直し方法について指導を行いました。

これに基づき、防災委員会メンバーが主体となって見直した防災計画案について、セーブ・ザ・チルドレンは、CSSモデルに基づいた内容で改訂されているか、また教育訓練省のガイダンスに則り教職員および生徒の声を反映した内容になっているかなど詳しいレビューを実施ました。これにより、各学校の防災計画が更新されました。


学校の防災計画をレビューしている様子(2021年3月、トゥアティエン・フエ省)

支援を受けた子どもの一人は、「自然災害発生時の避難方法および避難経路や、正しい衛生習慣の大切さや適切な方法、救命胴衣の正しい使用方法などを学ぶことができました。これらの知識や情報を親やきょうだい、他の学校の友だちにも伝えました」と話します。

また、支援を受けた学校の校長は次のように話します。
「本事業実施前の学校の防災計画は、教育訓練省のガイダンスに沿っておらず、包括的なものではなかったため、内容として不十分でした。本事業の支援により、防災計画が教育訓練省のガイダンスに沿った包括的なものになり、実践的な内容となりました。この防災計画を具体的に運用していくための次のステップとして、各クラスで防災計画を周知し、避難訓練を定期的に実施していくなどして、今後の自然災害の発生に備えていきます。」

本事業は新型コロナウイルス感染症が拡大するなかでの実施となりましたが、感染拡大状況を日々注視しつつ、現地の保健省が発行するガイダンスに沿って活動を行うなど、感染症対策を行いながら活動を実施しました。今後も、学校および行政が主体となり、災害リスク軽減への取り組みが継続的に実施されるように、セーブ・ザ・チルドレンは働きかけていきます。

本事業は、皆様からのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。
(海外事業部: 秋元光一)


(1) 災害リスクの防止および災害に対処するために生徒と教職員の能力を強化するための枠組みで、セーブ・ザ・チルドレンやユニセフなど教育クラスターのイニシアティブにより世界各地で推進されている。具体的には、(1)安全な学習施設(安全な場所、建物、維持管理など)、(2)学校の災害リスク管理体制(防災マニュアルの整備、緊急学校継続計画の策定など)、(3)防災教育(教員研修、カリキュラムへの統合、教員研修、子どもクラブを含む課外活動の実践など)の3つの柱で構成される。

 

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