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EVERY ONE
(公開日:2013.02.18)

新報告書「赤ちゃんのためのスーパーフード」を発表(2013.2.18)

 
生後1時間以内の母乳の授乳で、毎時95人の赤ちゃんの命を救えます

セーブ・ザ・チルドレンは2月18日、新報告書「赤ちゃんのためのスーパーフード(Superfood for Babies)」を発表し、世界中の母親が出産直後に子どもに母乳を授乳することで、毎時95人、年間で83万人の赤ちゃんの命を救うことが可能であると報告しました。



病院で完全母乳育児の大切さを学んだ母親のアナ・クリスティーナさん。

未熟児で生まれた娘のタイナちゃんに授乳中。


報告書によると、母親の初乳を赤ちゃんの生後1時間以内に授乳することで、赤ちゃんの免疫システムが機能し、生存率が最大3倍に向上します。また、生後6カ月間の母乳育児を続けることで、途上国で育つ赤ちゃんが肺炎や下痢などの病気で命を落とす確率は、15分の1に減ります。これはまさに生死を分ける問題です。乳幼児死亡率の削減において、これまで世界的に大きな進捗が見られますが、より多くの母親が母乳育児を行えば、死亡率削減はさらに加速することができます。母乳の驚くべき効果にもかかわらず、世界の母乳育児率は失速し、東アジアおよびアフリカの最も人口の多いエチオピアやナイジェリアといった国々では低下しています。伝統的な習慣や、深刻な保健人材不足、一部母乳代用品企業による不適切な販促手法などがその要因となっています。

先進国では、母乳の利点や、母乳育児が新生児を守るための無料で自然な方法であることは広く知られていますが、貧しい国々の母親の母乳育児支援は、これまでに軽視されてきました。

母乳育児の妨げとなる主要因として挙げられるのは以下の4点です:

  • 女性のエンパワーメントや教育の不足による、母乳育児を阻止する危険な伝統的習慣 の横行。初乳の代わりに、生後1時間以内にコーヒーやシアバターや灰を赤ちゃんに飲 ませる地域もある。
  • 途上国における助産師やヘルスワーカーの深刻な不足による、母乳育児の利点に関する適切な情報の不足と、産後の母親へのサポート不足。
  • 出産に関する法律の不足による、母乳育児や職場復帰の困難さ。現実的に、途上国に住むほとんどの母親が、有給の出産休暇を取得できない。
  • 貧しい母親に対しても、粉ミルクが赤ちゃんにとって最も良いと信じ込ませる、一部母乳代用品企業による販促活動。


本報告書では、一部母乳代用品企業の新興市場における販促活動に焦点を当てています。アジアは、母乳代用品企業にとって新しい成長市場で、既に2.3兆円規模の市場が2015年には31%伸びると言われています。東アジアおよび太平洋地域では、母乳育児率は2006年の45%から2012年には29%に減っています。セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルがアジアで実施した最新の調査によると、「母乳代用品の販売流通に関する国際規準」(WHOコード)を違反している販売促進活動の事例が多くの母親から挙げられました。

また、報告書では、専門的介助のもと出産した場合、生後1時間の間に母乳を授乳する女性は、そうでない女性と比較して2倍多く、世界で約350万人に及ぶヘルスワーカー不足の問題解消により、母乳育児率を大幅に増加させることが可能だと報告しています。

予防可能な病気や飢餓による子どもの死をなくすには、世界のリーダーたちがより強い政治的意思を示し、栄養不良や母乳育児への資金投入を行われなければなりません。私たちは今、今世代で予防可能な病気や栄養不良による子どもの死や、飢餓に終止符を打てるかどうかの転換点にいます。

子どもたちの命を守るため、セーブ・ザ・チルドレンは以下を提言します:

  • 6月のG8サミットおよびそれに関連して開催される飢餓サミットで、議長国の英国をはじめ、G8各国首脳が栄養改善へのコミットメントを示し、その一環に母乳育児を位置づけること。
  • 全ての途上国が母乳育児率向上のための計画を立てること。
  • 母乳代用品企業が包装の3分の1を占める大きさで「母乳の方が粉ミルクよりも優れている」という警告を掲載すること。
  • 全ての政府が「母乳代用品の販売流通に関する国際規準」(WHOコード)とその後の関連決議を法制化し、それが独立的にモニターされ、施行されること。


セーブ・ザ・チルドレンの新報告書「赤ちゃんのためのスーパーフード(Superfood for Babies)」は以下をご参照ください:
報告書本文(英文)

(c) Genna Naccache/Save the Children

 

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