EVERY ONE(公開日:2011.04.20)
【PICK UP!】セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、ケニアで母子保健事業を開始!(2011.04.20)
ケニアは世界のなかでも子どもの死亡率が高い国に数えられ、7.8人に1人の子どもが5歳の誕生日を迎える前に亡くなっています(2008年)。また、45%の子どもが成長不良に陥っており、妊産婦死亡率は2003年から2008年の間に15%も増加しています。現在、世界中で5歳未満の子どもの死亡率の低下と、妊産婦の死亡率を下げる努力が行われていますが、ケニアでは進捗があるどころか、この2つの指標が以前よりもかえって悪化しているという深刻な状況に直面しています。このような事情から、ケニアはセーブ・ザ・チルドレンが世界で取り組んでいるEVERY ONEキャンペーンの優先国に指定されています。
こうした状況には、貧困などの様々な原因が考えられますが、人口の約半数の人々にとって、病院での適切な出産・治療を受けるのが難しい環境にあることが直接的な原因の一つです。47%のケニア人にとって、病院は自宅から5キロ以上離れたところにあります。また、保健についての知識があまり普及しておらず、病院や保健センターの利用率も低いものにとどまっています。また、仮に病院に行こうと思ったとしても、医者と看護婦の圧倒的な数不足という障害が立ちはだかり、適切な保健・医療サービスを受けることは非常に難しくなっています。10万人の人口に対し、医者は3人、看護婦は49人の割合しかいません。
5歳にならないうちに死亡する子どもの数は推定で毎年約11万人にのぼりますが、その60%は肺炎、マラリア、下痢などの病気が原因で亡くなっており、簡単な保健・医療サービスさえ受けていれば死を防ぐことができたと考えられています。
このような医療事情をうけ、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは2011年4月1日より、これまでにケニアで活動してきたセーブ・ザ・チルドレンUKと共に、ケニア東北部のワジール南地区で、子どもと女性のための基礎保健サービス改善事業を開始しました。ワジール南地区の子どもと女性にとって、基礎保健サービスがもっと受けやすくなるように、そしてサービスの質が向上するように、地区の保健関係者と協力しながら事業を行っていきます。
事業地のワジール南地区には遊牧民の人たちが多く、季節によって移動する生活を営んでいるために、保健・医療サービスの利用がケニアの中でも特に低くなっています。例えば、予防注射を受けている2歳以下の子どもの割合は48%にとどまっているほか(ケニア平均は77%)、病院などの医療施設で医者や助産婦などの医療従事者の介助のもと出産する女性は、たった17.3%しかいません(ケニア平均は44%)。
これらの子どもや女性の命を救うには、多くの場合、高度な医療技術はいりません。ごく基礎的な医療知識があれば、肺炎や下痢の治療や、出産時の適切な処置などが行えます。そこで、私たちの事業では、高度な技術を持った医者の育成や病院の建設を行うのではなく、基礎的な知識をもったコミュニティのヘルスワーカーを多く育て、1人でも多くの子どもや女性に対してサービスを提供できるようにしたいと考えています。具体的には、コミュニティのヘルスワーカーや、ヘルスワーカーを管理・指導する人材の育成、地域の保健関係者との協力関係の構築、さらには住民の保健に関する意識向上を促す啓発活動などを行っていきます。
【ケニアの子どもたち 基礎情報(2008年現在)】
- 5歳未満の子どもの死亡率: 1,000人に128人が死亡。
※参考:日本では1,000人に4人。
- 5歳未満の子どもの21%が標準体重に満たない。
- 39人に1人の女性が出産に伴い死亡している。
※参考:日本では11,600人に1人。
【知っていますか?ケニアってこんな国】
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国名:ケニア共和国
- 首都:ナイロビ
- 人口:約3,877万人、面積 583,000km2
(日本の約1.5倍)
- 公用語:スワヒリ語、英語
- 主要産業:コーヒー、紅茶、綿花など農業、食品加工など
出典:2008 Kenya Demographic and Health Survey
Kenya Integrated Budget Household Survey 2007
2004-2005 Human Resource Mapping and Verification Exercise of the public health sector
in Kenya and ROK 2006
2009 ユニセフ「世界子供白書 特別版 2010」
外務省HP