日本/東日本大震災/子どもにやさしい地域づくり(公開日:2019.10.10)
【報告】5年に渡る石巻市子どもセンター「らいつ」運営サポート完了
セーブ・ザ・チルドレンが、東日本大震災復興支援事業の一環として2011年から2013年まで子どもたちと一緒に活動していた石巻市子どもまちづくりクラブ。その活動に参加していた子どもたちが中心となって、石巻市子どもセンター(愛称:らいつ)を企画・デザインし、建設後、2013年12月にセーブ・ザ・チルドレンから石巻市へ寄贈されました。
子どもたちが考えた石巻市子どもセンターのコンセプトは「石巻の活性化のために中高生が中心となってつくり、運営していく施設。みんなが過ごしやすく、子どもの想いを世間の人たちに伝えられる場所」。まちづくりクラブに所属していない子どもたちや、乳幼児のいる保護者、地域の人たちへもヒアリングをしたり、建築の専門家からアドバイスを得たりしながら、子どもたちが企画・デザインに取り組みました。
建設後は、まちづくりクラブが石巻市子どもセンター設置条例前文案を作成し市へ提案。子どもたちが考えた前文が採択され、開館後は子どもの権利を柱に据え、子ども参加で運営されています。石巻市子どもセンター設置までの取り組みは、2014年度グッドデザイン賞と、第8回キッズデザイン賞を受賞しました。
子どもたちと一緒に建築した「らいつ」。セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが込めた思いが継続し、子ども参加に基づいて運営されていくように石巻市子どもセンター運営サポートを行いました。2014年1月の開館から2019年3月までの5年間に行った運営サポートの内容についてご報告します。
約40回の職員向け研修
職員が、子ども参加を実践していくためのサポートを行いました。その一つとして、職員対象の研修を定期的に実施。内容は、子どもの権利の基礎を学ぶセッションから、実際に子どもセンターを子ども参加型で運営していくにはどのようにしたらよいか、事業改善に向けて職員同士が協議するためのファシリテーション、年数回の事業の振り返りとその後のアクションプラン設定のためのコンサルテーションなど、その時々の運営状況に合わせて多岐にわたりました。職員向け研修は、開館前の2013年11月から、運営が指定管理者制度※に変更となった後も行い、2019年3月までの間に約40回実施しました。
石巻市子育て支援課や、指定管理者団体との運営に関する協議
子どもセンターの運営状況を随時確認するために、担当である石巻市子育て支援課ならびに子どもセンター、指定管理者団体と定期的な協議を行いました。子どもたちも一員を務める運営会議の内容や、利用者の状況、職員の様子、施設の不備や修繕の必要性、学校や地域関係者との連携など、子どもセンターの運営に関わる内容を、子どもの権利や子ども参加、子どもセンターに込められた思いから協議しました。この協議の中で、子育て支援課、子どもセンター、指定管理者団体とともに、子どもセンターに対する共通理解を深めていきました。
指定管理者選定プロセスへの子どもの意見反映をサポート
2017年に行われた指定管理者選定において、子どもたちが主体となってつくられたという子どもセンター設立の経緯を踏まえて、厚生労働省が示している児童館ガイドラインや他自治体の事例を共有しながら、指定管理者選定に必要な募集要項、仕様書、評価基準等への助言を行いました。
また、選定プロセスにおいても子どもの意見を反映するための取り組みもサポートしました。指定管理者選定プロセスにおいて、子どもたちの意見が聴かれることは全国的にもほとんどありません。しかしながら、子どもセンターが子どもたちによって企画・デザインされ、運営にも子どもたちが参加していることから、誰が運営者になるのかを選定するプロセスにおいても、子どもたちの意見の反映を目指しました。
石巻市子育て支援課と協議し、学識者や地域住民で構成される大人の選定委員に対し、子どもの視点から意見を伝える子ども委員の設置が決まりました。セーブ・ザ・チルドレンは、子ども委員の設置を企画立案し、募集要項や応募方法などを市へ提案。6人の子ども委員が決定した後は、子どもたちが自身の思いや意見を伝えられるよう、子ども委員の活動をサポートしました。子ども委員の活動報告については、石巻市のホームページをご覧ください。
この他にも、子どもの権利に関するイベントの実施に協力したり、セーブ・ザ・チルドレンを支援している企業が、ものづくりワークショップの開催に協力したりしました。
2019年3月、セーブ・ザ・チルドレンによる5年間の運営サポートを終えた後も、石巻市子どもセンターでは、子どもたちが思い思いに過ごし、仲間と集い、石巻市のために活動を続け、指定管理者であるいしのまき子どもセンターコンソーシアムが子どもたちとともに運営にあたっています。最近の活動については、石巻市子どもセンターのホームページやFacebookページをぜひご覧ください。
最後に、石巻市子育て支援課、初代施設長、指定管理団体であるいしのまき子どもセンターコンソーシアムから届いた5年間の運営サポートを振り返ってのコメントを紹介します。
・石巻市子育て支援課
・こどもフォーラム 原京子さん(初代施設長)
・いしのまき子どもセンターコンソーシアム 荒木裕美さん(現館長)
これまで、セーブ・ザ・チルドレンが運営サポートを実施するにあたって協働した子どもたち、石巻市子育て支援課、石巻市子どもセンター、いしのまき子どもセンターコンソーシアム、地域の皆さん、そして、私たちの活動を支援し続けてくださるすべての方々へ心から感謝申し上げます。
全国的にも珍しい子ども参加型の児童館運営をしている石巻市子どもセンター。子どもが参加する権利は、今年採択30年を迎える子どもの権利条約でも大切な柱の1つです。全国各地で子ども参加型の児童館運営が実践がされるよう、この石巻での取り組みを多くの皆さんに知っていただきたいです。
※公共施設の管理や運営に関して民間の団体等を「指定管理者」として指名し、民間の団体等の良いところをいかしながら、事業の質の向上と経費の節約を目指す制度。
(報告者:国内事業部 田代光恵)
子どもたちが考えた石巻市子どもセンターのコンセプトは「石巻の活性化のために中高生が中心となってつくり、運営していく施設。みんなが過ごしやすく、子どもの想いを世間の人たちに伝えられる場所」。まちづくりクラブに所属していない子どもたちや、乳幼児のいる保護者、地域の人たちへもヒアリングをしたり、建築の専門家からアドバイスを得たりしながら、子どもたちが企画・デザインに取り組みました。
建設後は、まちづくりクラブが石巻市子どもセンター設置条例前文案を作成し市へ提案。子どもたちが考えた前文が採択され、開館後は子どもの権利を柱に据え、子ども参加で運営されています。石巻市子どもセンター設置までの取り組みは、2014年度グッドデザイン賞と、第8回キッズデザイン賞を受賞しました。
子どもたちと一緒に建築した「らいつ」。セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが込めた思いが継続し、子ども参加に基づいて運営されていくように石巻市子どもセンター運営サポートを行いました。2014年1月の開館から2019年3月までの5年間に行った運営サポートの内容についてご報告します。
約40回の職員向け研修
職員が、子ども参加を実践していくためのサポートを行いました。その一つとして、職員対象の研修を定期的に実施。内容は、子どもの権利の基礎を学ぶセッションから、実際に子どもセンターを子ども参加型で運営していくにはどのようにしたらよいか、事業改善に向けて職員同士が協議するためのファシリテーション、年数回の事業の振り返りとその後のアクションプラン設定のためのコンサルテーションなど、その時々の運営状況に合わせて多岐にわたりました。職員向け研修は、開館前の2013年11月から、運営が指定管理者制度※に変更となった後も行い、2019年3月までの間に約40回実施しました。
石巻市子育て支援課や、指定管理者団体との運営に関する協議
子どもセンターの運営状況を随時確認するために、担当である石巻市子育て支援課ならびに子どもセンター、指定管理者団体と定期的な協議を行いました。子どもたちも一員を務める運営会議の内容や、利用者の状況、職員の様子、施設の不備や修繕の必要性、学校や地域関係者との連携など、子どもセンターの運営に関わる内容を、子どもの権利や子ども参加、子どもセンターに込められた思いから協議しました。この協議の中で、子育て支援課、子どもセンター、指定管理者団体とともに、子どもセンターに対する共通理解を深めていきました。
指定管理者選定プロセスへの子どもの意見反映をサポート
2017年に行われた指定管理者選定において、子どもたちが主体となってつくられたという子どもセンター設立の経緯を踏まえて、厚生労働省が示している児童館ガイドラインや他自治体の事例を共有しながら、指定管理者選定に必要な募集要項、仕様書、評価基準等への助言を行いました。
また、選定プロセスにおいても子どもの意見を反映するための取り組みもサポートしました。指定管理者選定プロセスにおいて、子どもたちの意見が聴かれることは全国的にもほとんどありません。しかしながら、子どもセンターが子どもたちによって企画・デザインされ、運営にも子どもたちが参加していることから、誰が運営者になるのかを選定するプロセスにおいても、子どもたちの意見の反映を目指しました。
石巻市子育て支援課と協議し、学識者や地域住民で構成される大人の選定委員に対し、子どもの視点から意見を伝える子ども委員の設置が決まりました。セーブ・ザ・チルドレンは、子ども委員の設置を企画立案し、募集要項や応募方法などを市へ提案。6人の子ども委員が決定した後は、子どもたちが自身の思いや意見を伝えられるよう、子ども委員の活動をサポートしました。子ども委員の活動報告については、石巻市のホームページをご覧ください。
この他にも、子どもの権利に関するイベントの実施に協力したり、セーブ・ザ・チルドレンを支援している企業が、ものづくりワークショップの開催に協力したりしました。
2019年3月、セーブ・ザ・チルドレンによる5年間の運営サポートを終えた後も、石巻市子どもセンターでは、子どもたちが思い思いに過ごし、仲間と集い、石巻市のために活動を続け、指定管理者であるいしのまき子どもセンターコンソーシアムが子どもたちとともに運営にあたっています。最近の活動については、石巻市子どもセンターのホームページやFacebookページをぜひご覧ください。
最後に、石巻市子育て支援課、初代施設長、指定管理団体であるいしのまき子どもセンターコンソーシアムから届いた5年間の運営サポートを振り返ってのコメントを紹介します。
・石巻市子育て支援課
・こどもフォーラム 原京子さん(初代施設長)
・いしのまき子どもセンターコンソーシアム 荒木裕美さん(現館長)
これまで、セーブ・ザ・チルドレンが運営サポートを実施するにあたって協働した子どもたち、石巻市子育て支援課、石巻市子どもセンター、いしのまき子どもセンターコンソーシアム、地域の皆さん、そして、私たちの活動を支援し続けてくださるすべての方々へ心から感謝申し上げます。
全国的にも珍しい子ども参加型の児童館運営をしている石巻市子どもセンター。子どもが参加する権利は、今年採択30年を迎える子どもの権利条約でも大切な柱の1つです。全国各地で子ども参加型の児童館運営が実践がされるよう、この石巻での取り組みを多くの皆さんに知っていただきたいです。
※公共施設の管理や運営に関して民間の団体等を「指定管理者」として指名し、民間の団体等の良いところをいかしながら、事業の質の向上と経費の節約を目指す制度。
(報告者:国内事業部 田代光恵)