EVERY ONE(公開日:2010.06.15)
都市部よりも地方のほうが新生児の死亡率が低いタンザニア(2010.06.15)
タンザニアの親子(撮影Freyhiwot Nadew)
タンザニアでは、毎年62,000人の新生児が命を落とし、さらに43,000人が死産しています。これら新生児のほとんどが予防可能な要因で命を落としており、母子にしかるべき処置がなされれば、3分の2が救われるとみられています。このことは同時に、タンザニアの母親が非常に危険にさらされていることを意味します。タンザニアでは、半分以上の出産が自宅で行われており、24人に一人の確率で妊娠中または出産時に合併症が原因で女性が命を落としています。
タンザニア政府は、母子保健を改善する様々な施策を行っており、妊娠中、出産、産後の女性と5歳未満の子どもを対象に無料のサービスを提供しています。また、政府は子どもの栄養不足削減のための政策も推進しています。
【タンザニアの子どもたち 基礎情報】
- 11人に1人の子どもが5歳を迎える前に死亡している(うち32%が新生児)
※参考:日本では1,000人に4人が死亡。 - 24分1の確率で、妊娠中の母親が死亡。
- 医者1人に対する人口は25,000人。
- 不足しているヘルスワーカー(医療従事者)数:88,700人
タンザニアでは、人里離れた地域でヘルスワーカーが非常によく機能しており、全体の80%の看護婦と88%の助産婦が地方で働いています。実際、収入や学歴が高く、保健サービスも良い都市部に比べても地方のほうが新生児の死亡率が低いくらいです(これは、都会におけるHIV/AIDSの高い普及も影響しているかもしれません)
看護婦と助産婦は84%が女性で、技術を伴う出産の80%以上を支えています。そして、65%の妊婦が出産前のケアを看護婦と助産婦から受けています。医者以上に研修を積んだ女性の“医療従事者”による帝王切開が一般的に行われています。
タンザニアでは、一つの村に2人のヘルスワーカー(Village Health Worker VHW)を設置することが目指されており、そのうち少なくとも1人は女性であることが求められます。1人は妊婦と子どもの健康に関して、もう1人は衛生環境に関する仕事に従事します。VHWたちは妊婦の出産計画(妊娠時の危険の察知、清潔な出産の準備、緊急事態に備えての貯蓄など)に関して支援をします。
これらの努力にもかかわらず、出産時の立ち会いの割合は、1992年の53 %から2004年/2005年は46%と減少しています。また、急速な人口増加に対して医療従事者数の縮小が激しく、1994年には人口2,900万人に対して、ヘルスワーカー67,600人でしたが、現在は人口4,000万人に対して、ヘルスワーカーはたったの25,000人しかいません。
しかしながら、一方でタンザニアは進歩を見せています。ほとんどの妊婦(97%)が少なくとも1回は出産前検診を受けており、破傷風から新生児が守られる割合が、1990年代初頭の23%から現在は81%と3倍以上になりました。また、出産後6カ月までの母乳育児については、まだ一般に普及しきってはいないものの、1996年の29%から2004年/2005年は41%になるなど、確実な伸びをみせています。
クリニックで活躍する看護助士(撮影Freyhiwot Nadew)
【知っていますか?タンザニアってこんな国】
- 東はインド洋に面し、陸では8カ国と国境を接している(首都 ドドマ)
- 人口:4,248万人、
面積:9,450,000m2 - 1人あたりの国民総所得(GNI)440ドル
*参考:日本は38,980ドル - タンザニアの国土の7分1は、セレンゲティ国立公園(ヌー、シマウマ、エランド、クドゥなどの動物の群の大移動で有名)などの国立公園や野生動物保護区
- 大陸の約120部族がバンツー系で、人口の95%を占める
次回は「アフリカの真珠」と称えられる美しい自然をもつ国を特集します。