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日本/東日本大震災/防災(災害リスク軽減)
(公開日:2015.08.24)

高校生と小学生の防災ワークショップ〜また高校生のお姉さんと「みんなで遊んでたすカルテット」で遊びたいな!

 

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、宮城県東松島市で「子どもから子どもへの防災学習」を推進しています。2015年7月27日には、市内の石巻西高校の生徒が放課後児童クラブを訪問し、高校生と小学生が防災カードゲーム「みんなで遊んでたすカルテット」 で遊びながら防災について学ぶという活動を支援しました。来年以降もこの活動を継続していくために、訪問に先立って東松島市と石巻西高校の間で「防災教育共同事業に関する覚書」が締結され、阿部市長からセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンへ感謝の言葉をいただきました。


石巻西高校生による放課後児童クラブ訪問は、2014年12月末に初めて行われました。 小学生の子どもたちは、高校生のお姉さんたちと「みんなで遊んでたすカルテット」で遊んで、大喜び。高校生も「また、この活動に参加したい」と、双方からの“ラブコール”がありました。東松島市保健福祉部子育て支援課も石巻西高校も、この活動は子どもたちの防災意識・自助力の向上につながるため今後も実施していきたいと考え、共同事業として覚書を交わすための協議をセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと三者で行ってきました。


■東松島市・石巻西高校「防災教育に関する覚書」締結式(7月27日)■
東松島市から阿部市長をはじめとし保健福祉部から5名、石巻西高校から校長先生、教頭先生、生徒代表2名、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンから2名が出席し、「防災教育に関する覚書」締結式が行われました。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンからは、覚書締結に至った経緯を説明。市長さんからは、「防災には自助、共助、公助が重要ですが、防災教育はまさに共助の部分にあたります。子どもから大人までみんなで安全、安心なまちづくりに取り組んでいきたい」というお言葉がありました。


■小学生と楽しく防災を学ぶための準備(7月24日)■
締結式の後は、放課後児童クラブへの訪問です。放課後児童クラブ訪問について報告する前に、高校生がこの日のためにどのような準備をしていたか、少しお伝えします。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、3日前の7月24日に放課後児童クラブに訪問する高校生と事前研修を実施。将来、保育士や教員を目指している生徒36名が参加しました。昨年に続いて、「今年も行きたい」と2回目の参加となる生徒も3名いました。研修では、その生徒3名に協力してもらって、「みんなで遊んでたすカルテット」の遊び方を説明しました。

次に、約80分の放課後児童クラブ訪問の間、どのような活動をするか、グループで話し合い、メモしました。「前回は、こんなことしました」などのアドバイスも参考に、楽しいプログラムを考えました。最後に、防災主任教諭の上園先生から「子どもたちをよく観察して、その子その子に合った対応をしてください。子どもの頃に遊んだことは記憶に残りますから、子どもたちと楽しく防災を学びましょう」と、活動の中でとても大事なポイントが伝えられました。

事前研修に参加した生徒の感想です。

「カルテットは、ルールが簡単で小さい子どもでも楽しく遊べるのでいいなと思いました」
「どうしたら、うまく説明ができるかな?と考えながら取り組むことができました」
「研修会をやることで自分のやるべきことが明確になってよかった」
「去年もやったことはあったのですが、前回の事を再確認できるいい機会だった」


初めての生徒も2回目の生徒も、本番に向けていい準備ができたようです。

  

■「もう1回しようよ!」「また来てね!」(7月27日)■
いよいよ放課後児童クラブへの訪問当日。石巻西高校を2台のバスで出発し、高校生39名が放課後児童クラブ10施設で待っている187名の子どもたちのもとへと向かいました。放課後児童クラブいちごでは、高校生4名と小学生13名が参加。「こんにちは!今日はみんなと一緒に楽しく遊びながら防災を学びたいと思います」と、高校生からの元気なあいさつで始まり。まず仲良くなるために、2グループに分かれて「伝言ゲーム」をしました。どちらも大正解!

そして、「みんなで遊んでたすカルテット」を使って防災について学びます。放課後児童クラブいちごは、昨年の12月にも訪問したため、再び訪れた2人の高校生のことやカードゲームも覚えている小学生もいました。「たすカルテット」経験者がいたグループは、1回目から大きな声で「〇〇さん、『防災の基本』のカードを持っていますか?」と指名して、どんどんカードを獲得していきます。最初は少しおとなしかったもう一つのグループも、2回目となると「当たった!」「残念!」「もう一回しよう!」など、声が出てきました。さすが子どもたち! 胸につけた名札を見ながら名前を覚え、交流を深めていました。


ゲームの説明をする高校生

「《地震》のカード持ってますか?」


楽しい時間はあっという間に過ぎ、高校生が帰る時間が近づいてきました。最後に、「今日、みんなで遊んだカードには、防災について大切なことが書いてあります。何度もこのカードゲームで遊んで、災害が起こった時、自分の身を守れるようにしましょう」と、高校生から小学生へメッセージが送られました。

「また、遊びに来るね」という高校生に対して、「いつ?」「1週間後?」「明日?」「1時間後?」と別れを惜しむ小学生。去りがたい高校生でしたが、再会を楽しみにひとまずお別れとしました。

取材に来ていたテレビのインタビューに答えた小学生は、防災について学んだことをこう言っていました。

「カードの方が簡単で分かりやすかった」
(3年生男子)
「またカードゲームをして、たいへんな時に思い出したいです」(4年生女子)

高校生と小学生を見守っていた放課後児童クラブの指導員さんからは、「小学生と高校生は年齢が近く、親近感があり、遊びを通して防災についてお互いに学べたと思う」などの感想がありました。

学校に戻った高校生は、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの進行で、見学に行った先生や子育て支援課の職員さんと一緒に振り返りをしました。

グループで模造紙に、6つの質問にもとづいて活動状況を書き出し、お互いの活動の様子を共有しました。例えば、

“たすカルテットで遊ぶ時、工夫したこと”
「《たすカルテット》で神経衰弱やかるたをしてみた」
「小さくて字があまり読めない子が多かったので、《テーマ》ではなく《カードの色》を言って集めるようにした」
“よかったこと・うれしかったこと”では、
「家族や友達のことなど、いろいろと話してくれたこと」
「別れを惜しんでくれたこと」

“困ったこと”では、
「カードの取り合いになって、ケンカが始まった」
「もう一度やり直した」
「ルールが分からなくて遅い子が、周りにせかされて泣きそうになった」
「その子とペアになってゲームをした」
先生が研修で話していたことが、ちゃんとできていたようです。



活動についてのアンケートには、すばらしい感想がたくさん書かれていました。ほんの一部ですが、ご紹介します。

「私も児童クラブにいた経験があるので、なつかしかったし楽しかったです。小学生に難しいことでもカードゲームを通すことによって、分かりやすく学んでもらえたのではないかと思う。また、子どもとの接し方も学ぶところが多かった」
「子どもと学習をするにあたって、自分も同じ目線で話をすることが大事だと思った。これから子どもと接するときには『同じ目線』ということを常に心がけたいと思う」
「将来、小学校の先生になりたと思っていたので、今回児童と触れ合えて一人ひとりの個性を大切にしなければいけないということを改めて学べたのがよかった。カルテットに興味をもってもらえてよかった」
「将来は子どもにたずさわる仕事をしようと思っているので、とても役に立つ経験になりました。『たすカルテット』で自分で気付いた部分もあり、震災のことを広めたり、子どもと接する機会のために役立つことがたくさんありました。楽しかったです」

高校生にとって、自分が子どもの頃を思い出しながら、また将来のことを考えながら、小学生と防災について一緒に学んだことは、役に立つ経験だったようです。そして、小学生にとっても高校生と学んだことは、忘れられない思い出となったようです。「お姉さんのようになりたい」と思った子もいるでしょう。

高校生による放課後児童クラブ訪問では、予想していていなかったようなさまざまな効果が小学生にも高校生にも見られました。「子どもから子どもへの防災学習」というすばらしい取り組みが継続され、ひいては東松島市全体の防災力の向上につながることを願っています。


(報告:東京事務所 太田まさこ・仙台事務所 菅原絵美)





 

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