日本/東日本大震災/防災(災害リスク軽減)(公開日:2015.09.30)
子どもたちと一緒に防災訓練をするために!〜小松地区防災研修会〜
宮城県東松島市小松地区の自主防災会、自治会、行政区の役員さん18名が集まり、地域で子どもと大人が一緒になって、より質の高い防災訓練を行うために、防災研修会を行いました。東松島市では、2015年6月の総合防災訓練で、日曜日を登校日として小中学生が地域の自主防災組織が主催する防災訓練に参加するという画期的な取り組みを行いました。その準備として、自主防災組織の人たちを対象とする研修会 をセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが支援しました。
その後、「ぜひ小松地区でも研修を」と小松地区内の手招地区からお声掛けがありました。次に子どもたちが参加する総合防災訓練では、今年とは違うプログラムにしたいので、いろいろな防災ワークショップを学びたいというご希望があり、7月23日に自主防災会などの役員さん5名と研修会の内容について話し合いました。
9月12日、土曜日の夜にもかかわらず、18名もの役員さんが参加。まず、リクエストがあった防災カードゲーム「なまずの学校」 の進め方の練習です。子どもも大人も楽しく防災が学べるので、どこでも大人気の教材です。小松地区にファシリテーターが誕生すれば、いつでも「なまずの学校」ができるようになります。「なまずの学校」は、東松島市の防災課が市内の全小中学校に2セットずつ配布し、防災課にも地域の人たちが使えるようにと貸し出し用に2セット準備しています。
最初に、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンがファシリテーターとなって、みんなで1問試してみました。紙芝居を使って、災害時に発生しそうなトラブルをファシリテーターが説明します。グループに分かれた参加者は、その問題を解決するために、手持ちのアイテムカードから使えるカードを選びます。「これは頭を柔らかくして、考えないといけないな〜」などと言いながら。適当なカードがないグループからは、「全然使えるカードがない……」と困った声が。災害時には、どんな状況になるか分かりません。「それでも、何とかトラブルを解決できるようにカードを選んでください」とお願いしました。
次に、「どなたかファシリテーターをしてみませんか」とお聞きしたのですが……手は挙がらず。手招地区の自主防災会会長さんにお願いして、問題を読んでもらいもう1問。参加者は、グループで話し合った結果、選んだアイテムカードはどれか、その理由は何か、を発表。適当なカードがないなか、問題を解決するための工夫が見られたグループには、自然と拍手が起こりました。
問題を読む会長さん
なぜこのカードを選んだか理由を説明
その次は、東松島市の別の地域、大曲で開催を支援した防災イベント について紹介しました。イベントの様子をまとめたビデオを上映し、イベントで実施した5つのワークショップの中から小松地区でしてみたいものに投票。多数決で、「非常持ち出し袋を準備しよう!」になりました。各グループが、「赤ちゃんがいる家族」「小中学生がいる家族」「お年寄りがいる家族」のいずれかになったつもりで、非常持ち出し袋に入れる物を考えます。水、食料、紙おむつ、おしりふき、お薬手帳、めがね、おもちゃ、本など、畳の上に並べた物から選んでリュックに入れ、そして背負ってみて重さを体験するというワークショップです。「お年寄りがいる家族」になったグループは「おしりふきもいるよな」、「小中学生がいる家族」は「トランプを入れよう」などと言いながら、次々と選んでいきました。家族構成に合った非常持ち出し袋の準備ができました。
1時間30分という短い時間でしたが、多くの質問が出て、熱心にメモをとられていたことが印象的でした。「とても勉強になりました」「よく工夫されていて、奥が深いワークショップですね」などの感想がありました。区長さんからは「もう少し時間を長くしてもよかったかな。今日、消化しきれなかった部分については、後日みんなで復習しましょう」と、小松地区のみなさんの防災に対する関心・意識の高さをひしひしと感じるコメントもありました。今回の研修を生かして、次の総合防災訓練が地域の人たちにより役立つ訓練となることを願います。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、これからも子どもと大人がつながった地域の防災を支援していきます。引き続き、応援よろしくお願いします!
(報告:東京事務所 太田まさこ、仙台事務所 菅原絵美)