日本/東日本大震災/防災(災害リスク軽減)(公開日:2012.07.05)
「今までの防災教育のイメージがガラリと変わりました!」学童指導員研修@石巻(2012.07.05)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)は保護者が働いている小学生の放課後保育を行う「放課後児童クラブ」と共に、震災以来子どもたちが安心して遊び・学び・成長するための活動を進めています。
活動の中でも、学童指導員の研修には世界的なラグジュアリーブランドのBVLGARIよりご支援をいただき、昨年より各地域で実施しています。指導員同士の交流や保育技術の向上を目的とした研修の実施、定期的に全国学童保育連絡協議会(全国連協)や岩手県学童保育連絡協議会(県連協)とミーティングを行うなど、自身も被災をされたなかで日々子どもたちと向き合う指導員の方々をサポートすることで、保育の質向上を目指しています。
今年3月に岩手5地域(山田町・大槌市・釜石市・大船渡市・陸前高田市)、宮城2地域(石巻市・東松島市)の学童指導員の方へ研修に対するアンケートを実施しました。その中で、指導員の方々の防災研修に対する意欲が高かった為、SCJと震災前から一緒に活動しているNPO法人プラス・アーツと共に、「楽しく学べる防災研修」を企画し、実施しました。
今回は、6月14日石巻市放課後児童クラブ指導員を対象とした「防災研修会」の様子をお伝えします。
午前中の全体研修では、市内28の児童クラブから指導員68名が参加し、指導員の方自身の防災知識を高めて頂く内容で、「地震のメカニズム」、「家具転倒防止」、「災害時持ち出し防災グッズ」、「応急手当」、「災害時の連絡方法」を、実演を見ながら、クイズや体験も学んでいただき、更に、実際に児童クラブで子どもたちが楽しく学べるプログラムの活用方法も見て頂きました。
以下、各指導員の方からの感想です!
<家具転倒防止>
地震の際の家具転倒を防ぐための具体的な器具の紹介と、止め方をわかりやすく説明していただきました。
「自分の家、クラブ室内で行っている家具の転倒防止が不十分であるという事がわかった。すぐに取り組みたいと思います。」
<応急手当>
身近にあるものを使って応急手当。新聞紙を丸めて添え木にて、ハンカチとネクタイで止血、ビニール袋を三角巾代わりにしています。
「身近なもので応急手当ができるので、勉強になりました。また自分達も実際に手当をしたりして楽しかった。この場で体験できて良かった。」「ビニール袋がない場合もあるかもしれない。その時はネクタイを三角巾代わりにする。」など、指導員の方同士でアイディアも出し合っていました。
「自分達が今どうしたらよいかという気持ちがあり、すごく勉強したい内容の研修会だったので、時間が足りないくらい、とても有意義な勉強会でした。」「今までの防災教育のイメージがガラリと変わりました。短時間でたくさんの知識を入れていただきありがとうございます。楽しく実践的でどんどん興味が沸いてきました。」
* * *
午後は、石巻市鹿妻地区放課後児童クラブの子どもたち45名、指導員の方5名共に、ビニール袋とひもを使い、シェルター(小さな家)づくりを行いました。
一つのビニール袋を膨らませて、それをビニールひもで結び、みんなの袋を繋げていきます。初めは、どうなるのだろう?と思いながらも、子どもたちは一生懸命ひもを結びました。
だんだん形ができてくると、子どもたちは早く中に入りたくてたまりません。
全部つなげて完成したときは、自然に拍手がおきました。
作った子どもたちからは、「袋を膨らませるのが楽しかった」「結ぶのが難しかったけど、そっくりなおうちがつくれて良かった」「またやりたい」という声が寄せられました。
さて、いよいよ自分たちで作ったシェルターに入ります。入った時の子どもたちは大喜び。
中に入った感想は、「宇宙みたい」「この中でおやつ食べたい」と子どもたちそれぞれが喜びを表現したり、また、シェルターに入っている友だちと手をつないだりして楽しんでいました。
翌日も、子どもたちは児童クラブに帰ってくると、順番にシェルターに入り、基地のような自分たちだけの空間を楽しんでいたそうです。
今後も、7月に指導員の方々と子どもたちが楽しく防災を学べるプログラムを体験し、活用方法を学びたいと思います。また、夏休み期間中は、SCJスタッフと学生ボランティアが、各児童クラブを訪問し、指導員の方々と共に、防災教育ゲームで子どもたちと一緒に遊ぶ予定です。
最後に今回の防災研修実施にあたり協力して頂いた、指導員の先生方、石巻市の関係者の皆様、SCJの活動をご理解いただき研修の実施にご支援をいただいているブルガリに感謝申し上げます。
山田町・大槌町学童指導員合同研修の様子はこちら
(報告:仙台事務所・櫻庭直子)