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ウガンダ
(公開日:2017.01.23)

ウガンダへ逃れた南スーダン難民 ‐4人の子どもたちの物語‐

 
マーサさんと息子のガブリエルさんの場合


9ヶ月になる息子のガブリエルさんをあやすのは、ウガンダで難民として暮らす南スーダン出身のマーサさん(16歳)。不安定な情勢が続く南スーダンで暮らしていた2年前、まだ14歳のとき、マーサさんはレイプの被害に遭い、妊娠しました。

南スーダンでは、2016年7月に首都のジュバ近郊で戦闘が激化し、今もなお、多くの人々が戦闘から逃れるため、着のみ着のままで何日も茂みの中を歩き続け、隣国のウガンダに避難してきています。そして、このように命がけでウガンダに辿りついた人々の、実に90%近くが、幼い子どもや母親たちです。

マーサさんはレイプの被害に遭い、戦闘を目の当たりにした恐怖から、心に深い傷を負っていました。マーサさんのような心に深い傷を負った子どもたちに接する際、人道支援に従事する我々は、どう見守り、どう対応していくか、姿勢と行動が問われます。

セーブ・ザ・チルドレンのスタッフが行うのは、孤立したり、ふさぎ込んだりしているような子どもたちがいないか、まず「見る」こと。そして、明らかに支援を必要としている子どもがいた場合、相手の心情に寄り添いながら「聴く」ことで、その人のニーズや心配事をくみとります。さらに、マーサさんのように専門家の支援が必要なケースの場合、医療機関等に「つなぐ」ことで、その人が必要としている支援への橋渡しをします。

セーブ・ザ・チルドレンは、こうした「見る・聴く・つなぐ」の行動原則を「子どものための心理的応急処置(Psychological First Aid for Children)」として、マーサさんのような子どもたちに対して実践するとともに、その普及に努めています。
「子どものための心理的応急処置(PFA)」


ジョイスさんとジェーンさんの場合


ジョイスさん(13歳、右)とジェーンさん(15歳、左)の姉妹も南スーダンからの難民です。2人は言います。「お金を払ってウガンダまで行く車に乗せてもらって、お母さんと一緒に国境まで逃げてきました。でも、私たちが払った金額は、3人全員をウガンダまで連れていくのに十分な額じゃなかった。だからお母さんは、国境から先に行くことができなかったの。」ウガンダとの国境で母親は、娘たちが無事に入国できるよう、同じように国境を越えようとしていた見知らぬ女性にわが子を託しました。

無事にウガンダに入国した姉妹ですが、難民受け入れセンターに着いた途端、女性とははぐれてしまいました。こうして二人は見知らぬ土地で、親と離ればなれになったまま、誰も保護してくれる大人がいない状態で、難民としての生活を始めることになったのです。ジェーンさんは言います。「お母さんが私たちのところまで来られるかどうかは分からない。でもお母さんに会いたい」

ジョイスさんとジェーンさんのような、親と離ればなれになってしまった子どもたちが何よりも必要とするのは、自分たちを守ってくれる保護者です。加えて、当面の避難生活を乗り切れるだけの食料や生活物資、そして身を横たえることのできる場所も確保しなければなりません。

セーブ・ザ・チルドレンは、ジョイスさんやジェーンさんのような子どもたちに対して、里親を見つけ、家族や親族と再会できるまで適切に保護される環境を整えるとともに、衣類や蚊帳、女性用の衛生用品などを配布して、子どもたちに寄り添いながら、厳しい環境下での生活をサポートしています。


47万以上の語られぬ物語

昨年7月以来ウガンダに逃れてきた南スーダン難民の総数は47万1,019人(2016年12月27日現在)。ここで紹介した4人の子どもたちの物語以外にも、47万以上の語られぬ物語が存在します。緊急下の子どもの保護においては、一人一人が背負ってきたものと向き合い、それぞれの子どもたちにとって、最善の利益となるよう対処することが必要とされています。

セーブ・ザ・チルドレンは、今日もこの4人のような子どもたちに寄り添っています。


―ウガンダにおける南スーダン難民の子どもへの緊急支援―
2016年7月上旬に発生した南スーダン国内での武力衝突により、周辺国に逃れる南スーダン難民が増加しています。ウガンダでは、これまでに35万近くの南スーダン難民を受け入れており、一時滞在センターも飽和状態です。この混乱の中で、家族と離散してしまった子どもたちも少なくありません。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、2016年8月より、このような子どもたちに対する保護事業を実施しています。
事業期間 2016年8月22日〜
事業分類 【緊急・人道支援】【子どもの保護】

本事業は皆さまからのご支援と、ジャパン・プラットフォームの助成により実施しています。

 

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