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ウガンダ
(公開日:2017.11.28)

【ウガンダ 南スーダン難民支援】難民流入急増から1年、今なお求められる子どもたちへの支援

 

「やっとウガンダに着いた時には、ほっとした。」ある南スーダン難民の子どもの言葉です。ウガンダに逃れてきた難民の子どもたちの中には、南スーダン国内で兵士たちに身のまわりの物を全て奪われる、何日間にもわたって食べ物もなく歩き続ける、休憩を取っていた教会が兵士たちによって火を付けられる、目の前で家族を殺される、といった私たちの想像を絶する経験をしてきた子どもたちが多くいます。


難民一時滞在センターの様子。南スーダンから逃れてきた人々は、
ここで難民登録を完了した後、難民居住区へ移動します。

2016年7月上旬に発生した南スーダン国内での武力衝突により、周辺国に逃れる南スーダン難民が急増しました。2017年10月末現在、ウガンダには約103万人の南スーダン難民がいますが、このうち約75万人は、2016年7月以降に避難してきた人々です。

セーブ・ザ・チルドレンは、2016年7月以前からウガンダで、南スーダン難民支援を行っていました。しかし、難民の急増を受け、それまで支援していた難民居住区に加え、新設された難民居住区へも緊急支援を拡大しました。2016年7月以降の、1日当たり3,000人を超える大規模な難民流入は今年前半も続きました。そのような中、セーブ・ザ・チルドレンは、ウガンダでの難民生活の開始を支援するための緊急支援物資の配布や、子どもが安心・安全に過ごすことができる「こどもひろば」の運営、そして混乱の中で家族と離ればなれになってしまった子どもたちなどに対する個別支援を中心に、緊急支援を実施してきました。また、南スーダン国内は引き続き不安定な状況が続いており、ウガンダでの難民生活が長期化することが予想されるため、「こどもひろば」の場所を活用し、幼児に対する就学前教育支援活動(日本の幼稚園に相当)も行っています。


仮設の「こどもひろば」にて、セーブ・ザ・チルドレンのスタッフと話す子ども。
子どもたちは、人形を使うことで、直接話しにくいことについて、話せるようになることもあります。

支援の具体的な活動を紹介します。

<緊急支援物資の配布>
保護者や付添いの大人と離ればなれになってしまうなどして、特に脆弱な状態にある南スーダン難民の子どもたちに対し、ウガンダでの難民生活を開始するにあたり、下着や履物などの緊急物資を提供しました。また、朝晩には冷え込む雨季を乗り切るための毛布や厚手の上着なども配布しました。

<「こどもひろば」の活動>

・子どもたちを年齢別のグループに分け、歌やダンス、お絵かき、ボール遊びなど、年齢や子どもの発達段階に応じた活動を行っています。
・セーブ・ザ・チルドレンが育成したボランティアが、子どもの参加を促しながら活動を実施しています。例えば、子どもたちの意見も取り入れながら活動スケジュールを決めたり、「こどもひろば」の運営に関して、上手くいっている点、改善すべき点やそれに対する対応策を、子どもたちと一緒に考えたりしています。
・「こどもひろば」を、難民だけでなく、ウガンダの難民受け入れコミュニティの子どもたちも利用できるようにするとともに、難民と難民受け入れコミュニティ間の交流、共生を促進しています。
・特に、学校に通えない子どもたちの児童労働や非行のリスクが高まる中、子どもが安心かつ安全に過ごせる居場所として「こどもひろば」を毎日開き、子どもたちがこれらのリスクに晒されることのないように活動しています。
・「こどもひろば」の場所を活用し、妊婦や乳幼児の親子に対する栄養支援活動を実施しています。

<家族と離散した子どもに対する個別支援>

・ウガンダへ逃れる際の混乱の中で保護者や付添いの大人と離ればなれになってしまった子ども、障害のある子ども、虐待、ネグレクトや搾取などの被害を受けた子どもに対し、個々のニーズに応じた支援をすることで、子どもたちが置かれた状況を少しでも改善するような取り組みをしています。
・保護者や付添いの大人と離ればなれになった子どもたちは、基本的には里親家庭のもとで生活を開始しますが、難民生活が長期化することにより、里親家庭の中で、新たな問題が生じることも少なくありません。定期的に家庭訪問をしたり、子どもたちや里親とそれぞれ会議を開催し、互いに直面している課題を共有したり、解決策を話し合ったりします。

<就学前教育支援活動>

・健全な幼年期の心身の発達を促進するため、また、初等教育に円滑に移行できるようにするために、セーブ・ザ・チルドレンが育成したボランティアが教師となり、難民居住区で就学前教育支援活動を実施しています。
・各年齢の発達段階に合った適切なレベルや方法で、文字や言葉に触れる機会をつくり、読み書きや算数の基礎力の習得を図っています。
・朝食を食べていない子どもや家に帰っても昼食が準備されていない子どもも多くいます。そのような中、「こどもひろば」運営委員会や保護者会が中心となって、保護者らに働きかけて材料を持ち寄るなどしてもらい、就学前教育支援活動において、補食(おかゆ)を提供しています。


「こどもひろば」の遊具で遊ぶこどもたち。
遊具には、順番待ちの長い行列ができることもあります。

「やっとウガンダに着いたときには、ほっとした。しかし、いつも、(南スーダンに残っているとされる)お父さんやお母さんのことを想っている。」冒頭に紹介した難民の子どもの言葉の続きです。多くの南スーダン難民が、ウガンダにおける難民生活開始から1年以上が経った現在も、支援を必要としています。セーブ・ザ・チルドレンは、今後も、南スーダン難民の子どもたちのために、子どもの保護や、教育支援などを続けていきます。

本事業は、皆さまからのご寄付とジャパン・プラットフォーム、サラヤ株式会社からのご支援により実施しています。

(報告:不破麻理子、渡邊紗世)

 

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