ウガンダ(公開日:2017.09.19)
【ウガンダ 防災】子どもたちによる防災イベントが行われました
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2015年2月よりウガンダ共和国西部で防災事業を実施しています。事業地のカセセ県カルサンダラ準郡は、近年の気候変動の影響もあり、豪雨による洪水が多発している地域です。
この事業は、自然災害による被害を軽減するための活動(減災)、災害への準備や対応(防災)、災害や気候変動に適応するための取り組み(適応)、そしてこれら3つの取り組みを含むコミュニティで防災活動を行う防災組織の活動の基盤強化、を柱にしています。
災害が発生すると、子どもたちはさまざまな影響を受けます。例えば、洪水が発生すると、家が浸水して物が流されてしまったり、川が氾濫し橋を渡れなくなって学校に行けなくなったり、家に帰れなくなったりします。その他にも、洪水による農作物への被害から食料不足が発生し、栄養不良に陥ってしまう子どもたちもいます。そのため、この事業では地域の学校8校(小学校7校、中学校1校)に防災クラブを設置し、この防災クラブを中心に、子どもたち自身が防災行動計画を作成するとともに、コミュニティでの啓発活動などを行っています。
また、この事業では、村の農家に対し、災害や変動する気候に適した品種の導入や栽培方法などを伝えることを通して気候変動対応能力を向上させる取り組みを行っていますが、この取り組みはそれぞれの学校においても、学校菜園という形で行われています。
学校菜園でつくるのは、バナナ、メイズ(白とうもろこし)、豆など。
収穫物をつかった給食は子どもたちに好評です。
8月22日には、事業に参加する学校8校による防災イベントが開催されました。各校の防災クラブのメンバーを中心に、周辺の学校の生徒たちも参加し、全部で625人もの子どもたちがイベントを盛り上げました。それぞれの学校の防災クラブが、ダンスや歌、劇などを通して、日々取り組んでいることや学んだことなどを発表しました。また、それぞれの学校の代表者が参加しての模擬議会「子ども議会」も行われました。大統領や警官の役もあり、また議員も野党議員と与党議員に分かれ、衣装も見事に、本格的です。特に活発に話し合われたのが、学校菜園の収穫による給食の提供についてです。
防災クラブの取り組みを紹介する子どもたち
給食が提供される時期や頻度は、収穫量、収穫時季、また生徒数などによって異なります。この提供の頻度にばらつきがあることから、議員を演じる子どもたちからは、学校菜園とその収穫から給食を提供することの重要性を訴える声が上がりました。反対派の野党議員との間に繰り広げられた活発な議論の末、給食の提供を義務化すべき、との意見がまとまりました。イベントに参加した県の行政官らは、この子どもたちからの意見を県議会に提出すること、県議会で賛同が得られれば条例化に向けて働きかけることを宣言しました。セーブ・ザ・チルドレンは事業を通して、こういった子どもたちの声が活かされるための後押しも行っていきます。
子ども議会の開会を議長(役の子ども)が宣言します
この事業では、防災クラブなど地域で防災活動を行う防災組織を、地方行政がサポートできるようになるための地方行政の能力強化や働きかけにも取り組んでいます。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、今後も、防災に子どもたちの視点を取り入れ、子どもたちにとってより安全な地域がつくられることを目指し、事業を実施していきます。
本事業は、みなさまからのご寄付と外務省の助成により実施しています。
(海外事業部 ウガンダ担当:福田)