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ウガンダ
(公開日:2024.04.25)

【ウガンダ】持続的な子どもの保護システムの強化を目指して:人道支援から開発支援へ

 
4月30日は「子どもの体罰を終わらせる国際デー」(International Day to End All Corporal Punishment of Children)です。世界中で、毎年13億人以上の子どもたちが体罰を受けています。セーブ・ザ・チルドレンは、2030年までにあらゆる場面で子どもへの体罰を撲滅するために事業を実施しています。



ウガンダでは、2023年3月31日から北西部のアルア県・アルア市において子どもの保護システム強化事業を開始し、1年が経過しました。

現在のアルア県・アルア市には、かつて難民居住区があり、南スーダンやコンゴ民主共和国からの難民を受け入れていました。

2019年から2020年の行政区域の分割により現在は難民居住区がないものの、北西部の中心地域として、近隣県から移り住んできた難民など多様な背景やニーズを持つ人たちが暮らしています。

アフリカで最も難民を受け入れている国であるウガンダで、セーブ・ザ・チルドレンは、これまで緊急・人道支援として、子どもの保護分野の難民支援を実施してきました。

この「人道」支援の実績と知見を踏まえ、現在は、より持続的に子どもを虐待・暴力・搾取から守るための仕組み(子どもの保護システム)を強化することを目指す「開発」事業を実施しています。

過去の難民支援事業については、以下をご覧ください。
【ウガンダ 南スーダン難民支援】地域で取り組む、体罰のない子育て
【ウガンダ コンゴ民主共和国難民支援】地域の「子どもの保護委員会」とともに、難民の子どもたちを暴力や虐待から守る


持続的な子どもの保護システムの強化のためには、行政・地域・保護者・子どもたちに対して包括的に働きかけ、相互に連携する必要があります。実際の活動内容を紹介します。

■子どもの意見が政策に反映されることを目指し、子どもグループを設立
子どもを取り巻く環境について子ども自身が意見を表明し、参加する場を提供する「子ども参加」の活動を促進しています。

子どもが中心となって子どもの意見をまとめ、行政に対して提言していく仕組みを構築するため、子どもグループをアルア県・アルア市にそれぞれ1グループずつ設立しました。

各グループは選抜された10歳から19歳の子ども25人で構成され、募集時にはアルア県・アルア市全域から350人以上の応募がありました。

「両親をなくし学校に通えずにいる同じ村の友だちを助けたい」
「子どもが夜一人で歩いていても両親や住民から保護されないのはおかしい」

通っている学校も住んでいる地域も異なる子どもたちが、自分たちを取り巻く環境を改善したいという強い問題意識と熱意をもって子どもグループに参加しています。
真剣な眼差しで発せられる子どもたちの声にこそ、子どもを取り巻く環境を変える力があります。子どもグループの定期会議を継続し、他の地域や学校の子どもたちの意見を子どもグループが取りまとめ、保護者も巻き込みながら、行政関係者に対して子どもたちが政策提言していく過程を引き続き支援していきます。



 
子どもグループでは子ども自身が議長を務め子どもたちが抱えている課題を話し合います

■地域に根差すパラ・ソーシャルワーカーと行政・地域を繋ぐ社会福祉オフィサーの能力強化
村レベルで虐待・暴力・ネグレクト・搾取の疑いのある家庭や被害を受けた子どもを特定し、専門機関に繋いで必要なサポートを提供するなどの役割を担い、地域の最前線で活躍するボランティア人材がパラ・ソーシャルワーカーです。

各村に1人、計726人のパラ・ソーシャルワーカーを配置し、能力強化研修を実施しました。地域内での子どもの虐待や暴力を予防するための意識啓発活動もパラ・ソーシャルワーカーが中心となって行っています。

また行政と地域の要となり、地域の子どもの保護対応の質の向上を担う行政職員が社会福祉オフィサーです。各準郡・地区に1人、計13人の社会福祉オフィサーを採用しました。

パラ・ソーシャルワーカーとの定期会議では、社会福祉オフィサーが中心となり、パラ・ソーシャルワーカーが担当した実際のケースをもとにしながら、指導や助言を行っています。




能力強化研修を受けるパラ・ソーシャルワーカーと定期振り返り会議にてパラ・ソーシャルワーカーに指導を行う社会福祉オフィサー


■ジェンダー労働社会開発省との合同モニタリング

事業終了後も、子どもの保護システムが持続的に機能するためには、中央省庁と密接に連携しながら、課題をモニタリングし、解決に向けた取り組みを積み上げていく必要があります。

そのために、ジェンダー労働社会開発省とセーブ・ザ・チルドレンによる合同モニタリングを実施しました。

パラ・ソーシャルワーカーや社会福祉オフィサー、子どもの福祉委員会、警察や保護観察官などさまざまな立場の社会福祉人材にヒアリングし、それぞれが抱えている課題を抽出し、行政レベルで必要な介入などをまとめた行動計画を策定しました。





合同モニタリング中の子どもの保護関係者とのフォーカスグループディスカッション


行政・地域・保護者・子どもたちと連携しながら、子どもたちを虐待・暴力・ネグレクト・搾取から守るための仕組みの基盤が少しずつ構築されてきています。

引き続き、さまざまな関係者と協働し、常に子どもを中心に据えながら、持続的な子どもの保護システムの強化に取り組んでいきます。

本事業は皆様からのご寄付と、日本NGO連携無償資金協力からの支援で実施しています。


(海外事業部 ウガンダ駐在員 内藤 優和)

 

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