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ウガンダ
(公開日:2021.07.20)

【ウガンダ 南スーダン難民支援】地域で取り組む、体罰のない子育て

 
2016年8月、南スーダン国内で発生した武力衝突から逃れ、ウガンダに避難してきた子どもたちを対象に開始した緊急支援も、今年で6年目。ウガンダには、2021年7月現在、90万人を超える南スーダン難民が居住しています。さらに、2020年3月以降、現地で深刻化している新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、人々のストレスの増大や、それによる子どもたちへの虐待やネグレクトなどのリスクの高まりが懸念されています。


ウガンダ北部、南スーダンとの国境沿いが、主な活動地
出典:ジャパン・プラットフォーム

このような状況を受け、セーブ・ザ・チルドレンは、2020年10月から2021年3月にかけ、ウガンダ北西部の南スーダン難民居住区を中心として、「体罰等によらない子育て」(Parenting without Violence)研修を広く展開しました。

「体罰等によらない子育て」研修は、参加者が15人程度のグループに分かれ、約3ヶ月間継続的に実施します。研修では、「家族の夢と前向きな子育ての目標」や「情緒的あたたかさと子どもの養育」、「子どもの養育と安全の確保」、「子どもの発達を理解する」、「敬意のあるコミュニケーションと問題解決」、「ストレス反応の理解とコントロールの重要性」、「子どもの支援、相互扶助、支援希求」といったテーマで、自身の行動を振り返ったり、同じ悩みを抱える親たちの意見を聴いたりするなど、議論にも多くの時間を費やします。

また、並行して子どもたちに対しても同様のテーマでセッションを行うことも、この研修の特徴のひとつです。子どもたちに対しては、「子どもの権利とは」、「虐待とは」、「女の子・男の子であること」、「この体は私のもの―自分で自分の体を守る」、「敬意のあるコミュニケーション」、「ストレス反応の理解とコントロールの重要性」といった内容を、年齢に応じた分かりやすく、親しみやすい言葉や絵を用いて伝えました。


10歳から17歳の子どもたちに対する、「子どもの発達」についての研修の様子。
研修の講師は地域メンターの皆さんなどが担当(2020年11月)

今回の研修では、私たちセーブ・ザ・チルドレンのスタッフが講師を担うのではなく、地域に暮らす大人の中からボランティアを募り、まずは指導者養成研修を行いメンターとして養成しました。その後、彼らが、地域メンターとして研修を主導し、コミュニティに展開していくという手法を取りました。これにより、この活動がさらに地域に根差し、自立発展していくことを目指しました。

今回養成することができた地域メンターは78人(女性24人、男性54人)でした。また、メンターが講師となって実施した地域住民向け研修には、244人の親たち(女性171人、男性73人)と、422人の子ども(女子204人、男子218人)が参加しました。


地域メンターに対し、体罰等によらない子育て指導者研修を実施する様子(2020年10月)

また、今回の活動では、ホストコミュニティ(難民受け入れ地域の近隣で暮らすウガンダ住民)を広く巻き込むことができ、「ウガンダ」や「南スーダン」といった国籍を問わず、地域で協力しながら子どもたちを育んでいく協力関係を、より強いものにすることができました。

さらに、これまで限定的であった男性、地域の父親の参加促進にも取り組みました。今回の活動では、地域メンターに男性を多く登用することで、これまで平均10%程度だった男性養育者の参加率を、30%程度まで増やすことができました。子育ては女性の役割という考えが深く浸透している地域において、父親の意識やジェンダーの規範を変えていくことも、私たちが取り組むべき重要な課題です。

研修完了後の今年3月に、参加者に対するフォローアップ調査を実施したところ、97%の参加者の間で、体罰等によらない子育てを実践できていることが確認されました。また、85%は、家庭内でのルールを子どもとともにつくり、それを家族で実践している、と答えています。


セーブ・ザ・チルドレンの評価担当者が研修参加者の各家庭を訪問し、
研修成果の定着を確認する様子(2021年3月)

今回養成した地域メンターたちは、本活動終了後も、自主的に地域向け研修を行っている様子が見られています。セーブ・ザ・チルドレンは、子どもたちが暴力や虐待を受けることなく、地域の人たちに見守られながら健やかに育つことができる環境づくりに、これからも取り組んでいきます。

本事業は、皆さまからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。

(海外事業部 藤井麻衣子)

 

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