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ウガンダ
(公開日:2021.06.15)

【ウガンダ栄養事業】栄養摂取指導と生計向上を通した母子の食料と栄養の確保

 
ウガンダでは、国民の69%が農業に従事しており、農業が同国の国内総生産(GDP)の23%を占めています。 そのため、ウガンダ政府の「国家開発計画(NDP)?及び?(2010〜2019年)」では、農業を経済開発の中心セクターの一つとし、その成長を推進してきました。その一方で、人口1人当たりの国民総所得(GNI)は、世界192ヶ国中178位(780米ドル/約8万5,500円)に位置し、1人当たりの所得が極めて低いことが深刻な課題でもあります。


所得水準が低いことにより、特に農村地域の母子の保健サービスへのアクセスや栄養不良の状況は依然として厳しい状態にあります。5歳未満の子どもの発育阻害(身長が年齢相応の標準値に満たない)は29%であり、最低食事水準 を満たす乳幼児の割合は14%に留まっています。また、鉄分不足により、6ヶ月以上5歳未満の子どもの53%、15歳から49歳の女性の32%が貧血です。

乳幼児期の低栄養は、身体機能だけでなく、認知機能や学習能力の低下につながり、妊娠可能年齢女性の低栄養は、胎児発育を妨げる大きな要因の一つとなっています 。これら課題への対応として、ウガンダ保健省は「性と生殖に関する健康と母子保健計画(2016/17-2019/20)」 を発表し、2020年までに5歳未満の子どもの発育阻害率を現在の29%から25%に下げる目標を設定しました。

2020年から始まった、私たちの生計向上支援と母子の栄養改善事業では、こうした課題に対処するため、ウガンダ西部地域の中でも栄養不良の割合が他と比較して高いカセセ県の母子を支援の対象とし、地域の保健医療施設での栄養啓発活動を促進するほか、農家の生産力や耕作知識の向上に向けた支援事業を実施しています。


事業地:ウガンダ カセセ県


1.栄養支援(受益者の声:村の保健医療施設職員)
昨年から、ウガンダでもコロナ禍に見舞われ、いつも以上に衛生に注意しなければならないなか、これまで消毒剤などの供与を含め、母子の栄養摂取促進を目的とした栄養相談窓口を作っていただき、厚くお礼申し上げます。


写真に写っている人たちは、この事業で当院に勤務してくれているケアワーカーです。ケアワーカーを配備してくれたセーブ・ザ・チルドレンにも感謝します。ウガンダの村落にある保健医療施設は、どこもそうですが常に人手が足りず、健康状態の悪い母子が毎日多く診察に来るなか、どうしても患者の行列ができてしまいます。

この事業では、栄養摂取の勧めをお母さん方に理解してもらうことが一つのキーポイントだと思いますが、ケアワーカーは、その意味で期待以上の働きをしてくれています。

写真では、ウガンダ保健省が発行するガイドラインのうち、栄養指導に資するカウンセリング教材をこの事業で重版してもらいました。また、下の写真にあるように、当院にIYCF相談窓口(母子の栄養摂取指導の相談窓口)を設けましたが、診察を待つ間に、お母さん方にIYCF窓口に来てもらい、栄養の概念、栄養不良であるかどうかを判断するキットが当院にあることなどをお知らせし、積極的に測定していること、また当院で設けたデモンストレーション用の家庭菜園を見せて、もし自宅庭にスペースがあるようであれば、同様の菜園を自身で作ってみることなどを推奨しています。

そして、同菜園を作り、食べ物にバラエティーを持ったお母さん方からは、「以前とは比べ物にならない位、自分と子どもの体調が良くなった。母乳の出方も非常に良い。」という反応を得られています。この事業は生計向上支援と並行して進められていますが、非常に良い試みです。当院に来る全患者に勧めたいと思います。」



2.生計向上支援(受益者の声:農家)
昨年(2020年)8月より、セーブ・ザ・チルドレンが実施する農業研修に参加し、収穫高向上のための農法を教わっています。


今まで農法の知識もほとんどなかったのですが、研修のおかげで今は、どうすればもっと生産できるか理解できましたし、実践もしています。これまでは100kg詰め用の袋に5袋から7袋しか取れなかった豆が今や同じ畑で、25袋も収穫できるようになりました。

家計にも少しずつ余裕が出てきて、本当にうれしいです。うちは子どもと孫たち総勢25人家族なのですが、セーブ・ザ・チルドレンの事業では自宅の空いた敷地に家庭菜園を作ることも学びました。何を栽培しているかというと、ナス、カボチャ、トマト、ホウレンソウ、キャッサバ、キャベツです。毎回の食事にいろいろと入れるものを変えながら、バラエティーに富むよう心掛けるようになりました。色とりどりのものがお皿にのるようになって、孫たちも大喜びです!」

【活動紹介】
この事業では、支援対象の農家の人たちが、生産高が上がる農法を学ぶだけではなく、農家同士でグループを作って生産量を上げるコツを教えあったり、生産した後の農作物を保存するのに共同倉庫を建てたりして、皆で管理するといった方法を推奨しています。


さらに、生産作物の効率的な販売の仕方や得た収入を効果的に貯蓄する方法の研修もしています。上の写真は、そうした農家の組合の皆さんです。マリバ準郡は非常に険しい山あいに位置し、土地がやせているためこの地域に暮らす人たちは農業を諦めていた様子もありましたが、この事業を始めてから、今は皆さんが必死で頑張っています。

ある男性が、「我々は、今までは険しい顔つきで生きてきましたが、今はどうでしょうか。皆笑顔になっています。この事業を支援してくれているすべての人々に感謝したい。」と述べていました。また別の女性は、「将来、養鶏に取り組むのが夢です。今は元手がないので始められませんが、頑張って栽培しているバナナが育って収入ができたら、ぜひ養鶏に挑戦してみたいです。」と目を輝かせて話していました。

ウガンダでの栄養改善事業は、皆様からのご寄付と、外務省の日本NGO連携無償資金協力事業からの助成、日本の民間企業2社(サラヤ株式会社、株式会社ヴィアホールディングス)からのご支援により実施しています。

(ウガンダ駐在員:日野愛子)

 

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