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ウガンダ
(公開日:2021.07.19)

【ウガンダ コンゴ民主共和国難民支援】子どもや若者へのこころのケアと、虐待、搾取から守るための活動など

 
アフリカ大陸の中央部に位置するコンゴ民主共和国(DRC)では、政治的に不安定な状況が続いています。特に2018年以降、同国東部での武力衝突の激化により多くの住民が隣国に避難しました。この状況は現在も続いており、2021年6月末時点で、95万人以上が難民または庇護希望者として国外に逃れています。なかでも、最も多く難民を受け入れているのはDRCの東に位置するウガンダ共和国で、40万人以上のDRC難民が避難生活を送っています。


ウガンダやルワンダ、タンザニアなどに避難するDRC難民が多い
(2021 DRC地域難民支援計画(国連難民高等弁務官事務所:UNHCR))

ウガンダで暮らす難民の約6割が18歳未満の子どもです。避難生活の長期化により、養育者のストレスが増加するなどの理由で、難民の子どもたちは虐待やネグレクト、暴力、児童婚、児童労働、性とジェンダーに基づく暴力 (Sexual and gender-based violence:SGBV)などの問題、リスクに晒されています。さらに、新型コロナウイルス感染症への対策として、2020年3月にウガンダ政府によって全国に厳格な行動・移動制限が課され、社会的・経済的な状況の悪化により、子どもたちを取り巻く環境はさらに厳しさを増しています。

このような状況に対応するため、セーブ・ザ・チルドレンは、2019年5月より、ウガンダに避難しているDRC難民の子どもや青少年を暴力や虐待、搾取などから守るための支援(子どもの保護)を継続して実施しています。


地図左側、ウガンダ西部が主な活動地

子どもたちを取り巻く環境や課題は複雑であることから、セーブ・ザ・チルドレンは、以下の通り、多岐にわたる活動を展開しています。


  • 地域の難民ボランティア(子ども保護委員会など)に対する、子どもへの暴力や虐待防止・対応のための研修実施
  • 暴力や虐待などの問題やリスクを抱える子どもたちの特定、個別調査、個別支援(物資配布や子育て研修の紹介、心理社会的支援、生計支援、その他の支援活動につなぐ)
  • 新型コロナウイルス感染拡大下での精神保健・心理社会的支援(訓練を受けたファシリテーターが世帯を訪問し、遊びや創作、音楽、運動などの活動を通し子どもたちに精神保健・心理社会的支援を実施)
  • 10代後半から20代前半の若者に対する、ライフスキル研修(目標設定、コミュニケーション、チームワーク、問題解決など)や職業訓練
  • 児童福祉や地域開発に携わる、地方自治体の行政職員に対する研修、地域福祉向上のための協働体制の構築



虐待に遭った子どもを保護するシェルターの担当者に、
乳児用おむつや主食のバナナ、イモなどを配布する様子(2021年2月)



若者グループに、性とジェンダーに基づく暴力に関する意識向上の研修を実施(2020年11月)


地域の女性グループとともに、子どもへの虐待発生の原因や予防について議論する様子(2020年9月)

2020年4月から2021年3月まで実施したこれらの活動を通し、暴力や虐待、搾取、ネグレクトといったリスクを抱える子どもたち1,432人に対し、個別のニーズに応じたきめ細やかな支援を提供しました。

また、母国で発生した武力衝突や、親や親戚への暴力を目の当たりにしたことにより、こころに傷を負ったまま避難生活を送っている子どもたち271人に対する専門的な精神保健・心理社会的支援も提供しました。この結果、271人中89%の子どもたちの心理的苦痛の軽減につながりました。

その他、就学や就労の機会が限られた、10代後半から20代前半の青少年などを対象としたライフスキル向上支援を実施しました。これにより、修了者の83%にウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態であること)の向上が確認されています。

一方で、2021年6月以降、ウガンダでは新型コロナウイルス感染拡大の影響による厳しい移動制限が始まりました。学校が再び閉鎖となるなど、子どもや青少年たちの状況は依然として厳しい状態にあります。セーブ・ザ・チルドレンは、これらの課題に対応するため、DRC難民の子どもや青少年に対する支援を継続していきます。

本事業は、皆さまからのご寄付と、ジャパン・プラットフォームからのご支援により実施しています。

(海外事業部 松村拓憲)

 

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