第一三共株式会社のご支援により実施された「ベトナム山岳地域の少数民族を対象とした母子の健康を守るための思春期の性と生殖の健康サービス改善事業」は、2025年3月31日に終了を迎えます。これに伴い、同年3月12日、ベトナムの首都ハノイにて、事業の活動成果を共有し、事業終了後の展開について議論する最終ワークショップを開催しました。

ワークショップには、ベトナムの保健省母子保健局、教育訓練省、イエンバイ省保健局、同省CDC（Center for Disease Control）、イエンバイ省小児産科医院、女性連合、青年連合、生徒代表と母親、さらにソンラ省、タインホア省、ディエンビエン省など、少数民族が多く暮らす地域の省政府関係者が参加しました。また、ベトナムで活動するNGOや現地メディアも加わり、多様な視点から意見が交わされました。

少数民族が暮らす地域では、児童婚や意図しない妊娠、未成年の出産など、思春期の性と生殖に関する健康リスクが依然として高い状況にあります。特にモン族においては、15歳から19歳の女子の約半数が妊娠を経験しており、これは多数派のキン族（約4％）と比べて著しく高い割合です。この事業では、15歳から19歳の男女と養育者を対象に、学校や村で啓発活動を実施し、保健医療施設や学校と協働して性と生殖の健康に関する知識の普及に努めました。

ワークショップは、オープニングスピーチに続き、セーブ・ザ・チルドレン・ベトナム事務所のプログラム部長であるヴオン・ディン・ザップのあいさつから始まりました。その後、第一三共ベトナム の富永行紀社長より、事業終了後も活動を持続的に発展させる重要性が強調されました。さらに、在ベトナム日本国大使館の佐々木祥平一等書記官からは、この事業をモデルケースとし、多くの日系企業にベトナム国内で民間資金を活用した事業を実施して欲しい、とのコメントが述べられました。



オープニングスピーチの後、現地パートナー機関であるイエンバイ省小児科・産科病院より、事業の活動成果が報告されました。続いて、事業評価を担当したコンサルタントが、これまでの活動の評価結果を発表しました。その結果、事業開始時と比較して、事業終了時点では受益者である生徒や保護者の間で、思春期の性と生殖の健康やジェンダーに関する理解が向上していることが確認されました。


 

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後半のセッションでは、活動の持続的な発展に関する議論が行われました。イエンバイ省CDCからは、現地政府の社会経済計画に事業の活動を組み込むことや、事業で作成した教材を省教育局や学校を通じて継続的に配布することなど、具体的な提案がありました。

また、受益者である学校の生徒や母親からは、事業を通じて得た性と生殖に関する知識の変化や、それに伴う行動の変容についての体験が紹介されました。

質疑応答や参加者間の議論では、現地政府主導のプログラムとの連携の可能性、近隣省で実施されているNGO活動における事業の少数民族向け教材の活用、さらに、各種教材や知見を共有するためのメカニズム構築など、多岐にわたる提案が挙がりました。これらの議論を踏まえ、事業終了後も継続的な活動が実施されることが期待されています。