ベトナム(公開日:2025.06.27)
【ベトナム北部山岳地域:活動視察報告】
保健と農業の連携による母子の栄養改善事業
セーブ・ザ・チルドレンは、2023年4月から、ベトナム北部の山岳地域であるソンラ省バックイエン県とソプコプ県において、少数民族の生計向上と栄養改善を目的とした農業・栄養事業を実施しています。
2025年6月に現地協力機関であるソンラ省疾病予防センター(Center for Disease Control、CDC)、農業局などの職員とともに、事業対象地域の視察を行いました。この視察では、事業関係者の間で、保健分野と農業分野の連携が生計向上や母子の栄養改善にとって重要であることを改めて確認しました。
視察では、子どもの成長モニタリングや保護者への離乳食指導の実施場所を訪問しました。これらの活動では、研修を受けた村の女性委員会i や保健医療スタッフが中心となり、毎月子どもの身体計測を行うことで成長と栄養状態を把握しています。また、子どもの両親や祖父母などの養育者に対し、母乳育児や離乳食調理の指導を実施しています。特に離乳食の調理指導では、子どもの発達段階に応じてお粥の濃度を調整するなど、実践的な内容を提供しています。
また、子育て世帯の農家への訪問では、事業を通じて支援を受けた家庭での家庭菜園や、鶏・豚・アヒルなどの家畜の飼育状況を視察しました。ある農家では、事業で配付された約20羽の鶏を200羽にまで増やすことに成功し、「子どもと家族のために鶏の飼育に励んできた」と語ってくれました。中には、オンライン通販を活用して部品を調達し、自作した孵化器で卵や雛を管理し、鶏の数を大幅に増やしている家庭もありました。
ソンラ省の中心都市であるソンラ市で開催された会合では、省・県・コミューン(ベトナムで最小の行政区画)レベル の行政関係者や保健医療スタッフが集まり、CDCから活動内容の報告を受けるとともに、農業や保健分野での成果や課題について意見交換を行いました。例えば、これまでの成果として、家畜飼育や野菜栽培による世帯レベルでの栄養改善や収入向上、産前健診の受診促進や栄養指導により子どもの栄養ケアが活発に実践されてきたことが共有されました。また、課題として、依然として世帯の経済的困難や日々の農作業・家事などの忙しさにより、各種農業技術の導入や子どもの栄養ケアが行えない世帯があることが挙がり、フォローアップ方法を議論しました。視察や会合の様子は、ソンラ省のメディアにも取材され、現地で報道されました。
ソンラTVでの報道内容(約9分の動画)「少数民族の子どもたちと生活向上」:https://sonlatv.vn/cai-thien-sinh-ke-cho-phu-nu-va-tre-em-dan-toc-thieu-so-28171.html?preview=true
本事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力」によるご支援と、個人・法人の多くの皆さまのご寄付により実施されています。
海外事業部 ベトナム駐在員 梛野耕介
i 女性の権利擁護・社会参加の促進を目的とし、ベトナム政府の下に組織された、中央から地方までの組織構造を持つ団体。




