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ミャンマー
(公開日:2011.07.10)

石鹸を使って手を洗うのはいつ?(2011.7.10)

 

5月31日、エーヤワディ地域のライン・ボン地区にて実施していた水と衛生(Water, Sanitation and Hygiene:WASH)事業(UNICEFとの協働事業)が無事に完了しました。


ライン・ボン地域は2008年5月のサイクロン「ナルギス」で大きな被害を受けた地域のひとつ。本事業では、集落が孤立しているためにこれまで支援が行き届いていなかった14村の全人口6,906人(内、子ども2,798人)を対象にしました。事業の目的は、安全な水のための環境を整備するとともに、人々の環境衛生に関する知識の向上と行動変容を促進することです。女性や子どもたちを含めた多くの村人による積極的な参加と協働作業を通し、2村でため池の建設、4村で修復、全約1,600世帯に対する家庭用ろ過器やトイレ資材の支援、対象村内の小学校10校への雨水貯水タンクと児童用トイレの設置、手洗い習慣の啓発活動などを行いました。


村人の生活用水源は、ため池。サイクロン「ナルギス」で壊れたため池を、村人参加によって新しく建設したり、修復したりしました。ミャンマーでは他者に水を恵むことが、最大の善徳を積む行為のひとつであると信じられており、新しいため池の土地は無償で寄付される場合が多いのです。ため池を支援した村の人々は「今後、乾期の水不足に苦しまないですみます」と、うれしそうに話してくれました。



ため池.JPG


村にあるため池の様子


ため池から汲んできた水は、以前は蓋のないツボやバケツで保存。本事業では、下痢などの感染症を予防して家庭で安全な水を利用するため、家庭用のろ過器と保存用タンクを1,600世帯に供与しました。さらに、飲料水は煮沸させるよう教育しました。実際に今回の視察の聞き取り調査で、昨年と比較して下痢が減ったという声が頻繁に聞かれました。


水道のない地方の学校では、児童たちが当番制でため池まで水汲み。その様な学校10校に、雨水を貯めるタンクを設置しました。雨どいを伝ってタンクに水が溜まる簡易なシステム。また、学校の衛生環境を改善するため、児童用トイレも12校に設置。加えて、各校に子どもの衛生委員会をつくり、トイレの使い方や手洗いの方法を楽しく学習し、それを日々実践する環境を整えました。


ため池の建設、ろ過器の供与、雨水タンクやトイレの設置などのインフラ整備(ハード支援)とともに、環境衛生に関する知識の向上と行動変容を促進する啓発活動(ソフト支援)も実施しました。重要な啓発活動のひとつが、石鹸を用いた手洗いの習慣づけ。家庭での手洗いの励行は下痢症を予防するため、ミャンマーの保健政策の重要課題のひとつなっています。手洗い習慣のないひとびとに対してわかりやすい啓発活動を行うため、日常生活で石鹸を使って手を洗う「大切な3つのタイミング」を明確にしました。それは、「食事の前・トイレの後・料理の前(母親)あるいは遊んだ後(子ども)」です。


数名の母親と子どもに正しい手洗いの方法とその目的を学んでもらい、今度はそれを近所の母親や学校のともだちに伝えていく「ピア・エデュケーター」のアプローチを用い、ひとりからふたりへ、そしてさらに多くの人へと波及することを目指してます。事業視察で訪問したすべての村で子どもたちに質問したところ、「ごはんの前と、トイレの後と、外で遊んだ後!」とはじめる元気な声で答えてくれました。



お母さんからお母さんへ.JPGお母さんからお母さんに手洗いの方法を伝えていきます


報告:ミャンマー駐在員 藤野



 






 

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