ミャンマー(公開日:2011.06.20)
ミャンマー西部ラカイン州への緊急支援事業のご報告【最終報】(2011.6.20)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでは、昨年の10月22日、ミャンマー西部のラカイン州を襲った大型サイクロン「ギリ」の被災地に対する緊急支援事業を、ジャパン・プラットフォームの支援のもと実施してきました。
この事業では、最大の被害を受けたラカイン州ミエボン・タウンシップ南部の7つの村において家庭用水衛生キットの配布事業を実施。その結果、対象村に住む全2,040世帯(9,884名)が、家庭用のろ過器や生活用水を貯蔵するポリタンクなど日常生活に不可欠な水周り用品、また石鹸や洗濯用洗剤、蚊帳など衛生用品キットを受け取り、2011年1月10日に事業が完了しました。
事業終了後、現地への視察を行い、石鹸や洗濯用洗剤は、被災後の一時的な品不足を乗り越えるために消費され、他方、家庭用ろ過器や貯水用のポリタンクなどは、その後も継続的に使われていることが確認できました。
【ニーズに応える支援を】
サイクロン以前、家庭用ろ過器は対象村では使われていなかったものでしたが、家庭における安全な水のためには不可欠であることから、キットに含めることにしました。配布前に、訓練を受けた職員がろ過器の目的と使用法を説明を交えた実演を行うことによって、村民の知識と理解の向上を徹底しました。直接聞き取りを行った多くの村人から「以前は井戸やため池から汲んできた水の上澄みをそのまま飲んでいたけど、いまではこのろ過器を通した水しか飲んでいません」という声が頻繁に聞かれました。視察したすべての村で実際に確認した「ほぼ全世帯での継続使用」は、家庭用水衛生キットが現地のニーズに適した支援だったともに、配布方法が効果的だった証拠であるといえるでしょう。
衛生用品キットの使用方法を実演しながら指導する様子
【被災された方々の尊厳を大切に】
対象村では村民有志による水衛生委員会を設置しました。SCスタッフが良好な信頼関係の構築とコミュニケーションに努めた結果、配布場所の選定や、配布までの一時資材保管場所の確保、全村民への案内など、村民の積極的な協力を得ることができました。また、たくさんのキットを積んだ大きな船では漂着できない浅瀬がある村などでは、小船によるピストン搬送で協力。地元の人々によるこのような協力なしには、本事業の無事完遂は成し得なかったことでしょう。緊急物資を被災者に配布するという一方的なアプローチではなく、このような協働作業を通して被災された方々の自尊心と尊厳を最大に尊重することができたのではないかと思います。
現地の方々の協力を得ながら支援物資を配布する様子
このように、妥当な支援物資の選定、実演などを交えた効果的な配布方法、被災された方々との協働などが本事業を成功に導いた要因だったと考えられます。今後の事業に、有効に活かしていきたいと思います。
報告:ミャンマー駐在員 藤野