ミャンマー(公開日:2012.06.13)
母と子のための地域に根ざした総合的な母子保健事業の開始(2012.4.9)
「母と子のための地域に根ざした総合的な母子保健事業」が、外務省「日本NGO連携無償資金協力制度」により、マグウェ地域のソー、セドタラ、ミンドン、ンガペ、ヤンゴン地域のクンジャンゴン、バゴー地域のテゴンの6つのタウンシップにおいて、3月16日に開始されました。
早速、3月30日から4月4日にかけて、クンジャンゴン・タウンシップとテゴン・タウンシップに出張してきました。主な目的は、(1)タウンシップ保健当局への新規事業の開始のご報告と事業における連携協力の確認、(2)事業の対象となる村数か村を訪問し、事業概説と地域住民との直接対話、(3)現地事務所における事業開始の準備でした。保健当局の関係者も地域住民も本事業の開始を歓迎し、積極的な参加と協力を確認しあいました。
本事業は、妊婦、5歳未満の子どもの母親、5歳未満の子どもたちが地域の母子保健サービスを利用し、家庭や地域における母と子どもの適切な健康行動が促進されることが目的です。そのために、住民ボランティアが主体となった地域保健活動と、政府による保健サービスを有機的に連携させ(地域に根ざした「保健システムの強化」)、さらに、女性と子どもの健康は密接に関係していることから、妊娠期から出産・産褥期さらに新生児期から乳幼児期を通して母と子を一体とした「継続ケア」を促進することを目指します。
具体的には、妊娠期の妊婦検診や破傷風ワクチンの接種、有資格者による安全なお産、完全母乳育児の実践、5歳未満の子どもたちの基礎的なワクチン接種、肺炎や下痢症などの早期発見と早期治療など、子どもと母親の健康のために主に地域の助産師が提供している基本的な保健サービスを、すべての母親と5歳未満の子どもたちが利用、あるいは実践することを目指します。そのために、コミュニティレベルにおいては予防行動と重症時のリファラルネットワークを形成するため、妊婦と産婦をケアするRHボランティアと5歳満の子どもをケアするCCMPという2種類のボランティアを育成します。そして、そのボランティア活動を支援・監督するための村保健栄養チームを結成し、その組織能力を強化します。加えて、ファシリティレベルにおいては、母と子が利用する保健サービスの質を向上させるために、タウンシップ保健局と連携しながら地域の助産師に対して緊急産科ケアやIMMCIなどの再研修を支援したり、最末端のSRHCの建設支援をしたりします。
この事業は、日本ODAの一環であり、国際保健分野の重要政策と一致します。また、ミレニアム開発目標(妊産婦死亡率と乳幼児死亡率の削減)という地球規模の共通課題とともに、ミャンマーの5ヵ年保健戦略における重要課題への取り組みでもあります。さらに、住民が主体となったコミュニティ保健活動の促進を通して住民のエンパワーメントを触発するというアプローチは、日本ODAの「人間の安全保障」の理念を具現化するアプローチとも考えられます。
引き続きご理解とご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
(報告: ミャンマー事務所 藤野)