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ガザ
(公開日:2015.07.08)

【ガザ紛争から一年】未だに7割の子どもたちが悪夢に悩まされる

 


51日間に及んだガザ紛争の勃発から1年、子ども支援の国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは、パレスチナ自治区ガザ地区で最も激しい攻撃を受けた地域に住む子どもたちの心理的問題に関する報告書「悪夢を生きる(A Living Nightmare)」を発表し、子どもたちが未だに日常的に夜尿症や悪夢に悩まされるなど、強い精神的苦痛の兆候を見せていることを明らかにしました*1

ガザ地区では昨年の紛争で子ども551人が亡くなり、3,436人が負傷、およそ1,500人が親を亡くしました。住む家を失った子どもたち、学校が破壊され損壊するのを目撃した子どもたちの数はそれ以上にのぼります。紛争から1年が経った今でも、約10万人が住む家を失ったままで、医療施設、給水ネットワーク、学校などの本格的な復旧も始まっていません。一方、イスラエルでも、ロケット弾の攻撃で子ども1人が亡くなり、270人が負傷しました。

今回の調査は今年3月に、紛争の被害を受けたガザ地区の8地域で、413人の子ども、352人の母親、そしてソーシャルワーカーと教師を対象に実施されました 。

<調査によって明らかになった主な事項>
・調査対象となった子どもたちの75%が、これまでになかった夜尿症に悩まされるようになった
・ガザ地区南東部のアル=ショウカ地域では、面談した子どもの半数が、毎晩夜尿症によるおねしょをしている
・89%に及ぶ保護者が、自分の子どもが常に何かにおびえていると報告しており、70%以上の子どもが、次の紛争が怖いと証言している
・面談した子どもの10人に7人は、たびたび悪夢に悩まされている

「この調査結果は、ガザ地区で子どもたちと共に活動する私たちにとって、極めて憂慮すべき内容と言えます。子どもたちは、たとえ精神的に鍛えられた大人であったとしても悪夢に悩まされることになるような、数々の出来事を生き延びてきました。しかし、継続するガザ地区の封鎖と新たな紛争への恐れのために、子どもたちは昨年の紛争で経験したトラウマから回復するのがとても難しくなっているのです。」 セーブ・ザ・チルドレン パレスチナ事務所共同代表 デビッド・ハッセル

「今年の1月に、子どもたちの置かれている状況やニーズに関する調査を実施した際、保護者や教員からは、子どもたちはちょっとした物音にも怯え、雷などの大きな音でパニックに陥ってしまうという声が聞かれました。また、中には口数が少なくなったり、友だちと遊ぶことなく孤立したり、勉強に集中できなくなった子どももいます。子どもたちは、自由に遊べる場所や機会を切実に求めています。」セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 海外事業部 村田あす香

セーブ・ザ・チルドレンは、ガザ地区の子どもたちの福祉を守るために、国際社会が重要な役割を担わなければならないと確信しています。子どもたちは住む家、教育、そして機会を与えられなければならないにもかかわらず、世界は行動しないことで、こうした権利を否認しているのが現状です。

国際社会に対し、子どもたちを巻き込んでいる紛争の当事者が、無意味な暴力の連鎖を止め、ガザ地区の封鎖の解除を含む長期的な合意の締結へと至るよう、あらゆる外交的な影響力を行使することを求めます。

*1  フォーカス・グループ・ディスカッションと呼ばれる、あるテーマに対して少人数のグループを作り、インタビューを行う定性的手法を利用。計24回のセッションを実施した。

レポートの全文(英語)はこちら

セーブ・ザ・チルドレン、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのガザ地区での支援活動

セーブ・ザ・チルドレンは、30年以上にわたり、ガザ地区を含むパレスチナ全土で活動を続けてきました。ガザ地区においては、緊急人道支援に加え、子どもやその家族への長期的な支援活動を実施している最も大きな国際NGOのひとつです。昨年のガザ紛争の勃発から今日までに、食糧、医薬品、新生児キット、水の配給、医療やカウンセリングサービスの提供、訓練されたボランティアのカウンセラーによる24時間ヘルプラインの運営支援などを通じ、145,945人の子どもたちに支援を届けてきました。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、日本人現地駐在員を派遣して、今年4月よりガザ地区の子どもたちの保護・教育支援事業を実施しています。この事業を通じて、子どもたちにとって安心・安全な教育環境の整備を行うとともに、子どもたちへの心理社会的サポートを地域ぐるみで行うことで、子どもたちや地域の人々が自らの力で困難を克服する力を育みます。

 

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