ガザ(公開日:2024.05.31)
【パレスチナ・ガザ地区】「人道支援は崩壊寸前」20の支援団体が警鐘
イスラエルのラファへの攻撃が激化する中、パレスチナ・ガザ地区への人道支援は、すでに崩壊寸前だと20の支援団体が警鐘を鳴らします。
ラファの国連施設近くにある避難キャンプに、最近イスラエルから攻撃がありました。この攻撃で、子どもを含む数十人が犠牲になり、さらに多くの人が負傷したと報道されています。支援団体や、保健医療チームの活動も限界にきており、仮設で建設した浮き桟橋も破損し物資の輸送を中断したとも報じられています。
陸路、海路での入国は実質的に閉ざされたままで、人道支援を届けることが難しく、民間人が避難している地域への攻撃は激化している中で、支援団体は、飢餓や、病気、医療の機能停止による犠牲者の増加を懸念しています。
事実、イスラエルが管理する検問所での組織的な物資搬入の妨害、激化する敵対行為、長期にわたる通信の遮断により、食料や燃料、医療品をはじめ、ガザ地区に入る支援物資の量は、過去7ヶ月間で最低レベルにまで減少しています。
パレスチナ・ガザ地区でがれきの中を歩く男性
ガザ地区で医療支援を実施してきた国際NGO国境なき医師団によると、5月6日以降、ガザに全く物資を運ぶことができない状況です。安全な水の供給がないため、負傷した人や病気の人たちは、常に感染症などのリスクに晒されています。しかし、水を確保するための海水淡水化キットや水中ポンプの搬入も、イスラエル当局によって拒否されています。
そして、ガザ地区内で支援物資を届ける手段も深刻な課題となっています。3週間で、100万人近くが、(ラファからの移動を迫られ)新たに人口過密地域に避難させられています。また、支援関係者の安全への懸念が続いていることや、地区内にイスラエルの検問所が急増していることで、地域間の移動が制限され、人道支援活動の妨げになっています。
CAREインターナショナルによると、イスラエル軍の空爆で夫を亡くした妊婦のゼナブさんは、ガザ市(北部)からラファ(南部)、そしてハーン・ユニス(中部)と、これまでに何度も避難を迫られたと語っています。彼女は、妊娠合併症に対処するための薬を手に入れなければなりませんが、薬局、病院、保健センターを何時間も歩いて回っても、薬や飲料水、食料などを見つけることができませんでした。主治医によれば、彼女は帝王切開が必要で来週にも出産予定ですが、部分的に機能している病院に空きがないことをとても心配しています。
ガザ地区の医療は事実上崩壊しています。ほぼすべての病院は「避難命令」が出されているか、イスラエルの包囲下にあるか、燃料や物資がすぐに尽きるかのいずれかの状況にあります。ラファ最大の病院、アブ・ユセフ・アル・ナジャールは、イスラエルが発令した「避難命令」を受けて閉鎖を余儀なくされ、また、ガザ北部の病院はいずれも機能していません。ガザ地区全土の医療従事者によると、医師、看護師、医療従事者の犠牲や、避難の強制、医療用品の不足により、患者が毎日のように亡くなっています。
子どもたちはガザ地区から避難をすることができず、日々直面している恐怖や、家族や愛する人の喪失に対処しなければならず、切実に精神保健・心理社会的支援を必要としています。
オックスファムの現地提携団体であるジュズルは、5月19日、ガザ北部のジャバリヤの過密状態だった避難所6ヶ所が、イスラエルの砲撃によって完全に破壊されたと発表しています。避難所では医療サービスが提供されており、北部周辺地域からの避難民を受け入れていました。しかし、この攻撃から逃れたスタッフが避難所に戻ってみると、患者のベッドが焼け、重要な医療機器や物資が破壊されていました。
ガザ南部では、支援物資の流入が完全に遮断されています。支援物資の減少、物資を保管する倉庫へのアクセスができないこと、治安の悪化により、支援機関はガザ南部での物資配給を一時的に停止せざるを得ない状況です。物資が急速に枯渇しているため、ハーン・ユニス、デイル・アル・バラ、ガザ市でも間もなく停止を余儀なくされる可能性があります。気温が危険なほど上昇し、下痢や肝炎などの病気が急速に広がる中、多くの人が現在、1日に必要な水の3%未満で生き延びています。
新たな浮き桟橋を含む追加の通過地点や取り組みの発表は、状況が改善したかのような印象を与えますが、大部分は表面的な変化に過ぎません。国連の集計によると、5月7日から27日の間に、新たに建設された「浮き桟橋」を含むすべての通過地点を合わせて、ガザ地区に入った支援物資を積んだトラックは1,000台ほどでした。これは、220万人もの人々の人道支援のニーズが急増していることを考えると驚くほど低い数字で、攻撃が開始されて以降過去7か月間のほとんどの時期と比較してもはるかに低い台数です。
人道支援団体や支援物資が入る主要な入口の 1つであるラファ検問所は、イスラエル軍が検問所を占拠した 5 月7 日以来、閉鎖されています。一方、エジプトのアリーシュでは 2,000 台以上のトラックがイスラエルの入国許可を待って待機しています。数キロ離れた場所で人々が深刻な飢餓に直面する中、食料は腐り、医薬品は期限切れとなっています。(イスラエル国境に面する)ケレム・シャローム検問所は公式には開いていますが、商用トラックが優先され、支援物資は極めて少ない量しか入っていません。
支援団体や人権団体は、即時かつ持続的な停戦を求め、ガザ地区内外に支援物資を届けるための一貫性のあるルートの確立を求め続けています。紛争のすべての当事者は、人道支援へのアクセスと支援物資の配給を保護しなければなりません。支援団体は、紛争の当事者に対し、国際人道法を順守することを求め、ラファへの軍事攻撃を停止するようイスラエルに命じた最近の命令を含む国際司法裁判所(ICJ)の判決を順守するよう求めています。第三国の政府や国連安全保障理事会の理事国を含む国際社会は、パレスチナの人々を保護するため、国際人道法と国際司法裁判所の判決に基づく義務を負っています。
【賛同団体】
1.Premiere UrgenceInternationale
2.Médecins du Monde France
3.Médecins du MondeSwitzerland
4.Médecins du Monde Spain
5.Danish Refugee Council
6.Norwegian RefugeeCouncil
7.CARE International
8.Médecins Sans Frontières/DoctorsWithout Borders (MSF)
9.Oxfam
10.Save the Children International
11.Plan International
12.Amnesty International
13.ActionAidInternational
14.Humanity &Inclusion/ Handicap International (HI)
15.Norwegian People’s Aid
16.War Child Alliance
17.Secours Islamique France
18.Action For Humanity
19.Islamic Relief
20.Mercy Corps
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