ガザ(公開日:2025.01.17)
【パレスチナ・ガザ地区】
子どもたちを爆撃・栄養不良・病気から守るために恒久的な停戦を
1月15日に合意されたガザ地区での停戦について、現地事務所やセーブ・ザ・チルドレン事務局長から以下のメッセージが届いています。
2025年1月15日のガザ地区での停戦は、子どもたちを爆撃や銃撃から保護することができます。しかし、この機会を、真の恒久的な停戦につなげ、栄養不良や病気に直面している子どもたちへの人道支援を増やすための契機としなければなりません。
私たちは、2023年10月7日にイスラエルで発生したパレスチナ武装グループによる攻撃に続く、イスラエル軍による15ヶ月間にわたるガザ地区の包囲と砲撃の後、イスラエル政府とパレスチナ武装グループ(原文ハマス)がついに敵対行為の一時的停戦の合意に達したことに安堵しています。私たちは、この合意により、子どもを含むすべての人質の解放が促進されることを歓迎するとともに、平和への第一歩となることを願っています。 家や愛する人を失い、飢えに苦しみ、人道支援物資の供給が著しく制限される中、生き延びるために日々奮闘しているガザの何十万人もの子どもたちに、シェルター(簡易住居)や食料、医療品を届けることが緊急に必要です。
ガザ地区の実行政府が発表した最新の数字によれば、この15ヶ月の間に、ガザ地区全体にいる110万人の子どものうち、1万7,818人以上が犠牲になりました。この間の破壊のスピードと規模、病院や救助機能への甚大な被害を鑑みれば、実際被害にあった子どもは、もっと多いことは間違いありません。加えて、数千人が命にかかわる傷を負っています 。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長、インガー・アッシンは、ガザ地区での恒久的な停戦の可能性を秘めた一時停戦が合意されたことについて、以下のように話します。
「ガザ地区の約110万人の子どもたちは、15ヶ月間、あらゆる場面で喪失感やトラウマ、命の危機に晒され、悪夢に巻き込まれてきました。この停戦が機能すれば、1年以上にわたって彼らを襲った爆撃や銃弾からは、解放されることになります。しかし、それだけでは十分ではありません。飢えや病気に直面する子どもたちを救うための厳しい活動は続きます。
一時停戦を恒久的なものにし、ガザ地区の包囲を終わらせ、支援の受け入れを大幅に増やす努力を緊急に強化しなければなりません。そして、ガザ地区全域の子どもたちが、安全にこれらの支援を受けられるようにすることが重要なのです。この支援は、『トラックの搬入の上限数』や、必要な物資に対する恣意的な制限に関係なく、子どもたちのニーズによって決定されなければなりません。また、大人も子どもも、権利に沿って、安全に、何にも阻まれることなく、自宅に戻ることができて然るべきです。
そして、この停戦が、すでに犠牲となったガザの1万7,818人以上の子どもたちにとって、手遅れであったことも忘れてはなりません。生き延びた子どもたちの子ども時代も、負傷や障害、回復不能な精神的苦痛、家族や友人の喪失、家屋や学校、 医療施設の破壊、幼児期の飢餓や栄養不良、病気という消えない苦しみに取って代わられています。
国際社会は、国際法上の義務として、子どもたちが直面した被害と奪われた命に対する説明責任を果たさなければなりません。説明責任を果たさず、しかるべき処罰がなされなければ、子どもたちやその家族だけでなく、人類全体に及ぶ人間性の保護そのものに悪影響を与える違反行為を、この先も助長することになります。国際社会は、パレスチナの子どもたちがこの15ヶ月間耐えてきた残虐行為が、パレスチナの子どもたち、そしてどこの国の子どもたちにも、二度と起こらないように団結しなければなりません」。
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パレスチナ事務所、広報担当ヤスミーンからのメッセージ
「停戦が合意されたとはいえ、以前の生活に戻ることはないと確信しています。
皆家に帰ることができると喜んでいますが、実際は、ガザ地区の破壊された社会基盤、傷ついた建物に戻ることになります。それは、ゴーストタウンに戻るようなものです。つらい現実に戻ることになります。
それは、これまでの避難生活より辛くはないかもしれませんが、それでも辛いものです。
戦闘停止のニュースを祝っている人々のほとんどは、実際には喜びを生き、希望を持ち続けようとしています。しかし、私はより現実的になりがちです。この停戦は、人々にとって新たな種類の不幸をもたらすからです。破壊された家、破壊されたインフラに目を向けることになるでしょう。そして、失ったものを再建するのに費やす年月にも。
もちろん、人々はこれまでの人生を過ごした場所に戻る喜びを切望しています。昔と同じ通りを歩き、1年以上も見ることができなかったものを見たりすることは、間違いなく幸せだと思います。
しかし、停戦の条件が正確に、書かれたとおりに全て効力を発揮するには、まだ多くの時間がかかります。そして、2023年10月7日以降に、何の罪もないガザ地区の子どもたちや民間人が経験してきた人権侵害が、再び行われないことを保証するにも時間がかかります。」
セーブ・ザ・チルドレンは、1953年以来パレスチナの子どもたちに必要不可欠な支援を提供し、1973年からはパレスチナに常駐し活動を続けています。また、今回の停戦に伴い、新たな物資搬入用地点の開設、支援の増加に備えた在庫の事前配置に注力しています。そして、この停戦に伴って多くの人々が避難所から自宅に戻ろうとする可能性が高いことを踏まえ、必要に応じて(分断されている)北部と南部に新たなプライマリー・ヘルスケア・センターやこどもひろば、一時学習スペースを設置するとともに、移動する子どもやその家族を支援するための移動手段を検討しています。これからも、子どもたちやその家族がどこにいても、セーブ・ザ・チルドレンが提供する支援を継続的に利用できるよう努めてまいります。
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(海外事業部:金子由佳)
2025年1月15日のガザ地区での停戦は、子どもたちを爆撃や銃撃から保護することができます。しかし、この機会を、真の恒久的な停戦につなげ、栄養不良や病気に直面している子どもたちへの人道支援を増やすための契機としなければなりません。
私たちは、2023年10月7日にイスラエルで発生したパレスチナ武装グループによる攻撃に続く、イスラエル軍による15ヶ月間にわたるガザ地区の包囲と砲撃の後、イスラエル政府とパレスチナ武装グループ(原文ハマス)がついに敵対行為の一時的停戦の合意に達したことに安堵しています。私たちは、この合意により、子どもを含むすべての人質の解放が促進されることを歓迎するとともに、平和への第一歩となることを願っています。 家や愛する人を失い、飢えに苦しみ、人道支援物資の供給が著しく制限される中、生き延びるために日々奮闘しているガザの何十万人もの子どもたちに、シェルター(簡易住居)や食料、医療品を届けることが緊急に必要です。
ガザ地区の実行政府が発表した最新の数字によれば、この15ヶ月の間に、ガザ地区全体にいる110万人の子どものうち、1万7,818人以上が犠牲になりました。この間の破壊のスピードと規模、病院や救助機能への甚大な被害を鑑みれば、実際被害にあった子どもは、もっと多いことは間違いありません。加えて、数千人が命にかかわる傷を負っています 。
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長、インガー・アッシンは、ガザ地区での恒久的な停戦の可能性を秘めた一時停戦が合意されたことについて、以下のように話します。
「ガザ地区の約110万人の子どもたちは、15ヶ月間、あらゆる場面で喪失感やトラウマ、命の危機に晒され、悪夢に巻き込まれてきました。この停戦が機能すれば、1年以上にわたって彼らを襲った爆撃や銃弾からは、解放されることになります。しかし、それだけでは十分ではありません。飢えや病気に直面する子どもたちを救うための厳しい活動は続きます。
一時停戦を恒久的なものにし、ガザ地区の包囲を終わらせ、支援の受け入れを大幅に増やす努力を緊急に強化しなければなりません。そして、ガザ地区全域の子どもたちが、安全にこれらの支援を受けられるようにすることが重要なのです。この支援は、『トラックの搬入の上限数』や、必要な物資に対する恣意的な制限に関係なく、子どもたちのニーズによって決定されなければなりません。また、大人も子どもも、権利に沿って、安全に、何にも阻まれることなく、自宅に戻ることができて然るべきです。
そして、この停戦が、すでに犠牲となったガザの1万7,818人以上の子どもたちにとって、手遅れであったことも忘れてはなりません。生き延びた子どもたちの子ども時代も、負傷や障害、回復不能な精神的苦痛、家族や友人の喪失、家屋や学校、 医療施設の破壊、幼児期の飢餓や栄養不良、病気という消えない苦しみに取って代わられています。
国際社会は、国際法上の義務として、子どもたちが直面した被害と奪われた命に対する説明責任を果たさなければなりません。説明責任を果たさず、しかるべき処罰がなされなければ、子どもたちやその家族だけでなく、人類全体に及ぶ人間性の保護そのものに悪影響を与える違反行為を、この先も助長することになります。国際社会は、パレスチナの子どもたちがこの15ヶ月間耐えてきた残虐行為が、パレスチナの子どもたち、そしてどこの国の子どもたちにも、二度と起こらないように団結しなければなりません」。
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パレスチナ事務所、広報担当ヤスミーンからのメッセージ
「停戦が合意されたとはいえ、以前の生活に戻ることはないと確信しています。
皆家に帰ることができると喜んでいますが、実際は、ガザ地区の破壊された社会基盤、傷ついた建物に戻ることになります。それは、ゴーストタウンに戻るようなものです。つらい現実に戻ることになります。
それは、これまでの避難生活より辛くはないかもしれませんが、それでも辛いものです。
戦闘停止のニュースを祝っている人々のほとんどは、実際には喜びを生き、希望を持ち続けようとしています。しかし、私はより現実的になりがちです。この停戦は、人々にとって新たな種類の不幸をもたらすからです。破壊された家、破壊されたインフラに目を向けることになるでしょう。そして、失ったものを再建するのに費やす年月にも。
もちろん、人々はこれまでの人生を過ごした場所に戻る喜びを切望しています。昔と同じ通りを歩き、1年以上も見ることができなかったものを見たりすることは、間違いなく幸せだと思います。
しかし、停戦の条件が正確に、書かれたとおりに全て効力を発揮するには、まだ多くの時間がかかります。そして、2023年10月7日以降に、何の罪もないガザ地区の子どもたちや民間人が経験してきた人権侵害が、再び行われないことを保証するにも時間がかかります。」
セーブ・ザ・チルドレンは、1953年以来パレスチナの子どもたちに必要不可欠な支援を提供し、1973年からはパレスチナに常駐し活動を続けています。また、今回の停戦に伴い、新たな物資搬入用地点の開設、支援の増加に備えた在庫の事前配置に注力しています。そして、この停戦に伴って多くの人々が避難所から自宅に戻ろうとする可能性が高いことを踏まえ、必要に応じて(分断されている)北部と南部に新たなプライマリー・ヘルスケア・センターやこどもひろば、一時学習スペースを設置するとともに、移動する子どもやその家族を支援するための移動手段を検討しています。これからも、子どもたちやその家族がどこにいても、セーブ・ザ・チルドレンが提供する支援を継続的に利用できるよう努めてまいります。
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(海外事業部:金子由佳)