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アドボカシー
(公開日:2016.04.26)

セーブ・ザ・チルドレンが新しい報告書「EVERY LAST CHILD」(最後の1人の子ども)を発表しました

 
セーブ・ザ・チルドレンが4月26日に発表した新しい報告書「EVERY LAST CHILD」(最後の1人の子ども)は、世界の最も貧しい何百万人もの子どもたちが、彼らが誰でありどこに住んでいるかを理由に、命を守る基礎社会サービスの提供を受けられていないことを明らかにしています。

セーブ・ザ・チルドレンは、こうした状況を背景に、「最後の一人の子ども」に手を差し伸べるための新しいキャンペーンEVERY LAST CHILDを立ち上げます。
世界の大人の10人に4人、約40%が、子ども時代にジェンダー、民族、宗教、障害、あるいは住んでいる場所を理由に差別を受けていたことが、セーブ・ザ・チルドレンが世界18か国で行った調査で明らかになりました。その結果、約半数(49%)が教育へのアクセスにおいて問題が生じ、また約3分の1(35%)が必要不可欠な保健サービスにアクセスできなかったと訴えています。

世界各国の18,000人以上を対象としたこの新しい調査は、セーブ・ザ・チルドレンが過去実施した中でも最大の規模で、差別が人の生涯における様々な機会に与える影響をはじめて測定するものとなります。

世界中で悪化する差別の実態とは:
●回答者の56%が過去20年間にわたり、各国内の子どもに対する差別は改善していないと答えています。36%の回答者は、むしろ悪化していると答えています。
●地域的には、アフリカの回答者が最も多く(56%)子ども時代に差別を受けたと答えています。
●調査対象となったアジアの人々の約半数(45%)が、子ども時代に差別を受けたと答えています。

多くの国々では、取り残された子どもたちに関するデータを意図的に収集しておらず、ますます全容はつかみにくいのが実情です。しかし、セーブ・ザ・チルドレンがこれまでに120もの国々で活動してきた経験から、最も貧しい子どもたちにとって、最大の脅威となるのは差別です。

最悪の場合、この差別は致命傷となります。未だに予防可能な原因で命を落としている一日当たり16,000人という子どもたちの多くが、排除されたグループの子どもたちです。

差別により、最も脆弱な立場に置かれた子どもたちが、命を守る基礎社会サービスへのアクセスを妨げられることがあるのは偶然ではありません。彼らは、制度設計上、あるいはネグレクトにより、計画的に排除されているのです。

セーブ・ザ・チルドレンは、世界の指導者に対し、3つの基本的な約束を保障するよう訴えます。これらは、1)持続可能で誰もがアクセスできる基礎社会サービスをつくる公正な資金調達、2)すべての子どもに対する公平な扱い、そして3)政策決定者の説明責任です。

報告書は、世界で推定4億人の子どもたちが、人種および宗教を理由に差別に直面していることを明らかにしています。

不可触賎民が貧困層の59%を占めるインドのビハール地方では、生まれる子どもの出生登録が行われるのは、国内の他地方では42%であるのに対して僅か6%であり、出生の証明がないことが必要な基礎社会サービスへのアクセスを難しくしています。

世界で最も十代の妊娠率が高い国の一つであるシエラレオネでは、十代の少女が妊産婦死亡の40%を占めています。妊娠した少女は学校に行くことも試験を受けることも許されません。

障害を持つ子どもたちも、世界で最も不相応に差別されています。彼らは普通の子どもたちに比べて3倍から4倍も、身体的・性的虐待やネグレクトを受けやすい状況にあります。

紛争もまた、難民や国内避難民など特定の排除された子どもたちのグループを生じさせました。紛争の渦中に生まれた子どもたちは、平和な国に生まれた子どもたちに比べてより命を落としやすい状況です。平均して、紛争地域の子どもが5歳になる前に亡くなる割合は、非紛争地域の2倍です。

差別と排除は、豊かな国でも子どもたちに影響を与えています。
世界で最も高い教育の達成率を誇るオーストラリアでは、アボリジニとトレス海峡諸島民の子どもたちは就学時にうまく適応できない割合がそれ以外の子どもたちと比較して2倍となります。

取り残された子どもたちが存在することを認識し、彼らが受けられて然るべき基礎社会サービスを提供する施策が実行されない限り、たとえ最も豊かな国であっても、すべての子どもたちが生き抜き、成長することは不可能です。

セーブ・ザ・チルドレンは、こうした状況を背景に、「最後の一人の子ども」に手を差し伸べる新しいキャンペーンEVERY LAST CHILDを立ち上げます。すべての子どもが取り残されることなく生き、学べるようにするために、セーブ・ザ・チルドレンはあらゆる努力を惜しみません。

報告書全文(英語PDFファイル)はこちら
報告書概要(日本語PDFファイル)はこちら

 

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