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アフガニスタン
(公開日:2013.08.22)

「勉強のために灯りを!」プロジェクト開始のお知らせ(2013年8月22日)

 


弊会では勉強をしたり、本を読んだりすることのできる環境を作り出すことが大切ではないかと考え、バーミヤン州にて 「勉強のために灯りを!」プロジェクトを開始することになりました。具体的には、電気のないアフガニスタンの農村部の学校に絵本がたくさんつまった図書箱と一緒にソーラーランタン(太陽の明かりで充電する)を提供し、夜でも子どもたちが本を読めるようにすることです。また幼い子どもを持つ保護者に対して「読み聞かせ」研修を行い、家庭における読書習慣の普及と定着を狙うものです。

1.明かりのある暮らし

私たちの日常生活ではごく当たり前のことかもしれませんが、世界ではそれが必ずしも当たり前でない国があります。アフガニスタンもそんな国の一つ。中央高地バーミヤン州でも家に電気が来ていなかったり、しょっちゅう停電したりで、ロウソクやガスや灯油のランプに頼った暮らしをしている方が大勢いらっしゃいます。ある統計によれば、同州全体で電気のある世帯は26.8%(うちバーミヤン中央郡では8.4%、サイガン郡では31.5%、ヤカウラン郡では68.9%と州内でもかなり数値に差があります)。ろうそくの明かりだとかなり暗いし、ガスや灯油のランプだと燃料代がかかります。これは経済的に豊かでない人たちにとっては大きな負担です。

明かりがないと子どもたちはどのように困るのでしょうか?もちろんトイレに行くのも大変です。それと同じくらい大変なのが、勉強をしたくても教科書や本が読めない、ということです。私もアフガニスタンにいたことがあるのでわかりますが、暗いと本も読めないです。夜は本当に真っ暗でした。


こちらは教室での1コマ。暗い教室で教科書を共有する子どもたち


2.バーミヤン州での暮らし

バーミヤン州

それでは、実際にバーミヤンの方々の暮らしを見てみることにしましょう。バーミヤン中央郡シアラヤック村在住のAさんのお宅を伺いました。Aさんは3人の娘さんと2人の息子さんのお母さん。ご主人は荷物の運搬などをして月に4,000円くらいの収入があります。経済的にはかなり厳しい状況です。家は居間が二部屋とトイレ、浴室、台所があり、明かりにはランプを使っており、燃料代が月に300円ほどかかるとのこと。収入の約7.5%が光熱費。負担は大きいですね。



Aさんの自宅


自宅の居間。夜はランプの明かりが頼りになります。

娘のBさんは小学校の5年生。お母さんのお手伝いで忙しい日々を過ごしています。夏のBさんの日課はその日によりますが、だいたいこんな感じです。こうやって見るとなかなか時間が取れないのが分かります。

番号

活動

午前

午後

1

お母さんのお手伝い

6:00-8:00

2

家の掃除

8:00-9:00

3

水汲み

9:00-10:00

4

兄弟たちの世話

10:00-11:00

5

家での勉強

12:00-1:00

6

学校での勉強

1:30-5:00

7

自由時間

5:00-7:00

8

お母さんのお手伝い

7:00-9:00




子守をする女の子。(Bさんとは関係ありません。)



まき拾いをする男の子


3.識字の大切さ

アフガニスタンは識字率が低いと言われており、同国の識字率は26.0%、バーミヤン州は国の平均よりも若干よいのですが、それでも31.7%との統計があります(同州の男性の識字率は45.4%、女性は16.5%)。

識字能力は、何度も教科書を読みなおしたり、様々な本を読むことを通して、定着していきます。ですが、現状ではそのような環境を作り出せていません。明るい時間帯はおうちの手伝いで忙しく、なかなか時間も取れないですし、夜は暗いので本を読んだりすることも難しいのです。ですから、少しずつ学校の授業が分からなくなり、分からないから、学校に行きたくない、という悪循環に陥ってもおかしくはありません。海外に旅行された方は経験がおありかと思いますが、字が読めないと書かれていることが分からず不利益を被ったりしてしまいます。


4.プロジェクトの対象

「勉強のために灯りを!」プロジェクトでの主な対象は同州の6校の小学校2年生で360名(予定)。なぜ小学校2年生なのか。そこには大きな理由があります。小学校に通い始めて1年ちょっと過ぎたあたりの2年生で小学校からドロップアウトしてしまう子が大変多いのです。ドロップアウトにはいろいろな理由が考えられるのですが、2年生ごろになると勉強について行けなくなったりする子も多いようです。弊会の他のプロジェクトの対象校向けに実施した調査によれば、小学校2年生で多くの子どもがドロップアウトしてしまう学校では、そうでない学校よりも、他の学年になってもドロップアウトが多い傾向にあります。残念なことではありますが、何らかの負の連鎖があるように思われます。ですので、小学校2年生は子ども個人個人にとって大きなターニングポイントと言えますし、小学校にとっても重要だといえます。

これからプロジェクトの対象となる子どもたちがどのように変わっていくか、その姿を見ていきたいと思っています。


なお、このプロジェクトは株式会社阪神阪急百貨店と映画「ちづる」上映委員会からのご支援で実施されます。

(アフガニスタン担当 紺野)

 

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