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アフガニスタン
(公開日:2023.05.30)

【アフガニスタン 食料危機】家族への現金給付を通した食料支援開始

 
アフガニスタンは、過去25年間で最も深刻な食料危機に直面しています。2,000万人近くが深刻な食料不足に直面しており、そのうち600万人は飢饉の一歩手前にあり1、現在、世界最悪です。2 




干ばつの影響で所有していたほとんどの家畜を手放さざるを得なかった男性
(アフガニスタン・ファーリヤーブ州)


長年にわたる紛争や政情不安、頻発する自然災害に加え、2021年に発生した大規模な干ばつと8月の政変などの複合的な要因が絡み合って、アフガニスタンの人道危機はさらに悪化しています。

中度の急性栄養不良の割合も過去最高を記録しており、今年は推定400万人の子どもと妊婦および授乳中の母親が急性栄養不良に陥ると予想されています。3 


 



重度急性栄養不良の治療を受ける7ヶ月の子ども(アフガニスタン・ファーリヤーブ州)


アフガニスタン北部、国境に接するファーリヤーブ州でも食料支援のニーズは拡大しており、2023年4月までの予測では州全体が「人道的危機レベル」にありました 。4

これらの状況に対応するため、セーブ・ザ・チルドレンは、2023年3月1日からファーリヤーブ州・ベルチェラーグ地区で、対象となる家族が、毎日の食事を賄えるための現金給付を開始しました。活動は、次の通りです。

対象地区で、最も食料の入手が困難な1,059世帯に対して世帯全員分の食料を購入できるよう現金を給付します。その後、効果を確かめるため、支援の使途や具体的な食事の変化を調査します。

これまでのところベルチェラーグ地区において、市場と貨幣経済は機能しており、また支援対象世帯数はファーリヤーブ州の0.5%と推計されます。

そのため、現金給付による市場への影響は軽微であると想定されますが、地域住民のニーズに対応するためには、現金給付が最も効果的であると判断しました。



セーブ・ザ・チルドレンが過去にアフガニスタン・バルフ州で実施した現金支援


セーブ・ザ・チルドレンが、ファーリヤーブ州を含むアフガニスタン7州において実施した調査5 の結果、ファーリヤーブ州は、69.0%の世帯が深刻な食料不安にあり、妊娠中および授乳中の母親に関する調査では、食料を買うお金がないために、食糧危機以前と比較して、少ない食事しか取っていないと回答した割合が86.1%と調査対象地の中で最も高いという結果でした。

また、子どもの消耗症、栄養不良、発育阻害など、目に見える兆候があると回答した養育者の割合は78.5%と、調査対象地の中で最も多いことが確認されています。

ファーリヤーブ州における食料支援へのニーズは非常に大きく状況は過酷ですが、この活動を通して食料や栄養状況、生活が改善するよう、関係者と緊密に連携しながら活動を進めていきます。

この事業は、皆様からのご寄付およびジャパン・プラットフォームのご支援により実施しています。


(海外事業部 瀬戸口千佳)

1 総合的食料安全保障レベル分類(Integrated Food Security Phase Classification: IPC)において「人道的危機レベル」とされるPhase4以上に相当する人々の数。Phase 5が「飢饉レベル」とされる。

2 Afghanistan:Humanitarian Update, March 2023 - Afghanistan | ReliefWeb

3 Afghanistan:Humanitarian Update, March 2023 - Afghanistan | ReliefWeb

4 Afghanistan:Acute Malnutrition Situation for September - October 2022 and Projection forNovember 2022 - April 2023 | IPC - Integrated Food Security PhaseClassification (ipcinfo.org)
5 世帯の食料不安アクセススケール(Household Food Insecurity Access ScaleHFIAS)に基づき分析


 

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