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アフガニスタン
(公開日:2022.01.18)

【アフガニスタン】氷点下のなか78万人の子どもがシェルターを失い、860万人の子どもが毛布もなく生活

 
気温が氷点下まで下がるアフガニスタンで、防寒着を着ないまま外で寝ている子どもたちが、病気や死亡のリスクに直面しています。

妻と4人の子どもと一緒にアフガニスタンのファリャブ州に住むアブデルさん。自宅にはドアがなく、窓も壊れているが経済的な事情で修理することができない。

セーブ・ザ・チルドレンの調べによると、アフガニスタンでは約80万人[1]の子どもたちが、越冬に適したシェルターがないまま極寒の冬を越さなければなりません。

国連が実施した世帯調査では、約160万人が、雨や雪、氷点下の気温のなか、薄いビニールシートを棒で支えただけの緊急テントや仮設シェルターで生活していることがわかりました。また、約860万人[2]の子どもたちが、毛布といった防寒用品を十分に持たない家庭で暮らしており、300万人以上[3]の子どもたちが暖房のない生活を送っています。また、食料価格の高騰により、極度の食料不足と空腹に苦しむ家庭があることも報告されており、500万人の子どもたちが飢餓に陥る可能性があると言われています。

セーブ・ザ・チルドレンのアフガニスタン事務所は現地の状況を、次のように述べています。
「この冬、数百万人の子どもたちが寒さと飢えに耐えながら眠りにつくことになります。アフガニスタンの冬の気温は、−12.1度まで冷え込む州もあります。適切な防寒着や暖房もなく屋外で寝ている子どもたちは、低体温症や肺炎などの急性呼吸器感染症にかかる危険性が高く、最悪の場合は死に至ることもあります。

また、アフガニスタンでは、5歳未満の子どもの死亡原因の約25〜30%が呼吸器感染症で、そのうち90%が肺炎です[4]。悪化する人道危機のなか、私たちは、この冬さらに多くの子どもたちが犠牲になると予想しています。 とくに、物価の上昇と経済の崩壊により、多くの人が自宅の暖房のための燃料やまきを買うことができず、危機的状況に追い込まれていると考えています。燃料費は過去1年間で約40%上昇しており、ひと家族が冬を越すのに十分なまきの購入には約200米ドル(約2万3,000円)[5]必要です。」

暖をとるためにプラスチックなどの有害物質を燃やしている家庭も多く、子どもたちの健康への影響も懸念されます。

ナーゲスさん(27歳)は、夫と6人の子どもたちと一緒にカンダハル州に暮らし、寒さや雨をほとんど防ぐことのできないテントに住んでいます。
「私たちは古いテントに住んでいるので、冬になっても雨を防ぐことができません。子どもたちのためにあたたかい食事を準備することもできません。どうやって子どもたちを寒さから守るか、どうやってこの先生きていくか不安です。夜になると子どもたちはとても寒がるのですが、テントを暖めるためのまきを買うこともできません。」

ミルザさんは、妻と7人の子どもたちと一緒にファリャブ州に住んでいます。昨年、紛争で家が損壊し、修理費を賄うことができず避難を余儀なくされました。現在は、別の町の借家に住んでいます。

「今年の冬は厳しいでしょう。食料の備蓄や子どもたちの防寒着、そして暖かい家が必要ですが、それが準備できません。子どもたちの健康も心配です。年齢が一番下の子どもはまだ1歳にもなっていません。食料品の価格は上昇しており、私はほとんど仕事を見つけることができません。何とかしようと努力していますが、とても大変です。親戚やお店の人から330米ドル(約3万7,000円)ほど借りなければなりませんでした。
暖房や調理にはガスやまきが必要ですが、冬の間は88米ドル(約1万円)近くかかるので、とても払えません。

私がお金を稼げなければ、必要なものを買うために借金をしなければならず、子どもたちに道に落ちている紙や木を探しに行かせて、冬の間の燃料にしなくてはなりません。」

今年の冬は、記録が始まって以来、最悪の食料危機に直面することが予想されています。2021年10月にセーブ・ザ・チルドレンが行った調査によると、今年の冬は1,400万人以上の子どもたちが空腹に陥ることが予想され、500万人が極度の食料不足に近い状況に置かれると言われています。

セーブ・ザ・チルドレンのアフガニスタン事務所長代理トーマス・ハウエルズは、次のように述べています。
「通常でも、アフガニスタンの厳しい冬は、多くの家族にとって生死に関わる深刻な問題ですが、今年はこれまで以上に状況は深刻です。何千世帯もの家族が、極寒の寒さから身を守るものがビニールシートだけであることが多い避難民キャンプで暮らしています。

小さな子どもたちは、防寒着も毛布も暖房器具もなく、外のテントで寝ています。低体温症、肺炎にかかり最悪の場合、死に至ることもあるでしょう。私たちは、家族が冬を乗り切るために必要な必需品、毛布、暖かい服、そして燃料を手に入れることができるよう、できる限りのことをしています。しかし、より多くの支援が切実に必要であり、寒さがさらに厳しくなる前に、いま必要なのです。」

セーブ・ザ・チルドレンは、この冬、最も被害が大きかった9つの州の約2万6,000世帯を支援しています。毛布や子ども用コートや靴下、靴、帽子などの防寒着を提供し、ヒーターと3ヶ月分のまき、またはガスストーブ1器と燃料を購入するための費用200米ドル(約2万3,000円)を支援します。

[1]4% of households surveyed (extrapolated to 265,000 households or nearly 1.6m people nationally) were living in emergency tents or makeshift shelters (tents or huts) – of which an estimated 780,700 (49%) are children.  

[2]44% of households surveyed (extrapolated to just under 3m households or 17.5m people) reported having less than one blanket per person – of which an estimated 8.58m are children.

[3]16% of households (around 1m households or nearly 6.4 million people) reported having inadequate or no heating – of which more than 3.1 million are children (49%).

[4]Data from the Afghanistan Joint Winterization Plan Nov 2021-Feb 2022: https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/winterization_plan_2021_v3_23_august.pdf

[5]Fuel is reported to have increased by 40% https://www.indiatoday.in/world/story/afghanistan-food-fuel-prices-soar-taliban-kabul-residents-struggle-1857555-2021-09-27


 

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